中 |
日ドラゴンズが53年ぶりに日本一になった。裏番組の時代劇を見ながら時折野球中継にチャネルを回しスコアをチェックしていたが、まさか完全試合が進行中とは気がつかなかった。
クローザーの岩瀬の救援は当然と思っていたが、それが落合監督の非情な交代と話題になっていることに深夜の番組を見て気がついた。
ネットを覗くと「非情な交代」について意見百出という状況だったが、中日ファンは第三者の意見よりも肯定的に見ている傾向が強いように感じた。
意見を大雑把に分けると「理」か「情」か、勝負に拘るか選手の名誉を取るかの選択について意見が分かれたといえる。意外とこういうところで人間性が出て来る。
歴代の監督、名選手のコメントを見聞きすると、この人はこういうだろうなと思った通りのことを言っていた。「情」を主張するかつての名選手が多かったのは最初意外に思ったが、考えてみれば当然のことだった。
私は「理」をとって落合監督の判断を支持する。彼は目的を達成する為に最善の手を尽くした訳であり、その采配が全くぶれなかった。彼は勝つ確率が最も高い手段をとったという事だ。
名 |
選手必ずしも名監督ではないというのは、洋の東西を問わず古からの伝えだが、彼は稀に見る例外だろう。私が見る限りは川上元巨人監督以来ではないだろうか。稀ということは他の名選手は圧倒的に「情」タイプということになる。
しかし、何故か二人とも人気が無かった。「情」の部分が前面に出でて来ないと日本人の心には響かないし、マスコミ対応より勝つことに集中した結果報道がどうなったかも予想できよう。
かといって「情」を前面に出して勝てないかというとそうでもない。1年限りなら「戦力と運に勢い」が付けば奇跡も起こる。しかし、「理」が無ければ常勝チームを作ることは至難の業だ。
巨人ファンは長島監督のメイクミラクルに心踊り、阪神ファンは星野監督のファイト溢れる指揮に熱狂した。「情」は人の心を揺さぶり選手を動機付けるが、歯車狂うと空転する。そんなに長い間燃え続けることは出来ない
優先順位が常に明確でぶれが無く冷静に仕事をやり遂げる人を「仕事人」と言われる。私は落合監督に「名将」というより「仕事人」という言葉がふさわしいように思う。
どう見ても他球団より見劣りのする戦力で2年連続パリーグ優勝した日ハムのヒルマン監督にも同じ臭いを感じる。勿論彼は名選手ではなかったが。
米国に一時帰国した監督を非難するより、何故日ハムがあの戦力で長いペナントを勝ち抜いたのか、他の10球団はじっくり研究したほうが余程来年の為になると思うがどうだろうか。頑張れ。■