かぶれの世界(新)

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残日録

2007-11-28 10:26:10 | テレビ番組

最近、藤沢周平が読まれているらしい。私は小説を滅多に読まない。特に時代物というと司馬遼太郎の歴史小説しか思いつかない。他に学生時代に山田風太郎の忍者小説を何冊か読んだことがある。それが何で藤沢周平かというと、ここ数ヶ月寝つきが悪く深夜放送を聴くようになり、そこで藤沢周平の作品に出会い、彼の描く下級武士の生活や出世競争に共感を得たからだ。

月曜の深夜12時半頃NHK第1放送にダイヤルを合わせると松平アナウンサーの渋い声で朗読の時間が始まる。今年の初め頃、藤沢周平作「三屋清左衛門残日録」が始まり今もまだ続いている。用人にまで出世し隠居した主人公が、残りの日を数えるような日々の枯れた生活を描いたものと初め題名から想像した。しかし、予想に反して内容がとても現代的だった。

実際は仄かな老いらくの恋やお家騒動、若き日から続く交友、嫁と姑関係など意外に生々しい内容に惹きつけられる物を感じた。又、「残日録」の言葉のニュアンスが主人公と同じ年代で退職した我が身に嵌まったからだと思う。描かれている内容が現代のサラリーマンに置き換えてもちっとも変じゃない。知らない間に我が身に置き換えて聞いている自分に気が付いた。

そのうちNHKBS1TVドラマが再放送され、時代劇専門のケーブルテレビで繰り返し再放送されているのを見た。放映後10年以上経って依然人気があるらしい。今もNHKでは下級武士の次男三男が青年時代から出世に差が出る初老までの夫々の人生を描いた藤沢作品「風の果て」に見入っている。丁寧に作られた時代劇で、ステレオタイプの敵討ちとか武士道はメインテーマではなく、登場人物が現代人と共通する悩みを抱えて描かれ見応えのある仕上がりだ。

義兄が藤沢周平を愛読していたことは亡くなった後伝え聞き興味はあった。しかし恥ずかしながら、藤沢作品は今月初めて時間潰しに「用心棒日月抄」の1冊を読んだだけ。「残日録」も「風の果て」も小説を読んだことがない。なのに何故気になるかというと、丁寧に作られた上質の藤沢周平作品ドラマを見て嵌まったというべきかも知れない。最近放映されたテレビ朝日の「点と線」といい、しっかりと作られたドラマにはその重量感を感じ取れるものがあることを再確認した。■

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