私は子供の頃から恥かしがりだったが、田舎から東京に出てきて仕事をしているうちにいつの間にか寧ろ外向的な性格に変わった。今から思い出すと顧客との対応と、海外とのビジネス交渉を通じて後天的に性格が変わり、終いに自分が恥かしがりだったことさえ忘れていた。仕事で成功したいという気持ちが上回ったためであろう。しかし私の子供を見るとつくづく恥ずかしがりは遺伝すると改めて実感している。
4月25日号タイムによると人は30%以上が恥かしがりであるという。思った以上に多い。米国人がそんなに恥かしがり屋と言うのは驚きだ、日本人はもっと多いかもしれない。恥かしがりの特徴を示す40人余の2歳児の唾をDNA分析すると、不安や抑圧等の感情を分担する脳内の化学物質(セロトニン)の流れを制御する部分の遺伝子が一様に通常より短かった。彼らの共通する特徴はコミュニケートする相手の表情を読み取るパターン認識能力が低かった。事故写真など認識能力は同じだったらしい。
彼らが10代から大人になるまで追跡調査すると3分の一が恥かしがりを克服していた。家庭、環境、社会的機会がこの後天的な変化を起こしたという。恥かしがりは決して悪いことではない、顔立ちや体系と同じ個人差と考えるべきである。彼らは概して良い成績をとり犯罪を起こす可能性も低く、リンカーンからマンデラまで後世に名を残した偉人も多い。
一方恥かしがりと似ているがもっと深刻で原因が十分に解明されていない症状がある。4月12日NYタイムスでハリエット・ブラウン氏が家庭では自由に喋るのに保育園や学校では一言も喋らない子供の症状をselective mutism(選択的無言症とでも訳すべきか)として紹介している。15年前の調査結果この無言症は恥かしがりとは別物で、基本的に社交に対する不安から生じたもので1000人に1人の症状であるとみなされていた。しかし最近の調査では1000人に7人と増え、大人になっても症状が続く場合があることがわかっている。スコットランド出身の英語学校の先生に説明すると彼女は「mutismはわかるが何故selectiveと言うのか」と聞かれた。Googleで調べると米国には多くの関連団体や活動があり少なくとも米国では認識が広がっているようである。
対外的な不安に対し自己を守ろうとして本能的に無言症状が現れるというメカニズムが最近の有力な説である。しかし依然として治療方法は一貫しておらず、自閉症と診断されたり、大人になれば症状は治まるという医者もいるが、ブラウン氏は治療は早ければ早いほど良いと早期治療を勧めている。原因や症状のメカニズムが明確になり治療法が確立された訳ではないが、現在ではプロザイックなどの抑鬱剤の服用と行動科学的な治療の組み合わせが効果を上げている例が報告されている。一方、子供に会話や社会参加を強要しないことが重要で、家庭や学校が連携して対応した結果、薬の服用をやめて成功した例も報告されている。今では特別扱いせずちょっと恥かしがりの子供だと思って接している。
素人目にはこのselective mutismにも恥かしがりを調査したとき認識された相手の顔を読み取る能力が深く関係しているように思えるがどうだろうか。■
4月25日号タイムによると人は30%以上が恥かしがりであるという。思った以上に多い。米国人がそんなに恥かしがり屋と言うのは驚きだ、日本人はもっと多いかもしれない。恥かしがりの特徴を示す40人余の2歳児の唾をDNA分析すると、不安や抑圧等の感情を分担する脳内の化学物質(セロトニン)の流れを制御する部分の遺伝子が一様に通常より短かった。彼らの共通する特徴はコミュニケートする相手の表情を読み取るパターン認識能力が低かった。事故写真など認識能力は同じだったらしい。
彼らが10代から大人になるまで追跡調査すると3分の一が恥かしがりを克服していた。家庭、環境、社会的機会がこの後天的な変化を起こしたという。恥かしがりは決して悪いことではない、顔立ちや体系と同じ個人差と考えるべきである。彼らは概して良い成績をとり犯罪を起こす可能性も低く、リンカーンからマンデラまで後世に名を残した偉人も多い。
一方恥かしがりと似ているがもっと深刻で原因が十分に解明されていない症状がある。4月12日NYタイムスでハリエット・ブラウン氏が家庭では自由に喋るのに保育園や学校では一言も喋らない子供の症状をselective mutism(選択的無言症とでも訳すべきか)として紹介している。15年前の調査結果この無言症は恥かしがりとは別物で、基本的に社交に対する不安から生じたもので1000人に1人の症状であるとみなされていた。しかし最近の調査では1000人に7人と増え、大人になっても症状が続く場合があることがわかっている。スコットランド出身の英語学校の先生に説明すると彼女は「mutismはわかるが何故selectiveと言うのか」と聞かれた。Googleで調べると米国には多くの関連団体や活動があり少なくとも米国では認識が広がっているようである。
対外的な不安に対し自己を守ろうとして本能的に無言症状が現れるというメカニズムが最近の有力な説である。しかし依然として治療方法は一貫しておらず、自閉症と診断されたり、大人になれば症状は治まるという医者もいるが、ブラウン氏は治療は早ければ早いほど良いと早期治療を勧めている。原因や症状のメカニズムが明確になり治療法が確立された訳ではないが、現在ではプロザイックなどの抑鬱剤の服用と行動科学的な治療の組み合わせが効果を上げている例が報告されている。一方、子供に会話や社会参加を強要しないことが重要で、家庭や学校が連携して対応した結果、薬の服用をやめて成功した例も報告されている。今では特別扱いせずちょっと恥かしがりの子供だと思って接している。
素人目にはこのselective mutismにも恥かしがりを調査したとき認識された相手の顔を読み取る能力が深く関係しているように思えるがどうだろうか。■