かぶれの世界(新)

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甘やかされた時代

2017-12-06 14:59:13 | 社会・経済
今日の日本経済新聞の連載記事「砂上の安心網」で、我が国の社会保障制度は「甘やかされた時代」にあると断じていた。「自助」の精神を失った社会保障は危機にあるという。私は全面的に同意する。この記事を読んで母の介護生活を思い出し、何が出来たか考えてみた。

2009年9月に母は脳梗塞で倒れ3か月入院、6ヵ月リハビリ入院を経て、以後7年間介護施設でお世話になり昨年7月に死亡した。6か月のリハビリで杖をたよりに歩行出来るところまで回復した母だったが、介護施設に入居後間もなく車椅子でしか移動できなくなっていた。

それを見て私はとても残念で悔しく思った。母の歩行をケアするには施設の絶対的スタッフ数が不足しているのは明らかで対応を無理押しするのは気が引けた。母を出来るだけ元気に長生きさせるには自力歩行が大事だと思ったが、施設に個人対応をしてくれとは言い出せなかった。少なくとも言ってみるべきだったと思う。

昨日取引のある証券会社に行き担当を呼び出して貰っている間ロビーで待った。その日に予定されていたセミナーの参加者が次々と入店してきて奥にある広い部屋に消えて行った。その人達は9割以上が髪の毛の白い高齢者で、中には足元が覚束かずよろよろ歩きもいた。特別お金持ちの雰囲気はないが慣れた様子だった。

少なくともこの人達は社会保障に頼らずとも「自助」の精神で「甘やかされた時代」に生きていると思った。担当は外出中だったので代理で中年女性が対応してくれた。セミナーの参加者は老人が多いと聞くと、「決してそんなことはない、今日は平日なので時間の制約のないお年寄りが来られただけです」と即座に否定された。成程そうかと答えたものの、内心ではやはり老人が多いと思った。

帰りに市の名物のけやき並木に続く神社から競馬場を経て遊歩道を歩いた。この時期の歩道はけやきと銀杏の落ち葉で埋め尽くされ、多分わざとだと思うが道の両側に掃き集められ、快晴の下で茶色と黄色の厚い絨毯の上を歩いているように気持ちが良かった。余りにも気持ち良かったので今日も歩いてみた。指摘の通り散歩道は「老人」と「幼稚園帰りの母子」の姿が多かった。これが「甘やかされた時代」のあるべき姿かもと思い歩いた。■
コメント
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