かぶれの世界(新)

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トヨタIT革新

2005-05-11 10:47:40 | 社会・経済
10日にトヨタが8ヶ月で新車開発を可能にする新CAD/CAMシステムを2-3年後に導入すると日経ビジネスが報じた。ポイントは従来なら試作車で確認していたデザイン・微妙な部品の収まり具合・作業容易性などの検証をコンピュータ・シミュレーションし作業短縮することである。それにしても8ヶ月で新車開発とはすごいことである。昔は自動車用の大型金型開発期間だけでも1年以上かかっていた。

私にとってそれ以上に興味深かったのはトヨタが遂にデータ統合が終わったように読み取れることである。私が以前勤めていた会社で短い期間ITの責任者をしたとき、トヨタのITを調査したことがある。トヨタ生産方式は積極的な普及活動とあわせ有名である一方、IT活用については意識的に情報公開を避けていた。一説によると伝統的に役員の中にIT嫌いが多いためといわれていた。現実にはITを切り離した生産革新などありえず、トヨタのIT活用がどうなっているか調査したのである。

調べてみると実はトヨタは10年前でも数兆円規模の巨額なIT投資をし、当時でも専業のCAD/CAMメーカを凌ぐ最高レベルにあった。商品の車同様にITにおいても常に創意工夫しクォリティを高め最先端レベルにあったといってもトヨタならそうだろうと素直に思えた。しかし最先端を走るが上にデザイン、設計製造、販売保守の各分野で最高であっても、それぞれのシステムが繋がらないという問題があった。殊にデータの互換性がないというのが致命的であった。

世界はIT統合化に向かっており戦略の見直しが必須であった。トヨタは将来のために何年かけてでも巨額な投資をして、世界共通で横断的なデータ統合を実現しない限り次の世界戦略を展開できないと認識してITシステムを作り直すという決断をした...という認識を当時私はした。その後はトヨタの動きを追うことも止めたが、この記事を見てトヨタが当時の決断を着々と進め遂にここまで来たかという気持ちである。派手に表には出てこないことだがこれが実現されキチンと機能し始めるとトヨタの競争力は更に磐石となるであろう。


コメント
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