夫の一周忌を終わらせた90歳のおばあさん
「支払いをするから来てほしい」というので自宅へ訪問した
お年寄りというには、あまりに元気なおばあさん
顔には、皺があるが声が大きい
新しい家ではないが、6畳の部屋はきちんと片づけられていて
気持ちが良い
土方仕事の日給200円から貯めはじめて、
2度目の職場に35年務めて
もらった、なけなしの退職金300万円をつぎ込んで買った土地
昔の人の苦労話は聞いていて、人間とはどう生きるべきかの手本になる
お年寄りの話というと、最初から貸す耳を持たぬ人間が多いが
それはたいへん損をしている
米は一粒たりとも無駄にしない、自分が作った野菜は葉っぱ一枚捨てない
それは今でも続いている
働き続けた後、シルバーセンターに登録して80歳まで草むしりの仕事などした
動いていないと腹が出ることに気付いたからだそうだ
楽しみは晩酌、1日5勺弱 相撲を見ながら飲む時が最高の気分
老人会での一泊旅行、温泉日帰り旅行が楽しみ、年2400円の会費など
すぐに元が取れる「ありがたい」って
感謝の言葉が端々に出てくる 「感謝の気持ち」で生きる事こそ長寿の秘訣だ
息子の嫁が来た時には「よろしくお願いします」という嫁に「こちらこそお世話になります」
話の途中で同居のお嫁さんが帰宅してきて挨拶をして2階に上がっていった
食事は別々だが、若い人と食い物が違うのだから、自分の食べたいものを食べるのが良い
と意に介しない、孫が部屋に遊びに来るのがそれは可愛くてどうしようもないと
とにかく元気で未だに病気をしたことがないそうだ、歩いて2kmくらい先の店に出かけるし
メガネなしで新聞が読める
ボケ防止に5つ玉の算盤で1から100まで足していく、5050になるから間違えるとまたやり直す
とにかく記憶が確かで、いろいろなことを知っている 博学なのである
貧しい暮らしの中で子を育てたり、人の面倒を見て土地を得た秘話なども話してくれた
約1時間30分、ほとんど聞き役だったが退屈しない、ためになる話ばかり
我々の知らない時代を語るおとしよりの話は貴重な遺産だ
私はこういう話を書き留めておく
10年ほど前に、友達の家で、そのお父さんの従軍の時の話を30分ほど楽しく聞いていたら
奥さんが「そんな話、若い人に言ったって迷惑していますよ! すみませんね話し相手をさせて
もうお帰りください」
いやあ、こういう話は1日聞いていても飽きないのだが、逆に私が居座って迷惑かけていたのかも
と後で思った。
お年寄りは孤独だ、話す相手がいないのが一番寂しいし、ボケの原因にもなる
だから、たまに一人暮らしの老人世帯に行くと、話し始めると止まらないおばあさんが多い
われわれも、機会あるごとに話し相手をするべきだと思う
明日は我が身なのだから