第35期竜王戦第5局が25日、26日に行われた。ここまで藤井聡太竜王の3勝、広瀬章人八段の1勝。この将棋も藤井竜王がスンナリ勝ち、盤石の防衛になると思っていた。
ところが初日の夕方にABEMAを見ると、形勢に差はついていないものの、藤井竜王が持ち時間を3時間ほど多く使っていた。
そして局面を見ると、藤井竜王の銀が△1二に凹まされていた。しかも△2二には歩が打ってあり、この銀はまず働かない。となれば、局面が進むほどこの銀の遊びがクローズアップされるのではなかろうか。
加えて持ち時間の差である。いままで考えたことがなかったのだが、AIの形勢判断は、あくまでもその局面そのものであろう。
だが人間的見地では、持ち時間の少ないほうが、この先間違える率が高い。これは見た目より広瀬八段が優勢の気がした。
2日目の夕方にABEMAを見ると、案の定広瀬八段が勝勢だった。最後も華麗に決めて、広瀬八段が勝った。
あらためて本局を鑑賞する。相掛かりで始まり、角交換。▲5八玉・△5二玉型でお互い▲4五歩、△6五歩と伸ばす形は駅馬車定跡を思わせる。
そこから広瀬八段が9筋の歩を突き捨て、▲5七角と据えたのが秀逸な構想だった。
次に▲9二歩~▲9三歩があるので藤井竜王はそれを受けたが、広瀬八段は一転、▲2五歩~▲2四歩と銀頭に叩き、△1二銀と引かせたわけだった。
こうしてみると、先手は難しい手を指しているわけではない。私たちが知る手筋を巧妙に組み合わせていることが分かる。だから手筋を知ることは重要なのである。いずれにしても、広瀬八段の会心の一局だったと思う。
さて、5局を終わって3勝と2勝。かつて芹沢博文九段は、「4勝2敗で終わったタイトル戦は、接戦なんだ。なぜなら4勝2敗の前は3勝2敗だったから。3勝のほうが第6局に勝ったから4勝2敗になっただけの話」と言った。
広瀬八段は戦前、フルセットを目指すと述べた。だが仮に次局で終わったとしても、十分な激戦。広瀬八段は挑戦者としての責務を果たしたことになる。
ところが初日の夕方にABEMAを見ると、形勢に差はついていないものの、藤井竜王が持ち時間を3時間ほど多く使っていた。
そして局面を見ると、藤井竜王の銀が△1二に凹まされていた。しかも△2二には歩が打ってあり、この銀はまず働かない。となれば、局面が進むほどこの銀の遊びがクローズアップされるのではなかろうか。
加えて持ち時間の差である。いままで考えたことがなかったのだが、AIの形勢判断は、あくまでもその局面そのものであろう。
だが人間的見地では、持ち時間の少ないほうが、この先間違える率が高い。これは見た目より広瀬八段が優勢の気がした。
2日目の夕方にABEMAを見ると、案の定広瀬八段が勝勢だった。最後も華麗に決めて、広瀬八段が勝った。
あらためて本局を鑑賞する。相掛かりで始まり、角交換。▲5八玉・△5二玉型でお互い▲4五歩、△6五歩と伸ばす形は駅馬車定跡を思わせる。
そこから広瀬八段が9筋の歩を突き捨て、▲5七角と据えたのが秀逸な構想だった。
次に▲9二歩~▲9三歩があるので藤井竜王はそれを受けたが、広瀬八段は一転、▲2五歩~▲2四歩と銀頭に叩き、△1二銀と引かせたわけだった。
こうしてみると、先手は難しい手を指しているわけではない。私たちが知る手筋を巧妙に組み合わせていることが分かる。だから手筋を知ることは重要なのである。いずれにしても、広瀬八段の会心の一局だったと思う。
さて、5局を終わって3勝と2勝。かつて芹沢博文九段は、「4勝2敗で終わったタイトル戦は、接戦なんだ。なぜなら4勝2敗の前は3勝2敗だったから。3勝のほうが第6局に勝ったから4勝2敗になっただけの話」と言った。
広瀬八段は戦前、フルセットを目指すと述べた。だが仮に次局で終わったとしても、十分な激戦。広瀬八段は挑戦者としての責務を果たしたことになる。