かぶれの世界(新)

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汚名ロンダリング

2010-09-14 10:15:18 | 国際・政治

民主党新代表が今日午後には決まり、順調に行けば新首相になるはずである。国民に人気がないどころか嫌われてさえいる小沢氏が、代表選に立候補することはありえないと私は最初思った。だが、その後の2週間は私の予想を超えて極めて興味ある展開であった。

代表選の開始直後は、小沢氏の「政治と金」を非難するネガティブキャンペーンが見られたが、すぐに両陣営は方針転換して少なくとも表面上(テレビニュース)は取り上げられなくなった。そのうち口下手を自認する小沢氏が菅氏より雄弁に見えるようになり、新鮮な印象を与えた。

鳩山内閣発足以来この1年間、真偽は明確ではないが‘検察発メディア経由の小沢氏に対するネガティブキャンペーン’が続いた。対して、この2週間は「政治と金」への言及が抑制され、根拠のない糾弾と指摘するかつて少数派だったプロの評論家やコメンテーターの発言が目立った。

2週間もそういう報道が続くと、小沢氏は指導力があって弁舌爽やかに理想を語る強いリーダーという雰囲気が出てきた。小沢待望論とまでは言わなくとも、彼にやらせてみたいという雰囲気だ。仮に代表選に負けても寧ろ小沢氏の影響力が強まると解説する評論家の声が聞かれる。

これが意図した代表選の戦略であったとは思わないが、結果的に小沢氏にとっては最高のポジティブキャンペーンとなった。「政治と金」という汚名で非難されず自説を主張できた2週間は、「汚名ロンダリング(洗濯)」となった。これは民主党代表選で挙党体制を維持したいという特異な環境で起こったと考える。だが、私はある種の怖さを感じた。

世論調査は依然菅氏の支持率が圧倒的だが、それは消極的支持だと断じる声をメディアは伝えている。その一方で、テレビメディアのインタビューに答える元気な積極的小沢支持の声が目立った。テレビは情勢を5分5分と伝えたいのだろう。それは民主党議員の声であって民の声がそうではないはずなのだが、今回それ程重要視してないように感じる。

小沢氏はこれだけ世論の支持が無い逆境で、めげることなく自らが首相に相応しいと主張を続け、一国の首相になるかもしれないところまで来た。小沢氏しか出来ない凄いことだ。だが、この選挙が野党を巻き込んだ戦いであれば、「汚名ロンダリング」効果は生じなかったろう。

野党は容赦なく「政治と金」を指摘するネガティブキャンペーンを展開し、今とは全く違った状況になったと推測する。しかし、それは先送りされただけで、今日午後に選挙結果が判明したところで第2幕が開く。■

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ターンアラウンド出来ない人達

2010-09-11 23:34:10 | 日記・エッセイ・コラム

毒にも薬にもならないが普段気になっていることを一つ。山の遭難事故の中で、「悪天候とはいえこれほどの経験を積んだ登山家が何故?」と思うような事故が時折報じられる。詳細な事情が分かる前から私は、もしかしたら彼(彼女)等はターンアラウンド出来なかったのではと疑う。

ターンアラウンドとは方向転換、登山の場合だと山登りを諦めて途中のキャンプに戻るか引き返す(ターンバック)場合に使われる。ベストセラーになったエベレスト登山の大量遭難を扱った小説Into Thin Airでは商業登山におけるターンアラウンドの判断がテーマだったと思う。

登山家にとっても残りルートの難易度とその時の天候や体力から、ぎりぎりの判断をするのはそれ程容易ではないようだ。先年起こった北海道登山ツアーの悲劇は、ガイドがターンアラウンド判断を誤まった為だ。先日テレビ番組で紹介されたアルプスの登山ガイドは、途中のチェックポイントに到達するまでの経過時間が規定より遅かったら、ガイドは顧客を下山させるという。

アルプスのように歴史のあるガイド教育がしっかりしているところは別にして、通常は当事者が判断するしかない。アルプスガイドの目標は登頂させることではなく、「登山者を無事に里に戻すこと」というのは、日常生活や経済活動において目的を失い立尽くす私達へのメッセージと感じた。

確かにやりかけた途中でターンアラウンドする難しさは山登りだけではない。先日奥秩父の遭難救助でヘリコプター事故が発生し、その取材で更にテレビ局の二人が遭難した事故はプロとアマチュアが織り成す悲劇だった。悲劇的な多重遭難を避けることは出来なかったのだろうか。

最初にベテランのガイドに率いられたパーティの一人が滑落し死亡した。救急に当った最も優秀といわれるパイロットが操縦するヘリコプターが墜落し搭乗していたクルー全員が死亡した。更に事故取材のため現場に向ったベテラン記者とカメラマンが水死して発見された。

既に心肺停止し時間が経過していたと報じられた老婦人登山のため、ヘリコプターの緊急出動が出動すべきだったか、或いは天候状況を見て引き返す判断はなかったのだろうか。ニュースクルーはガイドの助言で一旦引き返したのに再度山に入ったが、その途中で天候と装備などを考慮してターンアラウンドの判断は出来なかったのだろうか。

別のテレビ番組で、カメラマンはカメラを覗いた途端どこまでも取材対象に迫っていく習性があるという。成る程、この人達はターンアラウンド出来ない人だと思った。ベトナム戦争以来、戦場に赴き銃火に曝され命を失ったカメラマンは多い。私の印象では記者ではなく何故かカメラマンだ。だが、職業が仕向ける習性だけではないかもしれない。

実は私も昔バイクに乗っていた頃、ツアーに出て山道のワインディングで車体を傾けた瞬間にスイッチが入り、里に出るまで理由無く攻める運転をした。四輪しか乗らない今でもハンドルを握るとそういう気分になり、同乗者を怖がらせることがある。気分のターンアラウンドが出来ない。

米国ワシントン州に住んだ時、週末になると近郊のタコマ富士やオリンピック国立公園の山をバックパッキングで歩いた。殆どはテントを背負った単独行なので、冬以外の季節で天候を選んで注意深く行ったが、一旦トレイルヘッドに取り付くと猪突猛進した。早く移動するのもリスクを減らす。

ただ一度だけ遭難の危険を回避したターンアラウンドがあったと思う。それは秋口のタコマ富士で中腹が白くなり始めた頃、シーズンの終わりに西側のハイキングルートを縦走しようとした。麓のロッジには結構ハイカーを見かけたが、軽い装備のデイハイカーが殆どだった。1時間かそこら歩いたところでボタン雪が降り始め、そのうち山道の見分けがつかなくなり始めた。

降雪が酷くなり10-20m先までしか見えなくなったので、適当な木陰を見つけ様子を見ることにした。その間に二組のフル装備のパーティが下山してきたので、行けそうに感じた。だが、雪は益々酷くなり小一時間経って下山することにした。初めてのルートで怖かったこともある。帰りは直前のパーティの足跡も微かに残っている程度で、もう少し遅れたらヤバかったかもしれないと今も思う。

実際は適切な判断が出来るかどうかより、何時が判断の分かれ目となる大事な時かということすら分からないことが多い。総ては後から結果で評価される。それも直後か十年後か分からない。上記のアルプスガイドの番組を見て、教育や訓練で危機を回避することが出来る。初めてなら融通が利かないと批判されても、原則に基づいてターンアラウンドの可否を判断することと思う。■

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類は類を呼ぶ?

2010-09-10 19:09:11 | 国際・政治

記事を書くに先立ち念のため調べると、「類は友を呼ぶ」が正しいのだそうである。ネットの解説によると「類は類を呼ぶ」と誤用する人が多いらしい。私もついぞ疑うことなく「類は類を呼ぶ」と理解し使ってきた。多分中学時代に誤って記憶し、その後50年も訂正されなかったということになる。今となっては間違っていても「類は類を呼ぶ」のほうがピンと来る。

それはさておき、何故この諺を引用したかというと、鈴木宗男氏の受託収賄罪が確定し近く収監されるというニュースが昨日報道され、これを見て現在進行中の民主党代表選で小沢氏の「政治とかね」の問題を想起したからだ。鈴木氏は先頭に立って小沢氏を支持してきた。

木氏と小沢氏には同じ臭いがする。依然として二人の政治手法が利益誘導的体質を色濃く残しているからだ。田中角栄首相時代の利益誘導は直接政治資金を要求し、合わせて特定政策の受益者に集票マシンの役割を求めた。数は力なりという信念の表れであり、小沢氏はその正統な後継者といわれる。

手法は巧妙になったが今も小沢鈴木両氏は基本的に同じ体質と感じる。小沢嫌いの私の決め付けかもしれないが、彼が民主党幹事長時代に陳情を幹事長室に一本化し取り仕切った側近達にも同じ体臭があるように感じる。自民党時代よりもっと徹底しているように感じた。

小沢氏の周りの人達に「政治とかね」の問題で起訴され司法の裁きを受けるか、これから裁きを受ける人達がヤケに多い。鈴木氏も自民党時代に小沢氏と同じく田中派に属し、「利益誘導政治」の中枢で活躍した代表的な政治家だった。裁判中は「国策捜査」と検察を非難したのも、小沢氏が捜査を受けた時と同じような反応だった。

鈴木氏は地元への利益誘導は政治家として当然と公言して憚らなかったと伝えられている。だがそれをアンチテーゼとして民主党は結党されたことを忘れている。自民党すら野に下り再び支持を取り戻すためそういう体質から脱却を図っている。今、田中時代の体質を最も体現しているのは皮肉なことに民主党の小沢グループだといってよい。

沢氏側近にはロジックを超えた喋り方が「類は類を呼ぶ」ミニ小沢と感じていた。一方、新人議員はどれだけ理解しているか分からない。選挙でお世話になり盲従しているのか、もう朱に染まったのか。いわゆるインナー・グループからは少し離れているが、小沢氏の経験や「突破力とか豪腕」に期待すると主張する議員達もいる。そこに政策はないが、彼らだけの責任ではない。

メディアが求め、両候補ともに約束した政策論争が深まらないのが一因だ。小沢氏はマニフェストを順守してないと非難し、普天間基地は米国と沖縄がともに満足する妥協案を見つけるというが、実は財源は曖昧で代替の腹案もない。鳩山首相の無責任な迷走の悪夢を思い出した。菅首相は現役首相として現実を知り具体的政策に慎重で物足りない。両者とも切り込み不足のジレンマに陥いり、政策の違いが狭まってきている。

私は、国民に選ばれた議員諸君には高い志を求めたい。彼等は菅内閣がねじれ国会に対処出来ず早晩解散に追い込まれると恐れ、小沢氏なら剛腕を発揮して野党との(連立)工作に成功し解散総選挙を先延ばし出来るとの期待があるといわれている。しかし、民主党代表選に留まらず首相を選ぶプロセスに参加している責任の重さを感じ取って欲しい。

小鳩体制時の民主党は裁判で有罪判決を受けた鈴木宗男氏を控訴中であるとして外務委員長に指名した。随分ひどい政治任命だと思ったが、その時はさすがに大臣にしなかった。だが、小沢氏の場合は選挙に勝ち首相になるとそれでは済まない。そんな為に剛腕を発揮する積りはないというが、私は信用出来ないと思う。政策面でも上記の如く財源の根拠が疑わしくなってきた。

報道によると民主党議員だけでなく、一般国民にも小沢氏の剛腕で国難を乗り切って欲しいと期待する人達が少数派ながらも結構いる。それも民度の表れだが、抜いてはいけない危険な「両刃の剣」だと私は思う。裁判中の首相に剛腕を発揮することを期待する国民はいない。鈴木氏の有罪確定は、小沢氏が首相になることの危うさに国民は改めて気がついたと考える。■

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民主党代表選のネット民意考

2010-09-06 13:55:20 | ニュース

末に実施された新聞テレビ各社の民主党代表選に関する世論調査は、何れも菅氏への支持が小沢氏を圧倒的に上回ったと報じられている。民主党代表選が開始されて1週間、代表選出馬演説や討論会を見た。久しぶりに見る小沢氏の露出が急増し新鮮に感じた。彼の主張する内容には迫力があり引き付けられる国民が増えるかも知れないと私は思った。

しかしふたを開けると世論の支持は1週間前と同じく菅氏が小沢氏を大きく上回る結果となった。経済政策や普天間基地問題などの個別の政策を見ると、支持率にそれ程の大差はない。なのに首相としてどうかと聞かれれば、圧倒的に菅氏というのが国民の声であるといえよう。

言い換えれば、国民は政策や実行力では一定の評価を与えても小沢氏を信用していない、「政治と金」の疑いを誤魔化している人に首相になってもらいたくないという、小沢アレルギーの様な反発があると感じる。

‘政治用語’で言えばまさに「不徳の致すところ」と本人が言わないものだから、替わって国民に決め付けられたようなもんだ。日本だけでなく海外メディアの評判も概して悪い。極端に言うと小沢氏を当選させては我国の民度が疑われて恥かしいとさえ感じる。

や一方で、世論調査結果とは違う根強い小沢支持がある。大きく分けると三つの要素があると私は考える。一つは民主党内世論で依然小沢支持が上回っていると今朝も報じられた。だが菅氏が当初の予想より善戦しているらしい。二つ目は自治労や日教組及び民間労組の組織票だが、近年の選挙で徐々に組織力の低下が指摘されており今回どの程度統一した行動がとれるか不透明と見られているようだ。

三つ目が意外にもネット世界の世論である。今回一般の世論調査と逆転し小沢氏の支持が菅氏を圧していると報じられている。将来の世論形成に大きな影響力を持つ可能性があるとみて、この数年ネット世論の動向を見てきた。例えば米国では政治的な意思表示をする時選挙民は何を見て判断するか問われ、ネット情報がトップに来ると調査結果が示している。

しかし私の見る限り、日本のネット世界は依然少数派で概していうと非寛容で民族主義的な方向に向かい極端に流れる傾向が強いという印象がある。世論を導く先進的リーダーになるより、「はねあがり」者的振る舞いになりがちな感じを受ける。

先進国でも多様なネチズン動向があるが、日本の尖がったネット世論は違和感がある。携帯やパソコンなどこれだけIT機器が浸透し国民生活のメインストリームに入って来たのに、それを使った世論形成がこんなに極端なのは何故だろうか。何か日本特有の文化的背景があるのだろうか。

ット世論は新聞・テレビが乱数を発生させて不特定多数に意見を聞く調査方法とは異なる。明確な主張を持ったネチズンが、主体性を持って積極的に意思表示した結果である。菅氏に多いと言われる小沢氏よりはマシという消極的支持者は、そもそもネット世界でわざわざ意思表示しない。

数年前田中康夫氏の再選を阻んだ長野県知事選前、ネット世論は圧倒的に田中氏を支持した。選挙結果は従来メディアの世論調査通りになった。当時はパソコンを持たない老人層の票が決定的な影響を与えたと私は推測した。それから数年経ちIT機器は格段に普及したのだが、今回の従来世論とネット世論の乖離は寧ろ拡大したように感じるのは何故だろうか。私には謎だ。

断っておかなければならないのは、ここでネット世論といって引用したのは2チャンネルとLivedoorである。日経BPのような主要メディア傘下のWebマガジンが実施したネット調査は菅氏が優位と伝えられている。日本で世論形成に影響を与えるのは依然としてテレビ、それに次いで新聞であり、ネットは全体としてまだ信頼できる発信源になっていないというのが私の率直な印象だ。■

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介護録10秋(予告編)

2010-09-05 16:30:27 | 健康・病気

今年の春に母を老人ホームに入れ全てを施設に委ねたので、介護録というにはいささか面映い。狭義の介護は何もしてない。異常気候による酷暑の為連日お亡くなりになる老人のニュースを聞くと、老人ホームに入居させて本当に良かったとつくづく思う。

高齢者が暑さをどう感じどう振舞うのか、周りの家族はどうすべきか私には全く知恵が無かった。幸い母は有料老人ホームに入れるだけの年金と預金があったので迷うことはなかった。もしそうでなく私が全てを負担するとなれば、残された家族の事を考えてどうするか迷ったろう。有料老人ホームの生活にはかなりの費用がかかり、家族の協力無しにはそう簡単に判断できなかったろう。

老人ホームにいても何かと問題が起こるから安心できない。先月末に老人ホームから連絡があり、手違いで母の食事にパンを与え喉に詰待ったと連絡があった。その場で介護士が背中を叩きパンを取り出せたが、翌日レントゲン撮影すると肋骨が折れていたらしい。幸い母は痛みを感じないようで生活に支障が無く、自然治癒を待つということになった。

一安心と思ったところ数日前に母の主治医から連絡があり、このところ血糖値が300以上になったので、インシュリンを即効性の高い成分に変更して1日3回投薬に変更するので家族の了解を得たい旨連絡を受けた。それを聞いて私は食事の摂取量に関係がないか気になった。

昨年母が脳梗塞で実家の近くの市立病院に入院した時、食事は1日1200kcalに限られていたが、リハビリ病院に転院後は一般の人と同じ1600kcalに変更され、血糖値も100-200台とそれなりに落ち着いていた。今回先生に確認すると、食事は1400kcalに設定されていたという。

食事について二三質問をしたもののそれは母の様子を確認する為で、基本的には先生の診たてに従いますので宜しくと返事をした。だが昨日になって、それでも血糖値が500を突破したので食事両を1200kcalに減らしたと連絡が来た。母の様子は普通と変らず安定しているらしい。

このところ骨折や血糖値の上昇でやり取りをして、老人ホームの担当の方がアタフタしている感じを受け、こんなことで大丈夫かと若干不安になってきた。それでも何か異常があればタイムリーに対応してもらえるので自宅介護よりマシなのだが。やはり定期的に私が訪問して見なければと思った。今月後半には予定通り実家に戻り主治医と介護担当の話を聞くつもりだ。■

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