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原油価格100㌦後のシナリオ(補)

2007-11-22 12:06:40 | 社会・経済

昨日の原油先物価格は100ドル台を窺う位置から、一旦利益確定させ97.29ドル(Light Crude NYM)でひけた。こういう言葉使いをすることは、石油が短期投機の対象になっていることを端的に表しており未だに私には違和感がある。

それはそれとして3日前に掲題の記事を書き込んだ時目に留まった情報は中々興味深く補足して紹介したい。それは日本のエネルギー事情が70年代の石油危機からどう変遷したことと、最近米国系のオイルメジャーと急進する中国系石油メジャーの対照的な動向である。

日本統計年鑑2007によると一次エネルギー利用ミックスが驚くほど変化している。弐本は30年間でエネルギー利用が60%増えている。しかし、増加分は天然ガスと原子力などでまかない、石油輸入量が全く増えていない。 (情報元:モルガンスタンレー) 

Level (Petajules) Share (%)
1975   2004   1975    2004

Total Primary Energy  14,375  23,057    100     100
化石燃料        13,206  18,924     91.8    82.1
 
石油・石油製品    
10,301  10600     71.6     46.0
  石炭
                  2,519  4,965     17.5     21.5
 
天然ガス         386 
3,359     2.7     14.6
非化石燃料
             1,172   4,133      8.2     17.9
 
原子力
                 237   2,488      1.6     10.8
 
その他          
935  1,645      6.5       7.1
輸入比率                   87    82 

加えてエネルギー利用の効率化と省エネルギー型への産業構造変換が進み、GDPに対する原油価格弾力性(2005年)がブラジル・オーストラリアの資源国についで第4位につけている。エネルギー輸入比率は5%低下させたが、全く資源の無い我国ではそれでも8割は輸入に頼っている。これほど徹底してエネルギー構成を変化させた国はほかに無いだろう。

国内ではガソリンを始め物価上昇が報じられているが、ここにきてドル安が進行しているのである程度相殺されている。マクロで見ると我国にとって原油価格高騰の最大の問題は、世界経済が後退することにより輸出頼みの日本の輸出産業が打撃を受けることである。

もう一つ注目すべきことがある。最も効率の悪いエネルギー消費国の中国石油会社が元気な一方、米国系メジャーがそれほどうまくやっていないことである。それは国策に乗って中国石油会社が石油やガスの探査や生産力向上に巨額の投資を続け生産量を増やしている。

中国が本年上期3.7%生産量を増やしたのに対し、米国メジャーは儲けた金を再投資せず自社株買いに費やし(160億ドル)、同時期の生産量を2%減らしたという。中国系メジャーは逆に株式発行して資金調達し、増産・パイプライン等の設備投資にあてるという(ビジネスウィーク10/3)

アセアン会議でミャンマー軍事政権支援の姿勢を見せ、虐殺が続くスーダン政権を支援するなど、形振り構わずエネルギー資源獲得を進めてきた中国は世界中から非難されてきた。しかし、中国石油大手は原油高騰のもとでも着実に石油増産し巨額の利益を上げ、世界有数の石油メジャーに成長し中国の成長を支えているのが一方の事実だ。■

コメント
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