かぶれの世界(新)

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「美味しんぼ」は本当に言論の自由か

2014-05-21 12:23:52 | ニュース

人気漫画「美味しんぼ」の注目された最新号が小学館から発売された。風評被害を心配する多くの福島県民の声がある一方で、取材した声を世に問うという作者の趣旨に共感する声もあると報じられた(日本経済新聞)。同紙が実施した世論調査でも内容は荒唐無稽と言いながら、どんな意見にも言論の自由があるという声が56%あったという。

私は総論ではその通りと思うが、個人的には言論自由を盾に何でも言うのは危険だとも思う。大震災で福島原発事故の直後に日本じゅうのペットボトルの水が無くなった。私も長男も科学的根拠がないと言って一旦納得したが、水道水は一切使わないとママ友に聞き嫁さんは子供の健康が一気に不安に陥った。理屈じゃない嫁の安心のためと息子に頼まれ、田舎のスーパーを水を求めて駆け回った。私はこの時伝える側の責任の重大さを改めて痛感した。

一般論で言うと日本人は概して受け取る側としての成熟度が高いと思う。大震災でも世界を驚かせるほど冷静に対応した。ただ、福島原発事故による放射能汚染については政府・東電・自治体などの情報源とそれを伝えるメディアに一貫性が無く、上記のような不必要な不安と混乱を引き起こした。一方的に誰か悪いとは考えないが、テレビ新聞や週刊誌からネット世界まで夫々がどう伝え見直し分析し人々の行動にどういう影響を与えたか調査しあるべき姿を追求して欲しいと思う。

それでも現代の日本だからこの程度で済んだと私は思う。危機に瀕した時不安に駆られた人達が思いがけない悲劇を引き起こした歴史は枚挙に暇がない。この10年でもアフリカやアジアで起こった略奪や虐殺の悲劇がある。現代では考えられないが、我が国でも大正時代の関東大震災時にデマとか流言飛語が多くの朝鮮人を犠牲にした事件があった。

そういうことを思い出して、強い影響力のあるメディアは伝える内容に一定の責任を感じてもらいたい。お隣の中国の官制報道は論外だが、旅客船沈没事故を伝える韓国メディアの例を見るとまだましかもしれない。だとしても、テレビは街の声と称して実は報じる側に都合のいい意見を伝える傾向がある。同じように今回の漫画は一方的で多くの人を傷つけた。

誰かに不都合とか少数意見であっても根拠を示して伝えるのならまだしも、根拠の曖昧な意見とか発言を言論の自由を根拠に無批判に発信し、伝え受ける側の判断に任せるという姿勢は危険な場合があると心してほしい。「美味しんぼ」にはそんな配慮が無かった。また、出版社は最終号で批判に驚き本件を巡る多様な意見を紹介したが最初からそういう姿勢で臨んで欲しかった。■ 

コメント
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