今年はどんな年になるのか、昨年も占いに困ったが今年はもっと読みにくい。
昨夏中国の為替介入以降、市場は混乱し始め株式市場は乱高下を繰り返した。私から見ると2016年はこの延長線上にある。つまり、世界経済という車は「米国利上げのペース」と「中国経済減速の程度」の2人がドライバーで、「原油価格の低落」が助手席に乗り、地政学の砂利道を走る。
また別の言い方をすると、世界経済は明確な方向性を失い、昨年より不安定な動き方をすると予想する。経済にとって決して良い状況ではない。変化の主要因となる各国の経済について以下に簡単に触れたい。(脱線するが米国で会議の席上、これを“walk through”と言ったプレゼンターに上手い表現だなと思った記憶がある。)
米国経済は底堅く金利上昇は2-3回あると予想され、ドル高で「輸出と物価上昇」の二つの頭を抑え込まれる懸念と、年末の大統領選で政治が動きにくくなる事態が、イエレン議長の判断に影響を与えるだろう。私は新興国経済の状況を織り込むと年2回の金利上昇が精一杯と予測、米国経済成長は潜在成長率を若干上回るそこそこの2.5%程度に収まる。
より不透明なのは中国経済だ。私は国内消費が6.5%を切る恐れがある、しかも実態と発表指標の乖離が大きくなり、見かけより世界経済へ大きな影響を与えるだろう。特に新興国へ深刻な影響を与える。改革が進み国内消費がどの程度カバーできるかが鍵だ。加えて習近平の統治スタイルがどこに向かうか、思い切った刺激策を発動するか、舵取りがどう影響するかとんと分からない。
2016年の世界経済は試練の年となる。各国は経済の強さを試され優劣がはっきり出て来ると予想する。欧州経済は低迷を脱しつつあるが、日本と並び世界経済の中で着実に存在感を失いつつある。日欧市場は中央銀行の金融政策に依存する度合いが高まるだろう。テロと難民対応や英国のEU離脱を問う国民投票など一歩間違えばEUの存立危機の問題が待ち構える。
新興国は最早一括りでは議論できない。上記の様に各国経済の強さを試される年になる。中国経済の減速と言っても経済規模は別格、インドが順調な成長を続ける一方、ブラジルとロシア経済は負け組の先頭を走り、それに南アとトルコも迫る勢いだ。夫々に国内政治、地政学上の問題を抱え状況によっては経済に優先して対応を迫られる可能性が高い。
ということで、昨年は「中央銀行の年」、2016年は「政治の年」になると私は占う。楽観的な私も今年の世界経済は悲観的とは言いたくない、控えめに「楽観できない」と表現したい。正直言うと書きながら「大胆占い」と言うより「小心者の占い」と感じている。しかし、これが実感だ。以上を総合して昨年10月のIMF予測と併記して私の占いを示す。
成長率 IMF15 大胆占い
世界経済 3.6 3.2
米国 2.8 2.4
欧州 1.6 1.2
中国 6.3 6.1
新興国 4.5 3.9
日本 1.0 0.7
(注)単位%、IMF15は2015年10月7日時点のデータ
最後に一言。中国経済指標が期待値を下回ったため、年明けの世界の株式市場は軒並み大幅下落した。私自身も大損したたので「大胆占い」が悲観的になったかもしれない。平素は短期的な現象に一喜一憂せず大きな流れを見たいと思っている。だが、これでは予測と言うのもおこがましい、あくまでも占い。果してどうなるか、今年も3ヵ月毎にレビューして行きます。■
昨夏中国の為替介入以降、市場は混乱し始め株式市場は乱高下を繰り返した。私から見ると2016年はこの延長線上にある。つまり、世界経済という車は「米国利上げのペース」と「中国経済減速の程度」の2人がドライバーで、「原油価格の低落」が助手席に乗り、地政学の砂利道を走る。
また別の言い方をすると、世界経済は明確な方向性を失い、昨年より不安定な動き方をすると予想する。経済にとって決して良い状況ではない。変化の主要因となる各国の経済について以下に簡単に触れたい。(脱線するが米国で会議の席上、これを“walk through”と言ったプレゼンターに上手い表現だなと思った記憶がある。)
米国経済は底堅く金利上昇は2-3回あると予想され、ドル高で「輸出と物価上昇」の二つの頭を抑え込まれる懸念と、年末の大統領選で政治が動きにくくなる事態が、イエレン議長の判断に影響を与えるだろう。私は新興国経済の状況を織り込むと年2回の金利上昇が精一杯と予測、米国経済成長は潜在成長率を若干上回るそこそこの2.5%程度に収まる。
より不透明なのは中国経済だ。私は国内消費が6.5%を切る恐れがある、しかも実態と発表指標の乖離が大きくなり、見かけより世界経済へ大きな影響を与えるだろう。特に新興国へ深刻な影響を与える。改革が進み国内消費がどの程度カバーできるかが鍵だ。加えて習近平の統治スタイルがどこに向かうか、思い切った刺激策を発動するか、舵取りがどう影響するかとんと分からない。
2016年の世界経済は試練の年となる。各国は経済の強さを試され優劣がはっきり出て来ると予想する。欧州経済は低迷を脱しつつあるが、日本と並び世界経済の中で着実に存在感を失いつつある。日欧市場は中央銀行の金融政策に依存する度合いが高まるだろう。テロと難民対応や英国のEU離脱を問う国民投票など一歩間違えばEUの存立危機の問題が待ち構える。
新興国は最早一括りでは議論できない。上記の様に各国経済の強さを試される年になる。中国経済の減速と言っても経済規模は別格、インドが順調な成長を続ける一方、ブラジルとロシア経済は負け組の先頭を走り、それに南アとトルコも迫る勢いだ。夫々に国内政治、地政学上の問題を抱え状況によっては経済に優先して対応を迫られる可能性が高い。
ということで、昨年は「中央銀行の年」、2016年は「政治の年」になると私は占う。楽観的な私も今年の世界経済は悲観的とは言いたくない、控えめに「楽観できない」と表現したい。正直言うと書きながら「大胆占い」と言うより「小心者の占い」と感じている。しかし、これが実感だ。以上を総合して昨年10月のIMF予測と併記して私の占いを示す。
成長率 IMF15 大胆占い
世界経済 3.6 3.2
米国 2.8 2.4
欧州 1.6 1.2
中国 6.3 6.1
新興国 4.5 3.9
日本 1.0 0.7
(注)単位%、IMF15は2015年10月7日時点のデータ
最後に一言。中国経済指標が期待値を下回ったため、年明けの世界の株式市場は軒並み大幅下落した。私自身も大損したたので「大胆占い」が悲観的になったかもしれない。平素は短期的な現象に一喜一憂せず大きな流れを見たいと思っている。だが、これでは予測と言うのもおこがましい、あくまでも占い。果してどうなるか、今年も3ヵ月毎にレビューして行きます。■