参 |
院選圧勝の後、民主党は従来の自壊パターンを反省し比較的うまくやってきたと思っていた。しかし、国会審議が始まると法案1本通らない異常事態が続き、政権担当能力があるのか疑問の声が出始め、福田首相はその機会を逃さず党首会談を提案し小沢党首が応えたことから、報道されているように波紋が広がり混乱が始まった。
福田首相が特措法を諦め小沢氏持論の恒久法を飲み、小沢氏を副総理に向かえ大連立を提案したと一部で報道されている。とすれば福田氏が信念無き政権運営と非難されるべきなのに、自説を通した小沢氏が民主党幹部全員から反対され党首辞任という不思議なことが起こった。
福田氏が異常事態の打開を最優先に根本政策と見られるものさえ妥協したのに対し、小沢氏は長年の「個人的信念」が一気に実現する事態に接し、提案受入に動いたようだ。
しかし、小沢氏は足元の民主党の寄り合い世帯的体質に加え、現在政策を一旦棚上げしてでも衆院早期解散を狙うという党内現実をすっかり見誤ったというのが大方の理解で私もそう思う。良くも悪くも現実を見誤った結果が安倍前首相に続く突然の辞任に繋がった。昔来た道は続く。
国 |
会ネジレ自体は多くの国民は必ずしも異常事態とは思っていないと私は信じる。そのために与党は謙虚になり生活目線で問題に取り組むようになり、官僚に絡む不祥事などの情報が出て来て議論は深まり、官僚の非協力的な態度を押し切り問題に取り組むようになった。
問題は民主党が「何でも反対」というかつての社会党的アプローチを取り始め、政権担当能力に疑問符が付き始めたことだ。政権交代を期待する国民は依然多いと思うが、このまま何ヶ月も何も決まらない状態が続きその責めを問われた時、民主党は微妙な立場におかれるだろう。国民の1%の支持も得られない社民党と同じ意見を繰り返されるだけでは政権担当能力は示せない。
私は民主党に小沢党首の持論でも現在の何でも反対でもない第三のアプローチをとることを勧めたい。それは国民にとって早急な対応が必須で妥協できる案件について、国民に理由を明確に説明し与党にも妥協を求めて政策協定し法案を早急に通すことだ。
何を妥協するかしないかその理由を明確にし、マニフェストに対応付けて説明することにより、民主党への信頼を高め政権担当能力があることを示すことが十分出来るはずだ。小沢党首の辞任はもう避けられない。新党首がこの新方針を打ち出し実行することが参院選で国民が示した民意に応え、しいては政権担当能力があることを示すことになるはずである。■