先週末から台所のカウンターにウィスキー瓶が置かれていて気になっていた。通称「角瓶」と言われたサントリーのウィスキーだ。今人気のNHKの朝ドラ「マッサン」に触発されたのかと、家内に聞くとただ思いついて買っただけだという。
私が現役の頃頻繁に米国に出張するようになり、化粧品等の知識のない私がお土産に困るとウィスキーを買った。酒好きの家内には鉄板のお土産だった。スコッチがネタ切れになりワイルドターキーやハーパーを選ぶと彼女は気に入って、それ以降バーボンが定番のお土産になった。結婚数年後に彼女が安い一升瓶の地ウィスキーを見つけて毎日飲み普通に飲めるようになった。
私は生来下戸の家系に生まれたが、田舎の学校に通っている時代に悪友に誘われ18、9の頃から外で酒を飲むようになった。お酒が好きというより大人の仲間入りし、学生以外の女の子と話がしたかった。最初に連れていかれたのがぽっちゃりした中年女性のママと女の子一人だけの感じのいい小さなバーで、後から聞くと数学の教授の行きつけの店だった。別に先生におべっかを使う積りも無かったが、落ち着いて飲めるお店の雰囲気が気に入った。
そこで勧められその後どこに行っても良く飲んだのが「ブラックニッカ」だった。週1回はそこで2、3杯水割りを静かに飲んで学生寮に戻って寝た。当時学生の間で良く飲まれたのはサントリーのレッドとかニッカウィスキーだったが、金もなく味も分からないのに私はブラック派だった。何故ニッカかというと、トップのサントリーに対する「アンチ」だった。当時から性格が曲がっていた。
4年になって下宿して自由気ままな学生生活を満喫した。お金がないので安いお酒が飲める近くのスナックに行くようになり、そこではジンやブランデーからカクテルまで色々あることを知った。何故か50年前頃は清酒や焼酎などの日本酒はあまり飲んだ記憶がない。居酒屋に行く友人もいたが、私達はバー・スナック派だった。多分女の子がいたからで、そのうち酒を飲む目的が変わった。スナックのママと気が合い(と思う)、馬鹿話をするのが楽しくなった。
馴染みになり店に入ると彼女が静かにブラックニッカの水割りを出し、それだけで嬉しくなったものだ。ある時タバコに火を点けようとしてポケットをまさぐっていると、彼女がマッチに火を点ける代わりにマッチ箱をくれた。あれっと思ったが自分で火を点け、マッチ箱をポケットに入れた。その夜下宿に戻りタバコを一服しようとマッチ箱を取り出すと裏側に電話番号が書いてあった。
以前投稿したが若いくせにいざとなるとしり込みする寅さん的性格丸出しで、それからどういう意味か暫く考えたが踏ん切りがつかず電話しなかった。それどころか、それ以来スナックにも顔を出さなくなった。彼女のことを覚えている仲間が沢山いて、その後結婚して店を辞めたという消息を聞いた。ギンガムチェックのミニスカートに黒タイツ姿の小柄な彼女の姿を今でも思い出す。これが私のブラックニッカの思い出だ。マッサンに感謝すべきだろうか。■
私が現役の頃頻繁に米国に出張するようになり、化粧品等の知識のない私がお土産に困るとウィスキーを買った。酒好きの家内には鉄板のお土産だった。スコッチがネタ切れになりワイルドターキーやハーパーを選ぶと彼女は気に入って、それ以降バーボンが定番のお土産になった。結婚数年後に彼女が安い一升瓶の地ウィスキーを見つけて毎日飲み普通に飲めるようになった。
私は生来下戸の家系に生まれたが、田舎の学校に通っている時代に悪友に誘われ18、9の頃から外で酒を飲むようになった。お酒が好きというより大人の仲間入りし、学生以外の女の子と話がしたかった。最初に連れていかれたのがぽっちゃりした中年女性のママと女の子一人だけの感じのいい小さなバーで、後から聞くと数学の教授の行きつけの店だった。別に先生におべっかを使う積りも無かったが、落ち着いて飲めるお店の雰囲気が気に入った。
そこで勧められその後どこに行っても良く飲んだのが「ブラックニッカ」だった。週1回はそこで2、3杯水割りを静かに飲んで学生寮に戻って寝た。当時学生の間で良く飲まれたのはサントリーのレッドとかニッカウィスキーだったが、金もなく味も分からないのに私はブラック派だった。何故ニッカかというと、トップのサントリーに対する「アンチ」だった。当時から性格が曲がっていた。
4年になって下宿して自由気ままな学生生活を満喫した。お金がないので安いお酒が飲める近くのスナックに行くようになり、そこではジンやブランデーからカクテルまで色々あることを知った。何故か50年前頃は清酒や焼酎などの日本酒はあまり飲んだ記憶がない。居酒屋に行く友人もいたが、私達はバー・スナック派だった。多分女の子がいたからで、そのうち酒を飲む目的が変わった。スナックのママと気が合い(と思う)、馬鹿話をするのが楽しくなった。
馴染みになり店に入ると彼女が静かにブラックニッカの水割りを出し、それだけで嬉しくなったものだ。ある時タバコに火を点けようとしてポケットをまさぐっていると、彼女がマッチに火を点ける代わりにマッチ箱をくれた。あれっと思ったが自分で火を点け、マッチ箱をポケットに入れた。その夜下宿に戻りタバコを一服しようとマッチ箱を取り出すと裏側に電話番号が書いてあった。
以前投稿したが若いくせにいざとなるとしり込みする寅さん的性格丸出しで、それからどういう意味か暫く考えたが踏ん切りがつかず電話しなかった。それどころか、それ以来スナックにも顔を出さなくなった。彼女のことを覚えている仲間が沢山いて、その後結婚して店を辞めたという消息を聞いた。ギンガムチェックのミニスカートに黒タイツ姿の小柄な彼女の姿を今でも思い出す。これが私のブラックニッカの思い出だ。マッサンに感謝すべきだろうか。■