hiyamizu's blog

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西澤保彦『七回死んだ男』を読む

2012年10月09日 | 読書2
西澤保彦著『七回死んだ男』講談社ノベルズY757、1995年10月講談社発行、を読んだ。

高校生久太郎が、遺産相続をめぐる争いで祖父渕上零治郎が殺されることを食い止めようとするSF的推理小説。
ある日を9回繰り返す事が突然起こる。しかもその日に祖父は殺されたのだ。繰り返しを唯一人認識できる久太郎は、祖父を救うためにあらゆる手を尽くすが、どうしても新たな一日が始まるたびに祖父はまた殺されてしまう。

「あとがき」
同じ日が何度も何度も繰り返されているのに周囲の者たちは誰ひとりその状況を認識しておらず主人公だけがその反復現象に翻弄されてしまう、という・・・米映画『恋はデジャブ』
に印象付けられた著者が、本格ミステリにこの現象を使った。

例えば、1月1日の23時に眠ったが、そこで事象が起こると、目が覚めた時はまた1月1日に戻っていて、繰り返していることがわかるのは彼だけという現象だ。
必ず9回繰返すので、途中の繰り返しは試行、練習に当てて、最後だけ目的を達成すれば良いことになる。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

同じ日を9回繰り返し、それぞれ違う犯人を想定して状況を変えて検証するという筋道は面白い。あれこれ、何度も失敗を重ねてこじれた事件を一つ一つ紐解いていく過程も分かりやすい。しかし、あまりにもまどろっこしい。

一回目は久太郎が祖父と飲み明かしていた。2回目以降は祖父が殺される。それならば、単に祖父の酒盛りに付き合えば祖父は殺されないのに、あれこれ画策するのが解せない。



西澤 保彦(にしざわ・やすひこ)
1960年12月25日、高知県生まれ。
米国私立エカード大学創作法専修卒業。高知大学助手などを経て投稿生活に。
1990年『聯殺』で鮎川哲也賞候補。
1996年『七回死んだ男』で日本推理作家協会賞(長編部門)候補。
2002年『両性具有迷宮』でセンス・オブ・ジェンダー賞(国内部門)特別賞受賞。
2003年『聯愁殺』で本格ミステリ大賞(小説部門)候補。



コメント (1)
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