一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

8ヶ月ぶりの蕨将棋教室(中編)

2017-12-12 00:04:19 | 蕨将棋教室
11日未明に見た夢は、私が1,000円カットの店に入るとイチローが店員で、そのイチローにカットしてもらった。
だがイチローは私の耳の辺りをカットしただけで、終わってしまった。
私はもっとカットしてもらいたかったのだが、仕方ない。

   ◇


第6図以下の指し手。▲3三と△4九銀不成▲2七玉△2八金(投了図)
まで、Fuj氏の勝ち。

自玉は△4九銀不成▲2七玉に、△3八銀不成でも△3八竜でも詰みはない。私は▲3三とと詰めろを掛け、これで勝ったと思った。
Fuj氏は△4九銀不成。私は▲2七玉。読み筋通りの進行で私の勝ちのはずだが、何だかイヤな予感がした。
Fuj氏は静かに△2八金と置く。
はああーー!?!?
何とトン死である。

第3の王手、△2八金を完全に見落としていた。とはいえ難しい筋ではなく、これに気が付かないとは、アホの極みである。バカバカしくなった。
「端の位が大きかった。△1四歩▲1六歩型だったら全然ダメでした」
とFuj氏。だが端歩受けずは私の作戦だし、そもそも第6図では私が勝勢だったんだから、端のやりとりは関係ない。
戻って第6図では▲4八銀だった。以下A△4七金▲2七玉△4八金は▲3三と△1二金▲2三と△同金▲3二銀で一手一手。
B△3二銀は▲3三銀不成で、これが次に▲2二角△1四玉▲2四銀成△同玉▲2五歩△2三玉▲3二飛成△同玉▲3三銀△2三玉▲2四歩以下の詰めろ。よって△3三同銀となるが、以下▲2五桂打△同歩▲同桂で寄る。
つまり一手▲4八銀と受けておけば、先手が余していたのだ。
いままでFuj戦では5手詰を逃したり時間切れ負けがあったり、数々の逆転負けがあったが、本局はその三指に入るヒドイもの。こんな将棋を指しているようじゃ、とうてい対戦成績は挽回できない。
今回は心底呆れた。

2局目は小学生の少年と指す。私は初見だが、少年は来席して2~3ヶ月だという。
とりあえず私の四枚落ちで指す。少年は端を攻めず正統居飛車できた。これでもけっこういい勝負になる。
私の右ではW氏が女の子相手に回り将棋を指している。女の子は将棋を指すより、子供たちとワイワイやるのが楽しいようだ。
私は1局終わり、引き続き2局目が始まったが、彼のお母さんが迎えにきて、これは指し掛け。
Fuj氏と常連の男性氏は植山悦行七段との指導対局に入っていたが、私はTakah氏と指す。
Takah氏もこの教室の常連だが、私とは初対局。植山七段がTakah氏に「このオジサンは駒落ちがうまいですからネ、気を付けてくださいヨ」と注意を促す。
私は例によって△4二銀型で構えたが、Takah氏が棒銀で来たので、私は2手損して△3一銀~△2二銀とした。
その後も難しい戦いが続いたが、Takah氏が長考後に悪手を指し、徐々に私の形勢がよくなっていった。
Takah氏は熱心なのだが、ガムを噛みながらの対局がよくない。植山七段に教えてもらう時も噛んでいるはずで、植山七段は温厚だから黙認しているのだろうが、厳しい先生なら一喝している。

私は△6四に桂を据え、△7六桂と跳ねる。この時植山七段がお手洗いから戻ってきたが、局面を見て、「一発入っちゃいましたね」とつぶやいた。

第1図以下、▲7六同銀△同歩▲8七金?△8六歩▲同角!△同金▲8三歩?△同玉▲8六金△7七銀▲8七玉△8六銀成▲同玉△8五歩?▲9七玉×△8六金▲9八玉△7七歩成▲2八飛△7八歩▲7五桂△7四玉▲9七銀△8七と▲8九玉△9七金(投了図)まで、私の勝ちとなった。

▲7六同銀△同歩に▲8七金寄が疑問で、△8六歩が入って優位が拡がった。ただ▲8六同角は好手で、私はほかに手がかりがないから、意外に難しく、驚いた。
ところが▲8三歩の王手が微妙で、私は手順に玉を前進し、またよくなったと思った。
Takah氏の最後の悪手が△8五歩に対する▲9七玉で、△8六金と抑えられてはもういけない。△8五歩には強く▲同玉でよかった。
それにしてもTakah氏は長考が多い。△9七金の局面でもしばらく考えていたが、これにて受けなし、をすぐに理解してもらわないと困る。
簡単な感想戦が終わると時刻は午後8時10分を過ぎていた。
いよいよ植山七段に教えていただく。見るとFuj氏戦は相居飛車。常連氏戦も相居飛車だが、植山七段が右玉に構えていた。
こちらも駒を並べ、対局開始。大野八一雄七段には角落ちで教えてもらっているが、植山七段はプロには珍しい「平手派」である。
私が▲7六歩と指そうとすると、植山七段が「あ、違うんだった」と言った。「(今は)私が先手でやらしてもらってるんだ」。
それで▲2六歩(△8四歩)と突いた。
(つづく)
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8ヶ月ぶりの蕨将棋教室(前編)

2017-12-11 00:04:04 | 蕨将棋教室
11月28日(火)は久しぶりに蕨将棋教室に行った。同教室は講師が植山悦行七段で、月2回開講。曜日は不定期だが日曜日が多い。参加費は大人2,500円。開講時間は午後6時~8時だが、毎回自然延長し、9時過ぎに終わる。最近は藤井聡太四段効果で子供たちの参加も多く、植山七段もてんてこまいというところ。28日は火曜日なので生徒の参加も少ないと考え、蕨に出向いたわけだった。

午後から職安に行き、今回も1社手続きをし、1駅先近くにある「小諸そば」で二枚もりを手繰り、京浜東北線に乗って蕨着。駅前の「ぱるる」に入った。
と、1階のエレヴェーター前でFuj氏とバッタリ。Fuj氏に会うのはけっこう久しぶりだ。
しかし私のようなプーはともかく、一流企業に勤めるFuj氏がこの時間ここにいるのがよく分からず、アンタ、ホントに仕事してるのか?と質したくなった。
「室谷さん(由紀女流二段)との将棋は快勝でしたね」
とFuj氏。
「いやそうでもない。あれは時間切れ引き分け」
あれは私がすっぱり決めなければいけなかった。
私が入室すると、W氏は珍客に驚く。実に3月12日以来である。
Fuj氏も続いて入室し、W氏が苦笑い。Fuj氏は最近のプロの指し手を、さっそくW氏に示す。さすがは将棋バカのFuj氏だと、私は呆れるばかりであった。
植山七段はTahah氏、子供3人に指導対局中。すぐ女の子が来たが、W氏の勧めで、私とFuj氏が指すことになった。
Fuj氏との対戦成績は私の14勝18敗。私は棋友との正確な勝敗数は把握しないが、対Fuj戦のそれが分かるのは、Fuj氏が一時期、私との対戦成績を呪文のように唱えていたからである。
そのたびに私が大幅に負け越しているので奮起したら、何とか勝ち星が付くようになった。
ターニングポイントは私の14勝15敗で迎えた30局目で、この将棋、最終盤は私の必勝形だったのに、何と時間が切れて、負け。これに勝てばイーブンだったのに、まったくバカなことをした。
後日の2局も連敗し再び星が開いてきたが、内容的に押された気はサラサラなく、今日も必勝の気構えで臨んだ。
私の先手で、▲7六歩△8四歩。私が矢倉を志向すれば、Fuj氏は急戦で来そう。それで▲5六歩とし、以下中飛車に振った。
△1四歩には挨拶せず、別の手を指す。Fuj氏は△1五歩。まあそうであろう。
私は▲4六銀から▲6七金型に組む。何となく大野流(源一九段)を目指したのだが、ヘボがマネするべきではない。Fuj氏に銀交換され、私のみがその銀を盤上に置くことになり、つまらない展開にしてしまった。
「この時間から濃い戦いだねー」と、自分でカードを作っておきながら、W氏が苦笑した。

第1図以下の指し手。△4五銀▲同銀△同金▲5四歩△5六歩▲同金△6七銀▲4五金△5八銀成▲同金△7七角成▲6四歩△8八飛(第2図)

第1図からFuj氏は△4五銀と打った。形勢はともかく、相手も銀を投入してくれたので、気分的にラクになった。
▲4五同銀△同金は後手の注文通りだが、▲5四歩が期待の一手。歩成を受けるのは利かされだから、Fuj氏は△5六歩と角道を通しつつ金取り。
以下▲5六同金に△6七銀。この進行はFuj氏も読み筋だったろうが私も望むところで、ノータイムで▲4五金と金を取った。以下△5八銀成▲同金となり、この進行は二枚換えで先手も戦えると思った。
だがFuj氏の△7七角成も大きな手で、私は次の△6五飛を防いで▲6四歩を入れねばならず、冷静に考えると先手がわるかった。

第2図以下の指し手。▲5三歩成△5八飛成▲6二と△3三桂▲4六金△4五桂打▲4九金△3七桂成▲同桂△9八竜▲4一銀△3一金▲5二と(第3図)

ここで▲4九金は△5二歩あるいは△8二飛で先手がわるい。私の▲5三歩成は勝負手で、△8二飛なら▲5九歩が生じる。
よってFuj氏も△5八飛成と強く戦い、私も飛車を取る。しかしと金がソッポに行ったのは痛い。
Fuj氏は△3三桂から△4五桂打。私は角を差し上げねばならないが、これでは駒得の利も消え、主張がなくなった。
▲4一銀にも△3一金が冷静な手で、私の▲5二とは冴えないが、銀を助けるにはこれしかない。
次、ある手を指されたら投了級だと思った。

第3図以下の指し手。△4四香▲4二銀△4一金▲同と△4六香▲5二飛(途中図)

△3二金▲4六歩△4七銀▲5八歩△3八銀成▲同金△8九竜(第4図)

第3図では△6六馬を気にしていた。△3九角以下の詰めろだから受けなければならないが、▲5八歩は△同竜で無効。よって▲4八桂ぐらいだが、ここに桂を手放すようでは後手玉へ迫る手段が乏しくなってしまう。
本譜、Fuj氏はさらに駒得を図って△4四香と打ったが、そんなわけで私はホッとした。
私は▲4二銀と絡んだが、Fuj氏は数手後に△4六香と駒得を実現した。
だがここで▲5二飛(途中図)が自慢の一手。5筋の補強をするとともに▲3三銀成以下の詰みを見ている。
Fuj氏も考え△3二金と一枚入れたが、そこで私の▲4六歩が甘かったか。もっと相手玉に迫る手を模索するべきだったかもしれない。
△4七銀の厳しさがよく分からないが、これには▲5八歩がピッタリ。このあたり、Fuj氏が微妙に攻めあぐねていると思った。

第4図以下の指し手。▲3一と△4九銀▲3二と△1三玉▲3九金打△3八銀成▲同玉(第5図)

第4図で▲3一とも好手と思う。ここ▲3一銀不成は王手で一瞬気持ちがいいが、△1三玉で安全地帯に逃げられてしまう。織り込み済みとはいえ端の位が大きく、私は相当うまく指さないと、後手玉を仕留められないのだ。
△4九銀に▲3二と。Fuj氏はノータイムで△1三玉。やはりこの手が切り札だが、今度は私も金を取っているので、バランスは取れている。
▲3九金打△3八銀成に▲同玉。形は▲同金だが、△2九金からバラされてトン死する。ここは私もよく読んでいた。

第5図以下の指し手。△6五角▲5六桂△6六馬▲5七銀△同馬▲同歩△5八銀▲4九香△7八竜(第6図)

Fuj氏は相当考えて△6五角。しかし▲5六桂と受けて、この交換は先手がトクをしたのではないか? よく分からないが、別のいい手があったと思う。
続く△6六馬(ミエミエの詰めろ)には▲5七香の予定。私の持駒が「金金銀銀」となれば相手玉が詰むからカナケは温存したかったのだが、考えているうちに気が変わり、つい▲5七銀と先手を取ってしまった。
Fuj氏も後手は引けないので勢い△同馬と切ったが、▲同歩に次の手が問題だ。
Fuj氏は△5八銀と打った。これは△4七金▲2七玉△3七金▲同玉△3九竜以下の詰めろ。だがいかにも薄い。私は△5八銀で△2七銀を恐れていて、▲同玉△3九竜は先手も相当寒い。以下▲2八金の予定だったが、後手にも△4七金や△5六角▲同歩△3五桂の手段があり、とても生きた心地がしない。やはり▲5七銀は危険だった。
本譜、私は▲4九香。これが当然ながらいい受けで、あれだけ苦戦していた将棋が、いつの間にか先手が勝ちになっている。なんだかキツネにつままれたようだった。
Fuj氏は△7八竜。ここで次の手が明暗を分けた。

(つづく)
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3月12日の蕨将棋教室(後編)

2017-03-30 01:01:12 | 蕨将棋教室
右のFuj戦は、角換わりの相居飛車力戦になっていた。定跡はないようなものだから、下手の力量が試される。
私「どうも欲求不満だ」
Fuj氏「どうしました?」
私「きのう愛ちゃんに負かされた」
Fuj氏「それは自分が悪いんじゃないですか」
私「……」

第1図以下の指し手。▲7五歩△3一金▲1六歩△5一金▲1五歩△9四歩▲9六歩△4一金右▲5九角△8四飛▲7六飛△3二金右▲2六歩(第2図)

▲7五歩に△同角は▲4四角がある。そして▲7五歩と突いた以上、▲7六飛を目指すため▲5九角は仕方ないが、角は敵玉に利かしておきたかったから、一長一短だった。

第2図以下の指し手。△6四歩▲6六飛△6五歩▲同飛△6四飛▲同飛△同角▲6一飛△6九飛▲6八金(第3図)

植山悦行七段は△6四歩。これに▲同歩△同角はつまらないと見て、私は▲6六飛と突っ張った。
だが植山七段の△6五歩から△6四飛が意外だった。
▲6四同飛から▲6一飛は必然だろうが、△6九飛に▲6八金で上手の指す手が難しいと思ったからだ。
本譜もそう進み、第2図で△8九飛成は▲6四飛成がある。これは下手が有利になったと思ったのだが…。

第3図以下の指し手。△4六角▲同歩△8九飛成▲8一飛成△9九竜▲8五竜△3五歩▲同歩△3六桂▲2七玉△4八銀(途中図)

▲6九歩△4九銀不成▲同銀△4七香(投了図)
まで、植山七段の勝ち。

植山七段は△4六角と王手で切り、△8九飛成。この平凡な手をすっかり見落としていた。
私も▲8一飛成で角銀交換の駒得だが、彼我の陣形を見比べると、明らかに私が悪い。
△9九竜に▲8五竜。「ほう。引いた」と植山七段。しかしこれがまた考え過ぎの悪手で、形勢悪化に輪をかけた。△7六桂▲5八金寄△6八歩を気にしたのだが、プロがこんなダサイ手を指すわけがない。まだ▲9一竜と香を補充しておくのだった。
植山七段は△3五歩。まさに急所を衝かれた感じだ。やむない▲同歩に△3六桂~△4八銀(途中図)が厳しい。
私は▲6九歩と受けたが、いかにも薄い金底の歩だ。以下、△4七香まで投了した。

感想戦。「飛車を打ち合ったところで、そちらにいい手があるかどうかだよね…」と植山七段。
たしかにそうで、ここで▲6八金(第2図)じゃ弱かった。とするならば、△6四歩に▲6六飛が悪手。ふつうに▲6四同歩△同角で一局だった。
▲6八金で▲5五歩△同銀▲3七銀引、の意見も植山七段から出たが、これはさすがに指せないところである。
私の投了の直前に常連A氏も投げたが、ほかはまだ対局中。私がいちばん遅く入ったのに二番手で抜けるとは、情けなかった。
ちなみに右のFuj氏は勝ったようだ。奥の常連B氏も勝ち。氏は植山七段によく勝つらしく、植山七段が苦手にしている?という噂がある。
時刻は9時を過ぎ、ここでお開き。植山七段、W氏、Tod氏、Fuj氏、私で食事に出た。今回はリンガーハットに入った。
私たちは5人とも違うメニューを注文したが、店の人に一部手違いがあった。まあそれはそれとして、私の注文したちゃんぽんは美味かった。長崎と同じ味が東京でも味わえるのは、チェーン店の利点である。
そのまま終電近くまでおしゃべりして、散会。ここでの話は楽しかったが、私は仕事のことと連日の将棋の内容の悪さで、前日に続いてどこかもやもやの残る半日だった。
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3月12日の蕨将棋教室(前編)

2017-03-29 00:47:25 | 蕨将棋教室
渡部愛女流初段の指導対局会の翌12日は、蕨将棋教室に行った。
夕方、蕨駅の改札を抜けたところにある立ち食いそば屋で、かけそばを喰らう。川口駅のそれは駅構内にあるからうっかり改札を出て後悔するが、蕨のそれは外にあるから安心だ。
午後6時少し前に教室に入ると、私が一番乗りだった。やがて子供たちが続々と入室。大人も一人入り、定刻に教室が始まった。
今日は四枚落ちの講座から。有段の私には関係なく思えるが、上手をもっての指し方が勉強できるので、あながち無駄な時間ではない。
四枚落ちは端(1筋)を攻める。講師の植山悦行七段の教えはうまく、分かりやすい。
その途中で、Tod氏とFuj氏が入室した。
講座のほうは一段落し、下手が上手を攻略した。ただ、どこかで上手がごまかせる順もあると思った。すなわち有段者も参考になったということである。
ここまでで30分経過。子供たちは植山七段との指導対局に入り、常連氏の一人はTod氏と対局した。
ここから20分くらい待ち、子供の1局が終わった。そこに私が入る手もあったのだが、私はもう少し待つ。
Tod―常連A戦は妙な熱戦になっていた。居飛車VS振り飛車で、常連A氏が棒銀に出ているのに、Tod氏の左銀が△5四銀に上がったりしてハラハラしたが、それなりにバランスは取れていた。
さらに10分くらい経って、対局が終わった少年と私が指すことになった。私の四枚落ちである。

小学4~5年と思しき少年はよく勉強していて、第1図から▲1四銀!と出た。級位者とは思えぬ好手で、植山七段の講義をしっかり消化しているのが分かる。ただ第1図ではふつうに、▲2四歩△1二銀▲1四銀もあった。以下△2二歩に▲1三歩△同桂▲同銀成△同銀▲同香成で下手優勢。
本譜は▲1四銀に△2四歩▲2三銀成△同金▲1二香成と進んだが、これも下手優勢である。
その後私は必敗形になったが、ここから勝ち切らないのが下手で、私は何だかんだで延命する。
その後私が必勝形になったが、ここから少年の追い込みがすごく、再び少年が勝勢になった。敗勢の局面からひっくり返したのだから、少年の地力の高さが分かろうというものだ。
私は局面を複雑化するが、うまくいかない。何となく敵玉に嫌味をつけ、大詰めを迎えた。

第2図で下手玉はわずかに詰まない。それを読んでか読まずか、少年は▲7三馬!!と切ってきた。
終盤で相手に大駒を渡すには度胸が要るから敬意を表するが、ここでは誤った。よほど待ったをしてあげようと思ったのだが、こっちも勝ちたいから、そのまま進める。
以下△7三同竜▲同金寄△4九香成▲同玉△3八角。ここで少年の手が止まり、上手の勝ちになった。
戻って第2図では、▲7三金寄があった。これに△同竜なら一旦▲8一銀と打ち、以下4手で下手が勝ちだった。
局後の少年は茫然としたテイで、私も罪悪感がこみあげてきた。少年が▲7三馬と指した時、やはり待ったにして、最善手を発見させるべきだった。
感想戦では第2図から▲7三金寄を示し、△同竜▲8一銀△8三玉(△9一玉は▲7三馬まで)の局面で少年に考えさせた。少しして少年は▲7三馬△9四玉▲9五飛と正解を示した。7三が馬になっているから、▲9五飛が打てるのだ。少年も納得したようで、私の罪悪感も少しは薄れた。
先ほどのTod―常連A戦は、Tod氏の勝ち。終盤で相手玉を即詰みに討ち取ったらしい。
すでに大人の部の指導対局は始まっていて、私はFuj氏の左に座り、対局に加わった。今回は大人が多く、植山七段の5面指しである。
私は三間飛車。振り飛車は不慣れだが、前日に続いて振ってみた。
植山七段は、「穴熊は得意じゃないんだよなァ」とつぶやき、△1二香。
植山七段はけっこう穴熊に潜る。私は美濃に組み、玉は▲2八に収まっているので、コーヤン流はしにくい。歩越しに▲4六銀と出た。
(つづく)
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2月26日の蕨将棋教室(後編)

2017-03-12 11:12:07 | 蕨将棋教室
2局目は中井広恵女流六段に教えていただく。いつもは植山悦行七段のみの一局だから、今日の私はラッキーだ。
畏れ多くも平手戦で対局開始。▲7六歩△3四歩▲6六歩△4二銀。私が角道を止め振り飛車を匂わしているのに、中井女流六段は△4二銀である。何か勘違いしたのかと思いきや、私の四間飛車に、向かい飛車で対抗してきた。相振り飛車を臨んできたのだ。
私は▲3八玉と寄るが、中井女流六段は△1五歩。私の端が狭くなり、穴熊も視野に入れねばならなくなった。
が、中井女流六段は△3五歩とした後、左銀を5五に進出させたので、私は▲3六歩からちょっかいを出してみた。△同歩▲同金は下手の金が上擦るが、これが私の将棋である。
以下、穴熊に囲わないまま、思わぬところから火の手が上がった。

第1図以下の指し手。▲5四金△7五角(途中1図)

▲4四角△同歩▲7五飛△5七角▲7七飛△4六角成▲3七歩△3六歩▲4七銀△3七歩成▲同桂△6八馬(第2図)

▲5四金△7五角(?)に、最初は▲6六銀△8四角(勝手読み。当然△4二角)▲8五歩△6六角▲同角で下手優勢と読んだ。だがよく見ると、▲4四角と銀を取り、角の素抜きがあるではないか。角銀交換も魅力だがこちらは銀の丸得である。しかもこの順は中井女流六段が見落としているはずで、こちらを選んだ方が中井女流六段のショックが大きいと思った。
▲4四角に、中井女流六段はポカに気付き、「………。でも王手だもんねぇ」と△同歩と取る。私は予定通り▲7五飛。これだけハンデを貰えれば、さすがに下手優勢だろう。
だが直後の△5七角が、この一手の反撃。△4六角成には銀を温存して▲3七歩だが、結局▲4七銀と受けるハメになった。以下△6八馬までとなって、意外に下手がむずかしい。私の▲5四金が半分遊んでいて、仮に捌いても、相手の駒台に乗ってしまうのが痛いのだ。

第2図以下の指し手。▲4三歩△3六歩▲同銀△3五歩▲4七銀△3三桂▲7四歩△同歩▲3一角△4五桂▲4二歩成△6二金寄▲4三と(第3図)

中井女流六段はもちろん多面指し。子供への指導はアドバイス付きの丁寧さで、これならちびっ子諸君も楽しみながら強くなれる。
私は▲4三歩と垂らした。さらに▲7四歩△同歩と味をつけて▲3一角。むろんと金攻めを狙ったものだが、いかんせんミエミエだ。
それでも▲4三とまで進んで、金取りまであと一息だ。

第3図以下の指し手。△5七桂成▲6六銀△4七成桂▲同飛△3六歩▲5三と△3七歩成▲同飛△3六歩▲同飛△3五歩(第4図)

中井女流六段は、子供への指導が懇切丁寧すぎて、W氏からタオルが入った。もうそろそろやめてくれ、という合図だ。この教室は原則的に8時までなので、子供はここで終了となるのだ。
その空いた席には、Fuj氏が入った。こちらの勝負もおもしろそうだが、そちらを見ている余裕はない。
△5七桂成には意表を衝かれた。私は△3七桂成の一手と読み、それなら後の▲6六桂を見て下手がおもしろいと考えていたのだが、アホだった。
とはいえ△4七成桂▲同飛で、下手の飛車も新たな働き口を見出したかに見える。
が、△3六歩からの攻めが厳しかった。桂を取って、最後の1歩を使って飛車取り。この歩は▲7四歩の打ち捨てで与えたものだと思うと、忌々しかった。
ここで私にマナー違反がでる。

第4図以下の指し手。▲2六飛△同飛▲6二と△同金▲2六歩△3六桂(途中2図)

▲2九玉△4六馬▲4一飛△8二玉▲3七金打△2八歩▲同銀△4九飛(投了図)
まで、中井女流六段の勝ち。

植山七段は全対局を終え、こちらの将棋を見て回っている。
「時にはスパッと切られることもある…」
とつぶやいているのが聞こえた。
局面。私は最初、▲6二とと指した。しかし△同金に▲2六飛とやると、渡した歩で△2五歩とされ下手がまずい。
顔を上げると、中井女流六段はほかの将棋を見ている。それで「待った」をし、▲2六飛と先にぶつけた。
△2五銀とも打てないので中井女流六段は△同飛と応じる。私はここで金を取り飛車を手持ちにし、やや持ち直したと思った。
が、△3六桂(途中2図)の王手に間違えた。ここは▲1八玉が第一感。だが考えているうちにそれを改め、▲2九玉と落ちた。
中井女流六段は数手後に△4九飛の王手。▲1八玉と寄っていればこの王手はなく、自分のバカさ加減に呆れた私は、ここで投了した。
「エーッ!?」と驚く中井女流六段。
でももう下手玉はもたないと思う。以下は▲3九歩△2八桂成▲同玉△4八銀で下手敗勢…が私の読みだったが、それは以下▲4六金△3七銀打▲1八玉△3八銀成▲同歩で、「これは金1枚でどうやって寄せるんですか」と中井女流六段。
まあ△4八銀のところで、△3七馬▲同金△4八銀で上手勝ちであろう。
また中井女流六段いわく、下手の▲6七銀は、どこかで▲5八銀と活用するのがよかったとのこと。なるほどこれなら飛車の横利きも通り、銀得のアドバンテージもキープできた。本局は銀得したものの▲5四金が泣いており、それを活かし切れなかった。
中井女流六段に教えていただくのはかなり久しぶりだったが、とても懐かしく、何より勉強になった。

Fuj氏らの対局が終わり、これにてお開き。中井女流六段はそのまま帰り、植山七段、W氏、Fuj氏、私の4人で軽食を摂りにいった。
場所はピザのファミレス。私たちはセットメニューを頼む。この時間にガッツリ食うからまた太るのだ。
食後はFuj氏の不満を聞く。将棋関係でいろいろ溜まっているものがあるらしいのだが、私に言わせれば、そんなのは悩みのうちに入らない。
一流大学に入り一流企業に就きいいポストに就いて、余暇は将棋を指す。人としてはまことに理想の人生であって、趣味の場で多少イヤなことがあっても、そんなのは笑い飛ばせる範疇である。彼は本当に幸せだと思った。それに気付かないとは、かわいそうなヤツだ。
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