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太陽電池、存在感の低下

2008-03-26 11:33:13 | 社会・経済

我が家の風呂釜が壊れた。都市ガスの給湯機を13年使用し寿命になった、部品がなく修理も出来ないという。この次ぎ買い換えるとしたらオール電化にしようと思っていた。懇意にしている友人に聞き、ネットで調べているうちに、日本が最も進んでいたと思っていた太陽電池業界の状況が一変しているニュースが目に留まった。

本の太陽電池技術は世界の最先端を行っているが、海外政府の推進施策を背景にした海外メーカーの過激と思える積極的な投資でその座は脆くて危ういと、2年前に下記の記事で警鐘を鳴らしたことがある。原因はともあれ現状は杞憂したとおりに進んでいた。

http://blog.goo.ne.jp/ikedaathome/d/20060331 

24日付の週刊ダイヤモンド誌によると太陽電池セル生産量で常に世界トップだったシャープが、昨年ドイツのQセルズに追い越されたらしいと報じている。京セラが中国メーカーに抜かれ4位、三洋・三菱は台湾メーカーに抜かれ夫々67位に沈んだという。

世界の太陽電池市場は40%の成長率で急成長しており、中でもドイツは2005年に累計導入量で日本を抜き、2006年には日本の市場規模の3倍に達したという。一方、日本は国内市場が伸び悩み、世界の成長にも乗り切れていない。このまま「いつか来た道」を歩むのだろうか。

シェア低下の原因は「政治」と「自滅」

同誌はこの原因として政治的要因とメーカーの自滅をあげている。日本の太陽電池の導入成長率は、経済産業省による住宅向け設置補助金が打ち切られた2005年から停滞している。私も補助金がなくなった後は、自宅をオール電化するとしても太陽電池を導入する気が全く無くなったが、それが市場全体のメッセージでもあったようだ。

補助金を打ち切り、更にドイツのような過激な電力買取り制度の導入を阻んだのは電力会社が大反対をしたためであると同誌は説明している。原子力発電が国家の基本方針であり、太陽電池の優先順位は政治的に低いと判断されたわけだ。珍しいことではないが判断の基準は政治的「力」の大きさだけで、将来を見越すビジョンが無かった。

もう一つの原因としてメーカーの自滅とは、原材料のシリコン価格が高騰し始めた時、将来の需要急増を見誤り原材料確保を逡巡し、気が付いた時は海外メーカーに抑えられていた為という。工場の稼働率が下がった。結果としてシリコン使用量の節約や、他の材料への転換研究が進むというプラスもあるが、経営判断の遅れは、又、日本メーカーの遺伝子的弱点ともいえる。

とは言っても、数年前までは日本の太陽電池業界は世界で圧倒的な存在だった。それが今規模は大きいが将来とも世界展開する可能性の無い電力業界に配慮した狭い政治判断で、将来性のある事業が海外メーカーとの競争で劣勢になるのを見るのは辛い。

道路特定財源に限らず何処に優先して税金を使うか政治の優先順がおかしい。太陽電池のようなハイテク業界が世界のトップを走れるように、政治の優先順位を見直し、このような世界の中で我国の強みがある領域にもっと光があてられるべきだと強く思う。

地球温暖化に対応する色々な領域で日本の省エネ技術は最先端にあり、CO2削減などで世界貢献が期待されている。当然、他国は安価に利用しようとするだろうが、この技術は資源エネルギーの無い我国にとって、貴重な「資源」だと認識して保護する視点が欲しい。■

コメント (1)
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