穂村弘著『世界音痴』2002年4月小学館発行、を読んだ。
歌人の穂村弘が日経新聞に連載したエッセイを中心とした初のエッセイ集だ。ところどころに、自作、多作の歌が挿入されている。
歌人が日経に連載したエッセイというと、しみじみと穏やかな季節の変化、日本を別の視点から・・・などと思うが、さにあらず。穂村さんの歌は、
サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい
なんていう歌で、破壊的な歌なのだ。
40歳近くで独身(当時)、実家にパラサイトするサラリーマン(課長代理)の穂村さんが、世界とズレた情けない日常をこってり嘆いている
。
「年賀状は穂村弘宛が126枚、本名宛が8枚。短歌を書いていなければ8枚の現実」
「雪道で滑った恋人の手を「キャッ」と叫んで放してしまい、彼女は『あたし、なんか、わかった気がする』と呟き、結局別れる」
「寿司屋でよっぱらいの注文に負けて、丁寧に注文したのに無視される」
「ホームランボールが自分に当たるのが怖くて野球を見に行けない」
初出:前半半分強は日経への連載、後半は他の新聞や雑誌に発表したものや、書き下ろし。短歌や文芸に関わるものは外している。
穂村弘 ほむら・ひろし
1962年5月北海道生れ、名古屋育ち。北大入学し、すぐ退学し、上智大学入学。卒業後、SEとして就職。
1989年第1歌集刊行。
2002年初エッセイ『世界音痴』
2008年結婚、『短歌の友人』で伊藤整文学賞受賞
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
面白い事は面白い。あまりのダメ男ぶりについて行けない、嘘くさく思える人以外は、楽しく読み飛ばせる。かなりな人が、幾つかの点で、「そうそう、僕にもある、ある」と共感し、穂村弘は他人とは思えなくなるだろう。そして、たまらなく切なく、いとおしくなる。
文中のギャグを2つだけ。
実家はメロン農家だという先輩が、「メロンをうまく喰う方法知ってるか?」と聞く。答えは、「メロンの上にメロンジュースの粉末をかけて喰うんだ」という。
冬山で寒さと疲労から痙攣を起こして倒れた仲間が言う。「だめだ。この脚じゃ、もう家へケイレン」
歌人の穂村弘が日経新聞に連載したエッセイを中心とした初のエッセイ集だ。ところどころに、自作、多作の歌が挿入されている。
歌人が日経に連載したエッセイというと、しみじみと穏やかな季節の変化、日本を別の視点から・・・などと思うが、さにあらず。穂村さんの歌は、
サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい
なんていう歌で、破壊的な歌なのだ。
40歳近くで独身(当時)、実家にパラサイトするサラリーマン(課長代理)の穂村さんが、世界とズレた情けない日常をこってり嘆いている
。
「年賀状は穂村弘宛が126枚、本名宛が8枚。短歌を書いていなければ8枚の現実」
「雪道で滑った恋人の手を「キャッ」と叫んで放してしまい、彼女は『あたし、なんか、わかった気がする』と呟き、結局別れる」
「寿司屋でよっぱらいの注文に負けて、丁寧に注文したのに無視される」
「ホームランボールが自分に当たるのが怖くて野球を見に行けない」
初出:前半半分強は日経への連載、後半は他の新聞や雑誌に発表したものや、書き下ろし。短歌や文芸に関わるものは外している。
穂村弘 ほむら・ひろし
1962年5月北海道生れ、名古屋育ち。北大入学し、すぐ退学し、上智大学入学。卒業後、SEとして就職。
1989年第1歌集刊行。
2002年初エッセイ『世界音痴』
2008年結婚、『短歌の友人』で伊藤整文学賞受賞
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
面白い事は面白い。あまりのダメ男ぶりについて行けない、嘘くさく思える人以外は、楽しく読み飛ばせる。かなりな人が、幾つかの点で、「そうそう、僕にもある、ある」と共感し、穂村弘は他人とは思えなくなるだろう。そして、たまらなく切なく、いとおしくなる。
文中のギャグを2つだけ。
実家はメロン農家だという先輩が、「メロンをうまく喰う方法知ってるか?」と聞く。答えは、「メロンの上にメロンジュースの粉末をかけて喰うんだ」という。
冬山で寒さと疲労から痙攣を起こして倒れた仲間が言う。「だめだ。この脚じゃ、もう家へケイレン」