林真理子著『成熟スイッチ』(講談社現代新書2683、2022年11月20日講談社発行)を読んだ。
昨日とは少し違う自分になる「成熟スイッチ」はすぐそこにある――。
ベストセラー『野心のすすめ』から9年、人気作家が成熟世代におくる待望の人生論新書。
日大理事長就任、「老い」との近づき方など、自身の成熟の現在地を明かしながら、
「人間関係の心得」「世間を渡る作法」ほか四つの成熟のテーマについて綴っていく。
先輩・後輩世代とのつき合い方、自分の株が上がる「お礼」の方法、
会話を面白くする「毒」の入れ方など、著者ならではの成熟テクニックが詰まった一冊!
<本書のおもな内容>
序 章 四つの成熟
第一章 人間関係の心得 愛は惜しみなく/人づき合いは変化していく/成熟を教えてくれた人/広がる人脈と後輩世代/女と男の距離
章間 私の成熟スイッチ・1 未熟者が「長」になるまで
第二章 世間を渡る作法 感謝の流儀/品性が試される時/社交のタブー/話術のスパイス/時間を制する者、世を制す
章間 私の成熟スイッチ・2 王道を行くか、センスで生きるか
第三章 面白がって生きる お金を味方につける/仕事をどう面白がるか/読書の快楽/遊びの本気、出好きの好奇心
章間 私の成熟スイッチ・3 生き残るのは変化するもの
第四章 人生を俯瞰する 「俯瞰力」と「自己愛」の効用/老いとの近づき方/家族が教えてくれる成熟/レールに乗ってーーあとがきにかえて
小学生の林さんは、運動会の連絡係を割り当てられて、「用具係りはバカでもできる。私なんて連絡係だもん」とふれ回って、クラス中から総スカン。生徒会長選挙に出る友人の推薦人にどうしてもなりたいと押し切って、落選。推薦人にしたから落選と言われて、「引っ込み思案の出たがり」になってしまった。
その後も成熟した大人とは程遠かった林さんが、成熟スイッチが次々入って、ついに日大理事長になってしまった。
私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの? 最大は五つ星)
要するに、昔の私はひどかったが、今は堂々と大きな人間になったという自慢話。
昔の若かった自分は天辺目指してこんなこともやったと胸を張って語っている。
成功者の自慢話は、通常は読者に参考となる処世訓が述べられるのだが、若い時の林さんはあまりにも出たがり、野心丸出し、過激で、ミイハー、えげつなく腰巾着なので、普通の人に役立つものではない。なお現在の林さんは、出たがりは基本変わらず、ミイハー他は少なくとも表面的には抑えられている。
林さんは多くの優れた人と付合っていて、それを自分の肥やしにしていると思う。そんな人たちに可愛がられる林さんには憎めない、何か一途なものがあるのだろう。
さらに、売れる本を次々と出すのだから書く才能があるのは証明されている。