かぶれの世界(新)

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

GM,フォード社債がジャンクに格下げ

2005-05-13 14:00:32 | 社会・経済
先週S&PはGM、フォードの社債格付けをジャンク債、つまり投資不適格に引き下げた。予想はされていたものの、他への波及を考えると参ったなというのが正直なところである。今朝方のニュースではムーディズもフォードの長期社債格付けをBaa3からBaa1に下げたと報じている(ジャンク債の一つ上の格付け)。今なら社債が割安で買えるのだが、利払いが滞る(defaultという)可能性があるので投資しないほうが良いという格付けでは怖い。自動車産業は米国の象徴であり、トヨタは何らかの形で支援をすると公表したのも、単なる企業業績悪化とは捉えていないためである。

GM業績悪化の原因について既に種々報道されている。商品戦略の誤りが最大の原因であり、80年代の石油危機で販売不振になった教訓が生かされてない。報じられた費用構造を見ると巨額の構造的な負担(経費)が重石となっており寒々としてくる。GMの粗利は17%でそのうち10%強が販売管理費、6%強が社債の利払いに当てられているという。しかも販売管理費を減らそうとしても、その半分は退職者を含む社員の医療保険費であり簡単には手をつけられない。GMのように昔からの巨大企業は多くの退職者をリストラで減った社員が支えており、老齢化を向かえ日本の年金システムが危機に陥っているのと共通する構造がある。誰も既得権益は手離さない。これ以上売り上げが落ちると大変なことになるのに売り上げが改善する理由も見当たらない。

思うに9/11後の低金利による景気刺激策が本来もっと早く表面化させたはずのGMの構造的な問題を先送りし、商品戦略などで根本的な手を打たずかえって傷を大きくしたのではないか。GMには手元資金200億ドル(約2兆円)があり今すぐ破産するわけではなく、会社の切り売り等で生き延びるなどいくつかの選択はあるが、それでも各方面に波紋が広がっている。有名な投資家であるカーコリアン氏のGM株買収の動きや、欧州ヘッジファンドがGM社債下落で大損し影響が拡大するかもしれないという噂が流れている。当分目が話せない。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大統領選の後遺症

2005-05-13 12:27:06 | 国際・政治
ブッシュ大統領は主要争点を堕胎や同性婚など価値観(モラル)に置きキリスト教原理主義派の圧倒的支持が決め手となって選挙に勝った。私は一旦選挙に勝てば2期目のブッシュ大統領自身は露骨に原理主義派に擦り寄った姿勢をとらず、寧ろ「分断されたアメリカ」を融合する方向に動くであろうと予測した。

現在のところ2期目の評価はまだ定まってないと思うが、ここに来て選挙の後遺症と思われる動きが別のところに出てきている。4月にマイクロソフトの本社があるワシントン州の同性愛者支援プログラムの支持を止めると発表後、進歩的で開かれたマイクロソフト精神に反するとして従業員から強く反発を受け、一転して今月に入り法令化されれば支援すると発表すると報じられ背景に何があるか気になっていた。マイクロソフト社内には反発する従業員も多数おり、原理主義派はから商品ボイコットの脅しを受けとても円満解決とはなっていない。

ビジネスウィーク誌によると同様の動きとして、原理主義派はステムセル研究推進しているGE社や、コネチカット州の同性婚者の権利保護を支持するP&G社などの商品のボイコットリストを配布し、署名を集め議会に圧力をかけ、全米で大ヒットしている際どい会話が売りのTVドラマ「Desperate Housewives(邦題はわからないがとりあえず“瀬戸際の主婦”)」の大手スポンサーをおろさせたと報じている。皮肉にも先日ローラ大統領夫人がパーティでこのドラマを見ていると言い大受けしたが。

従来なら個人の信条にかかわることとされたモラルの問題が、大統領選を機に政治に持ち込まれ、それが今やビジネスの世界に広がり始めたようである。これが更に拡大すると最悪は米国にある企業の職場の隅々にまで影響が出る可能性もありうる。私が95年に米国で働き始めた頃は職場での女性の権利がまだ吹き荒れていた時代で性差別の問題が起きないよう特別なプログラムを作り随分気を配った。何事も極端な振れをするのが米国であり、その影響を軽視すると火傷することになる。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする