今朝の朝日新聞は日本経済新聞と見まがうような第1面だった。「日本国債の急落を想定、三菱UFJ銀 危機対策」という大見出しで、同銀行が国債急落に備えた危機管理計画を作ったという特ダネ(日経・読売に同種の記事は無かった)を報じていた。
記事によれば同行はゆうちょ銀行を除き最大の国債(42兆円)を保有する。計画は経常収支など30指標をチェックし、国債急落の兆しがあると判断すれば売却する計画を昨年末に纏めたという。16年に経常赤字になり、それに先立ち格付けが下落し金利が3.5%に上昇する恐れがあると同行は予測する。そうなると他の投資家も一斉に国債を売りイタリアのような状況になると見ている。
これは、私が先月23日に投稿した「破綻国家へようこそ」で予想した最悪シナリオと良く似ている。誰でも思いつくシナリオだと思うが、テレビしか見ないような一般の人に理解できるだろうか。テレビや新聞のお馬鹿な連中の能天気さを毎日見ると、それほど楽観できない
朝日は上記記事に加えてその後半面を使って「国債暴落に備えよ」と題して小林慶一郎教授のインタビュー記事を載せ、国債急落の危機が迫っていると念押しした。氏は政治家・官僚から国民まで目先の利益を優先し痛みを先送りする現状を民主主義の限界かもしれない、それならば破綻時のダメージを緩和する政策が必要であると説いている。それには官民合わせて数百兆円から千兆円の対外資産を持てと提案している。
一体改革の議論が停滞し政治も国民も前に進めない現状では、三菱UFJの危機対策も小林氏の提案も政治決定が出来ないだろうと半ば諦め気味から生まれたように感じる。その意味では適切な状況認識であり現実的な取り組みと思う。同時に朝日の記事は今後国民に危機感を共有させ頓挫寸前の一体改革を後押しする助けになるかもしれないと一縷の希望を抱かせた。
その後、懇意にしてもらっている金融機関のアカウントマネージャから偶然電話が入り、この記事が話題になった。彼によると朝日の記事は財務省からの情報がベースになっているという噂があるらしい。さもありなん。小林氏のインタビューも事前に計画して同時掲載したのだろう。だが、仮にそうだとしても今は警鐘を鳴らすべき時であり、朝日もそう感じたからであろう。
私は益々心配になって、そのマネージャ氏に会社の研究所でも国債暴落時の危機シナリオと対策を研究してないか、顧客の財産を守るために必要じゃないかと聞いてみた。そういうものは存在しないと応えたが、彼は知らないだけで秘密裏に研究されていると疑った。前回の記事と同じ終り方になるが、最悪ケースに備える為に個人としてどうすべきか考えるべき時が来たと思う。■