「忠臣蔵 おんなたち 愛」3時間半の大型時代ドラマ
今まで見た数々の「忠臣蔵」で最高の出来映えでした、出演者を見たとき「渡る世間 鬼」のメンバーがずらりで(なんじゃこりゃ)と思った
それもそのはず作者も橋田壽賀子さんだった
忠臣蔵=江戸時代5代将軍綱吉、徳川の世で一番栄えた元禄時代に起こった武士集団の仇討ち事件
綱吉の母に最高の官位をいただく重大な式典のさなか、赤穂藩5万石藩主浅野内匠頭が式典を指揮する吉良上野介に日頃より数々の辱めを受けていた
堪忍袋の緒が切れてついに江戸城内松の大廊下で吉良に斬りかかるが失敗
怒った綱吉は浅野内匠頭を即刻切腹に処す、吉良はおとがめなし
赤穂藩家老大石内蔵助以下47名の赤穂浪士が1年9ヶ月後の12月14日未明、吉良屋敷を襲い、吉良の首を取る
世間は義士の快挙と賞賛し、大名等からもあっぱれと助命嘆願の声が上がり赤穂浪士たちは一挙に英雄視される事になる
助命となればたちまち諸大名は争って英雄である浪士の争奪戦を繰り広げるだろう
だが綱吉は全員に武士の名誉「切腹」を申しつける、しかしこのとき切腹となったことで今の世まで「散る桜の散り際の美しさと」して語り継がれることになった。
これまでの忠臣蔵は耐え忍び、吉良を欺きついに本懐を遂げるという大石内蔵助と赤穂浪士tのかっこいい生き様、男から見たストーリーが多かった
しかしこの橋田忠臣蔵は赤穂浪士たちの妻、妹、想い人の視点で展開していく
期間も討ち入り前から討ち入り成功後、切腹後の4ヶ月ほどの間を描く
大石の妻りくはもとより、大高源吾に想いを寄せるうどん屋の女主人、密偵となって吉良邸に潜入した浪士の妹、引き裂かれた藩士と婚約者
気の病で歩けなくなった浪士の妹、仇討ちのため本心を偽り妻と離縁して卑怯者と罵られて去って行く浪士
討ち入り当日、身重の妻にあなたが行くなら私も子供と共に死ぬと懇願されて江戸から逃げ落ちていく浪士家族
仇討ちが失敗したときにと大石から第二陣を託され死に後れた浪士とその娘の悲哀
そんなおんなたちと男たちの感動的なドラマである
この仇討ち事件には3つの武家が関わる、1は播州赤穂藩5万石 2は高家旗本吉良家 3は米沢上杉15万石
上杉藩主は吉良の息子で跡継ぎがいない上杉家に養子として入って15万石の大名におさまった、そのため吉良家に護衛として上杉藩士を送り込んで居る
そして討ち入りの日、吉良家の武士と共に赤穂浪士と戦い死んだ者もいた
ラストシーンで大石りくが言う
「無残なのは私たちだけではありません吉良家もお家断絶、家臣も浪々の身となりました、みな妻や子もありましょうに」
うどん屋の女将も「残されたものに敵も味方もありゃしないみんな辛い思いをしているんだもの」
男たちの義挙の影で泣く大勢の妻子たちを憂う、ここで描かれた数名の女たちの何名かは非業の死を遂げる
真実は知らないが吉良の虐めと浅野内匠頭の短慮が無ければ藩士とその家族、想い人は平和な人生をおくっただろう。