かぶれの世界(新)

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世界マッサージ紀行(5)

2005-08-23 14:37:04 | 健康・病気
毎週末ミミさんのマッサージを受け始めた頃は、週末のバドミントンを止め、たまにタホ湖近辺の山にハイキングに行く程度になっていた。アパートからかなり遠いので時間の節約を兼ね、帰りにスーパーで1週間分の食料を買って帰ることにした。楽しみというよりルーチンワークになってしまった感じである。サクラメントは戦前から移民した日系人が多く、北側の郊外に広大な水田が広がっている。治療所の近くのスーパーで日系人と思われる老婦人を良く見かけた。日本食専門の小振りのスーパーも見つけたが値段が高いので余り利用しなかった。

ミミさんは日本式按摩をやってもらったが、その間は日本に戻った気がした。彼女との会話は彼女の経験、苦労話を聞くことが主であり、かつての様に会話を楽しむというより彼女の話を一方的に聞くパターンになった。サクラメントでは市がマッサージ・セラピストを認定しているが、もぐりの日本人マッサージ師が沢山いてしかもいかがわしい事をしているらしい。彼らは技術はないがもう一方のサービスで結構繁盛しているという。

ミミさんに試してみろといわれどこだと聞くわけにもいかず、帰って電話帳を調べるとそれらしい名前のマッサージの宣伝が沢山あった。日系人と思われる人だけではなく、スパやジムと兼用のところもありはっきり見分けることは出来なかった。しかし初めからそんな勇気はなかった。ミミさんはその後も何度か愚痴ったことを考えると問題は解決しておらず進行中であったと思われる。

市は取締りの為おとり電話を掛けてきて迷惑しているという。盗聴されているかもしれないと疑っていた。彼女等は近年流れてきた人達で日系人コミュニティの締め付けも機能しないらしい。これに関連するトラブルも聞かせてくれ、随分気にしている様子だった。裏返すとサクラメントにはその手の需要が多いというもっともらしい話を聞いたことがある。政治的な野心を持った多くの人達がサクラメントに単身赴任してきている。州議会などのある通りのレストランバー等は夕方になると明らかに土地の人達とは印象の違うダークスーツのお客で一杯になる。カリフォルニア州知事が大統領になる可能性は高いのだから当然だろう。

秋になり会社の同僚からタホ・マラソンの誘われアメリカン川沿いでの週末ジョギングを平日もやるようにした。1ヶ月経過したある朝起きると突然左足の小指の付け根が痛くて歩けなくなった。初めは足をくじいたのかと思ったが医者に見てもらうと通風だといわれた。帰国した後調べると元々尿酸値が上がっていたのに、ジョギングで汗をかいた後いつもビールを飲んだのが最悪だったらしい。初めマッサージが通風の痛みを和らげ良くなるのではと期待した。患部を揉んでもらっても痛くはなかったが良くもならなかった。ミミさんいわく、マッサージで通風は良くならないとあっさり言われた。

年が明けると待ちに待った帰任の内示をもらい、4年弱の海外生活に終止符を打つことになった。この間出張や休暇で米国のボストン、テキサス、ラスベガスからカナダのバンクーバ等の多くの町に行き毎回ホテルでマッサージをお願いしたが、全てスエーデン式でやり方も値段もかなり標準化されており、1回こっきりなので特別印象に残っているところはない。私が選んだということもあるが、セラピストは中年から老年の夫人が圧倒的に多い。日本と違って目の悪い人は見かけず年をとってからマッサージ技術を教わったという感じの人が多かった。■


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選挙の争点(顔ファクター)

2005-08-19 15:47:12 | 国際・政治
衆院解散から10日も経たないのに随分状況が変化したように感じる。郵政民営化反対陣営は団結できず、反逆者37人vs小泉政権が反対派各個人対自民党の戦いになった。これでは反対者は後のことは何も考えていない、イラク戦後計画がお粗末だったと非難されているブッシュ政権より余程ひどい。うっかり反対派に付いていって臍をかんでいる議員が如何に多いことか。よく言えば後先何も考えず信念に従ったということだろうが。

解散の夜の小泉首相のスピーチは近年稀に見る素晴らしい出来だった。選挙に勝てば歴史に残る名演説と称えられるだろう。普段政治に余り興味を示さない田舎の母や親戚、近所の人達も口を揃えて良い印象を持ったと言っていた。最高の「顔」で演じたといってよい。しかし、冷静に見るとテレビは連日のように反対派の亀井、綿貫両氏を始め小林、平沼、藤井、野田各氏等の動向をまるで英雄かのように報じた。マスコミ露出度という点では反対派に圧倒的に有利であり、日頃テレビの顔となっているコメンテーターの多くは反対派寄りの立場に立ったように感じた。国民にアピールする戦いの環境はそれほど悪くなかった。

ところが反対派主役達の殆どは悪役面で喋り方も悪役面にマッチして最悪だった。選挙前の現段階では人気投票的な性格があり、今回リーダは言葉を少なくしスポークスマンをたてる戦略をとるべきであったろう。実際には反対派に共通して声高で早口にまくしたて相手の発言を封じる威圧的な態度を取るスタイルが多く逆効果であった。平沼氏でさえ苦悩の色を浮かべると、顔つきが悪くなったという印象を与えたから不思議である。折角もらったテレビ露出度の機会を悪役面で毎日感情的な喋り方をしたのでは全くぶち壊しだった。元々少ない反対派を束ねることができず、顔になるリーダが悪役に見えたのでは致命的であった。

もう一つ選挙前の争点が「中央対地方の戦い」である。従来は個人の後援会が政党の地方支部を兼ねるケースが多かったが今回反対議員を非公認にすることにより中央と地方の摩擦が起こっている。これによって地元への利益誘導を第一とする日本の政策決定プロセスを正す予期せぬ効果が期待できる可能性があり注目される。選挙区ごとに長年培って来た別の意味での「顔」がまだ力を持っているかどうかテストされる。多くの選挙民の意識は依然利益誘導型であり、今回どういうファクターがより決定的な役割を果たすか予断を許さない。有名人をぶつけると勝てるというほど簡単ではないと思われる。

いずれにしろ、第一段階は小泉政権の圧勝に終わりそうである。私が予想した以上に反対派はやっつけられ、戦う前から追い込まれてしまった。これだけやっつけられると哀れを感じるのは私だけではあるまい。郵政民営化に反対して自家撞着に陥った民主党も予想通り迫力がない。これは信頼感の問題である。今回は投票日までには後二段階くらい曲折があると見ている。次は候補者がそろいマニフェストが作られ戦いの全容が明確になり政策論争が本格化するはずである。最後は1票1票確保していく草の根レベルの戦いであり、「情」と「理」が渾然一体となって訴えられる。選挙結果は日本人の民度の表れであり、民度が問われる。日本人はそれほど政治的に成熟している訳ではない。何もかも政治家のせいにはできない。■


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老齢化社会の入口で

2005-08-17 08:50:56 | 社会・経済
先月末に人口減少社会の到来について書き、その後世界の老齢化が長短金利差の縮小を招いているという「桶屋理論」を紹介した。実際のところ数年前頃から老齢化社会についての記事が目立って増えてきた。というより私自身がそういう記事に目が行くようになったというほうが正確かもしれない。必ずしも悲観的になる必要はないが少なくとも社会全体がゆっくりと老人化(老化ではない)しているという楽しくない印象を受ける。

7日のWポストの署名入り記事によると医者であるWinakur氏の86歳の父親が人生最期の時をどう過ごさせるのか、重い現実について長文の投稿をしている。氏は我々団塊の世代が「老人」になり、「老老人」の親の最後をどう見届けるか、団塊の世代が今後共通に迎える答えのない問題を解くような重苦しい厳しい現実を淡々と報告している。氏が老人医療専門の医者であり事情を良く知っているので非常に現実味がある記事であった。 

アメリカでは4,500人が65歳以上の老人、450万人が85歳以上の老老人で、2020年までには夫々 5,300万人と650万人になるそうである。日本社会はもっと速いスピード老齢化が進んでいるが、米国でも絶対数では日本より圧倒的に多くその影響はより大きい。団塊の世代は自らが老いていきながら両親の最期を看取る現実に向き合う運命にあるのである。団塊の世代は生まれたときから最後まで「初めてXXする世代」の役割を務める運命にある。

12日のNYタイムスに面白い記事を見つけた。近年本が売れなくなった。過去5年間で売り上げが7%減少、特に日本で文庫本にあたるペーパバックが11%減少した。米国の団塊の世代(ベビー・ブーマーといわれている)が引退年齢に近づき視力が低下し小さい字が読めなくなったことがその背景にある。2大出版会社のペンギンブックスとサイモン&シャスターは一部の人気作家のペーパバック活字を大きくし行間を広げた。2、3ドル値上げしたにもかかわらず出足は好調で対象を増やしていくらしい。

これは常に市場トレンドをつくって来た団塊の世代が、引退を真近に控えても市場をリードする世代であるという分かりやすい例であると思う。堺屋太一氏は団塊の世代はこれから「黄金の10年」を迎えるという。私が先日「人口減少社会」で提案したように、子供に金をやらないことを説いている。同時に年金を上げると保険料が高くなるので若い世代は益々高齢者の金をあてにする。それより自分自身のために金を使い60歳代の需要を増やし新しい市場を作ろうと主張している。

冒頭のWinakur氏は米国は若者崇拝社会youth-worshiping societyであるが、日本は子供(私風に言うと“ガキ”)回帰願望文化であったと思う。団塊の世代がお金を使って消費スタイルを変えれば日本文化をもっと成熟させ、更に若者文化と合わせ多様化・活性化させ、老人の資産を次世代に循環させ新しい日本を作っていく基盤つくりに貢献できるのである。

私の田舎の愛媛県大洲市のWebサイトでチェックすると、合併後周辺の山村地区が組み入れられ65歳以上の人口は既に27%を超えているという。日本の多くの農村部はすでに高齢化社会に入っている。会社勤めをしている時、同じ世代の同僚と休憩時間に郷里の両親をどうするのかについて情報交換することが多かった。私も田舎に一人暮らしの母がいていつかはWinakur氏と同じ経験をすることになると覚悟はしているものの明確なプランがあるわけではない。何とか母親に元気でいて欲しいと願うしかないが、いつかはそのときが来る。何とか「黄金の10年」になるよう知恵を絞って行きたい。■


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世界マッサージ紀行(4)

2005-08-15 15:49:01 | 健康・病気
今回から話はカリフォルニアに移る。転居したサクラメント市はサンフランシスコから東に向かい内陸に車で約2時間余の小さな町だがカリフォルニアの州都で、現在はシュワルツネッガー知事が、当時はレーガン大統領がかつて州知事をしていたところである。米国ではそういうところは概して黒人を始め少数民族が移住してきて犯罪率の高いところが多いが、サクラメントも例外ではない。郊外に陸軍のデポや刑務所があり、電話帳を見るとベイルボンドといって保釈金貸し業の宣伝のページ数が異常に多いことに驚いたことがある。

引越し後落ち着いたところでイエローページ(電話帳)を開いて新しいマッサージ・セラピストを探し始めた。候補は沢山見つけたが、サチコさんの助言に従っても誰を選べばいいか全く見当もつかない。所々に共通の略語の表示があることに気が付いた。よく記憶していないが確かCMT(Certificated Massage Therapist?かなんかの感じだった)が、それを条件に女性の名前と住所を確認して3人候補を選び電話で予約し順番に試してみることにした。

最初のセラピストは郊外のアパアートからワッツ通りを南にアメリカン川を渡って直ぐの住宅地に住んでいた。その町の通りに入るや否や直ぐに来たことを後悔した。米国にしばらく住むと歩いている人の様子、家や芝生の手入れの具合、止めてある車を見てその地域が安全かそうでないか直ぐに分かるようになる。後から聞くとここは行かないほうが良いと助言を受けた所である。しかし、マッサージに飢えていた私はかまわず目的の家を見つけ玄関のドアベルを鳴らした。外観は比較的小奇麗なランブラー(1階建て一軒家)で看板など一切なかったが番地表示があったので迷うことはなかった。

出てきたのは初老の小太りで穏やかな感じの婦人でほっとした。型どおり質問表を埋め簡単に自己紹介しマッサージが始まった。自宅を診療所にし、スウエーデン式であった。やり方は良く分かっていたので部屋の感じからマッサージの進め方まで予想通りに進みあまり印象に残っていない。彼女は夫に先立たれ子供は独立し年金で暮らしているといっていた。マッサージは普通で特に良くも悪くもなかった。

次の週は日系アメリカ人のような名前の女性だった。電話では訛りの強い英語で道順を教えてくれたが私には聞き易かった。日本人特有の訛りだったからだと思う。今回はダウンタウンの東にある自宅から西南に高速80号、5号を通って小1時間かかるところでかなり手間取ったが、前週よりはずっと安全な感じのする所に診療所を見つけた。玄関を入っていくと先客が身なりのいい中年の女性だったので安心した。

ミミさんは1世の日系アメリカ人で一言二言言葉を交わしてその後直ぐ日本語の会話になった。弱視の為日本の盲学校に入りそこで按摩技術を身につけ、若い頃に日本式マッサージという特殊技術保有というビザをもらってグループでサンフランシスコに渡り、色々な経緯を経てサクラメントに家庭を持ちマッサージを続けているという。

彼女のマッサージはさすがプロというかツボを押さえたもので、その後スエーデン式や足踏みマッサージをやってもらったが何でもそつなくこなした。足踏み式は天井に物干し竿のようなバーがぶら下がっており、彼女はそこに摑まってバランスと強さを按配して私を踏みマッサージしていく。しかし、結局のところ日本式の按摩が一番私には合っており最終的に普通の日本式の按摩をお願いした。

3週目は80号線を北東に1時間走ったローズビル市に近い郊外の住宅地で、私のアパートから最も遠いが雰囲気が良く比較的裕福な住宅地のように見えた。ガレージが二つ、玄関はこじんまりしているがバックヤードが広い2階建ての良く手入れされたうちだった。ベルを押すと品の良い銀髪の中年婦人が出てきて居間に案内してくれた。MJも子供が独立して夫と二人で暮らしているという。

彼女のマッサージも予想通り普通のスウエーデン式で、腕前も普通だった。BGMは他と同じような感じの環境音楽だったが、部屋の窓が広くて明るく、カーテンと花や絵で美しくデコレートしてあり、私はお決まりの薄暗い部屋より気に入った。話している間に休暇で帰っていたというお嬢さんが、会計士として働いているサンフランシスコに戻るといって母親とハグをして出て行った。すごい美人だった。マッサージを受ける前から又来ようと決めたが、その後2度と幸運はこなかった。

3週間のトライアルの結果、ミミさんを毎週やってもらうメインのセラピストに決めたが、バックアップとしてMJのところにも時々行くことにした。帰国後出張でサクラメントに長期滞在した時は何故かMJのところに行った。多分お嬢さんの顔を拝みたかったのだろう。■


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選挙の争点「新ゲームのルール」

2005-08-14 12:00:39 | 国際・政治
このところの「刺客」報道を見るにゲームのルールが変わったと思わざるを得ない。従来のゲームのルールは大雑把に言うと政策は異なっても先ず政権を取れる政党(自民党しかない)に所属し、票を稼げる有力団体の支援を受け選挙に勝ち抜き、当選後は族議員として省益最優先の官僚と一致して支援団体の既得権益を守っていくというものであった。民も官も形を変えてこの政策決定プロセスを使って既得権益を守ってきた。

今回の衆院選では選挙の段階で政策を掲げその是非を問うものに変化した。反対候補は横暴・独裁などと過激な言葉で非難しているが、政党が政策を明確にし国民が選挙で選択するという政策決定プロセスは、日本もごく当たり前の普通の民主主義国家になったということである。争点になっている政策について政権を握る自民党が公約した政策に反対する議員に対立候補を立てるのは至極当然である。国民が判断して賛成するか否か決めるのだから横暴とはいえない。それが郵政民営化だけでよいのかという議論はあるが。

国民の意思が直接反映され政策になっていく新しいゲームのルールで戦うことの意味を理解しない政治家や報道の発言が依然として多い。郵政民営化を政局としか捉えず刺客を扇情的に伝える報道が異常に多いのは、JR西日本の事故報道の姿勢が「情」に偏り「理」を忘れ根本解決を求めないのと同じ体質を感じる。しかし、極端に言えば長期的には新ルールが定着することの意味は選挙の勝敗以上に重要なことになると私は思う。

新ルールが今回限りで後退する恐れが全くないわけではない。自公民、民主ともに過半数を取れず小泉首相は退陣、郵政民営化反対議員がキャスティング・ボートを握り、自民が政権維持のため反対議員を取り込み、新政権が従来政策決定プロセスを復活させる可能性がある。小泉政権は大博打を打ったと見る海外論調が多いのもこのシナリオを予測してのことである。しかし今回も自民、民主ともに有能な若手官僚が参画し徐々に大きな勢力を作りつつある。この選挙後彼等の影響力を無視し得ない新しい勢力分布が出現する可能性がある。政局が流動的になった場合、彼らは従来プロセスをベースにした政治グループ形成に対抗する勢力になるであろう。

現在までの報道を見ると従来プロセスの中で生きてきた反対議員は、新ルールの下での戦い方を知らず準備不十分で右往左往している。今回敗れることは、議員としては支援団体に報いる政策を決める過程での重要な役割を失い、政治的な力を失うことを意味する。以降政治の場に新しいルールの定着が進んでいく第一歩となるであろう。今回の選挙は我が国が図らずもこのような重大な転機にたち、国民が選択できる稀有な機会なのである。■


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