ポップ音楽の女王といわれたホイットニー・ヒューストンが亡くなったと速報が入った。死因や亡くなった場所は不明だという。90年代米国に住んだ頃彼女は正にスーパースターだった。最近はドラッグや離婚などスキャンダル以外に活躍を伝えるニュースもなく、意外感よりその時が来たかという印象だ。
彼女の死は昨夜のNHKの音楽番組SONGSでカーペンターズ特集を見て感じたのと同じ何とも言えない寂しさがこみ上げてきた。一時代世界のトップに立った二人とも幸せな死に方をしなかったのが哀れだ。
SONGSは音楽番組というより、上質のインタビュー番組のようだった。リチャード・カーペンターが谷村氏に答えて、妹カレンが約30年前に亡くなった時のことを昨日のように生々しく語った。彼自身がプレッシャーで精神不安定になり、どうしようもない無念さを改めて伝わってきた。
日米でカーペンター特集番組を何度も見たが、リチャードの想いが最も良く出ていたように感じた。インタビューは今までの番組を見て好感を持ったリチャードが、番組スタッフを自宅に招いて行ったという。聞き手の谷村氏個人の魅力と番組制作の姿勢を気に入ったのだと思う。
私がカーペンターズを初めて知ったのは、70年代初めラジオから流れてきた「雨の日と月曜日は」の天使のように透明な声にショックを受けた時のことだ。当時洋楽と邦楽が同じ番組で流れていた。数年後ベスト版を買ったが、当時こんなにも優しく美しい歌がいいと誰にも言わなかった。
70年代半ば過ぎにカーペンターズの何度目かの来日コンサートを聴きに行った。今はもうなくなった新宿の厚生年金会館だった。当時長期出張していた(といっても通勤可能な川崎市にある)事務所の女の子とダブル・デートだった。女の子達の顔は忘れたが、コンサートの後食堂みたいなところでビールを飲んだことを思い出した。
セリーヌ・ディオンみたいにこれでもかと声を張り上げて歌うスタイルも悪くはないが、聞くだけで疲れる時がある。そういう時はカレンのように自然な感じの美しい声が身体に沁みたものだ。「青春の輝き(I need to be in love)」のプロモーション・ヴィデオ(pv)を見て、何度も見てるはずなのに懐かしく涙が出そうになった。■