菅首相退陣の声が益々強まっている。予想はしたが、そうなって欲しいと思って予想した訳ではない。11日の首相会見の質疑で産経新聞の記者が面と向かって「リーダーシップが無い」とか、「何故地位にしがみつくのか」と迫った。私はラジオでこれを聞いていてハッとした。幾らなんでも一国の首相に対して礼を失する言い様だ。
その後NHKのニュース解説で、首相の「震災後1ヶ月たった、これからは復興に向かって進もう」というメッセージは具体的内容に欠け、リーダーシップの無い首相は早々に退陣すべきであると説いた。NHKがここまでいうかと再び驚いた。この傾向は産経とNHKだけではなかった。翌日の新聞はどれも同様に、復興を実現していくリーダーシップに疑いを示す内容だった。
私が見た全てのメディアが菅降ろしを始めたように感じる。これは安倍・福田・麻生・鳩山政権の末期に見られた報道姿勢とよく似ているように感じる。だが後先考えもせず退陣論を報じる懲りないメディアは無責任な記憶喪失症で、私は怒りすら感じる。今首相を辞めさせて国をめちゃくちゃにするのか、という感じだ。そして無理やり辞めさせると、今度は「無責任」と決めつける。どっちが?君たちは何度もそれを繰り返してきた健忘症の人達だ。
もし首相を替えるとすれば野党第一党の自民党だ。しかし、今回の原発事故の背景には長年の原子力政策を担った自民党政権が大きな責任を負わなければならない。だが、自民党幹部から何らメッセージは聞えてこない。又、先の統一地方選で与党の議席減を言い募り、自民党も議席を減らした反省の弁は聞えてこない。国民の大多数が求める大連立には言を左右して態度を明らかにしない。今、彼らが国民の信に応える動きをしているようにはとても思えない。
一方、与党内でも小沢氏がグループ内の会議で「菅首相自身のリーダーシップの見えないままの無責任な内閣の対応は、今後さらなる災禍を招きかねない」と批判し、首相退陣を求めたという。この人はどんな時でも政局でしか発想できないという印象だ。今回の米軍の歴史的な支援を見ても、鳩山氏が首相を続けていたら米軍の支援がこれほどになったか考えただけでゾッとする。この事態になっても復興財源の為のマニフェスト見直しに反対する。小沢・鳩山体制の再現だけは勘弁して欲しい。
私は別に菅首相の支持者ではないし彼が強いリーダーシップを発揮しているとも思わないが、現在の首相批判とそれに続く退陣が何か良いことを生むとはとても思えない。小泉首相以降リーダーシップを発揮した首相などいない、この国では幸か不幸か例外なのだ。稀有な例外を求めるのを止めて、皆が復興に向かって知恵を出し合っていくしかないと私は思う。
という事は、どうやったら前向きで建設的な取り組みが出来るかそれぞれの立場で仕事をするかだ。後先考えずケチだけつけても何も貢献できない。ましてや上記の記者質問などは噴飯もので、ああいう物言いが全国ニュースに流れてよいのか記者の資質を問うべきだ。国民が選んだ一国のリーダーに対する敬意が無い国が復興し又繁栄を取り戻せると思えるか。もしかしたらその程度の国かもしれない・・・そうではないと信じたい。■