おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。
作家の宇野千代が書いた『天風先生座談』をまた読み返してみました。
私の持っている本は、ハードカバーの二見書房の本ですが、廣済堂文庫として550円+でも出ているようです。
おそらく同じ内容だと思われますが、『中村天風の生きる手本―世界でいちばん価値ある「贈り物」』 (知的生きかた文庫、560円+税)としても出版されています。
さて、この内容は、いままでにさんざんご紹介の中村天風師の講演を語り口そのままに、作家の宇野千代がまるで几帳面にノートを取る女子大生のように綴ったのがこの本です。
この本を読むと中村天風師の考えの全体像だけでなく、カリアッパ師と巡り合いが感動的に書かれています。
加えて、他の本よりもリアルに「人斬り天風」と呼ばれた軍事探偵時代、コロンビア大学で医学博士を取得したいきさつなどが書かれていて、人間天風が伝わってきます。
私がとりわけ印象に残ったのは、「あとがき」に相当する「天風先生と私」(昭和45年、1970年記す)です。 こんなことが書かれています。
おかしなことであるが私は、いまから17、8年前、『おはん』という作品を書いたあと、ぴたりと筆がとまった。1行も書けない。他にもいろいろな、書けなくなりそうな事情はあった。それにしても、ぴたりと、1行も書けなくなろうとは。
そうだ。その頃の私の頭の中に去来した思いの1つに、「私はもう書けない。私にはもう書くことができない。私はちょうどそういう年齢に達したのだ。詩想が枯渇する年齢に達したのだ」という、1つの牢固として抜き難い考えがあった。
「人間は何事も自分の考えたとおりになる」。
ある夜、天風先生が言われた。
「出来ないと思うものはできない。出来ると信念することは、どんなことも出来る」
そう言われた。ほんとうか。では、私は、書けないと思ったから書けないのか。書けないと信念すれば書けるようになるのか。
こう思った宇野千代は、ある日、本の2、3行書いて、それから蘇生したように書けるようになったのです。
中村天風師は、宇野千代ばかりでなく、多くの「出来ない」と考えている人を「出来る」という信念に変え、もう限界だと思っている人の限界を撤去し、自分を不幸者だと思っている人を幸福だと思わせてくれるだけでなく、心身統一の具体的な方法を教えてくれます。
◎中村天風師に関心をもたれた方への耳寄りの情報。
10月18日(月)18:45-20:30にマネジメント・カウンセリング懇話会主催でヒューマン・ギルドを会場として
「中村天風の人と思想-究極の自己受容のために」
と題した、9月23日のゼミナールと同じ話をします。 受講料は、たったの500円(豊富な資料つき)です。
ヒューマン・ギルドの会員で、ご関心のある方は、info@hgld.co.jp あるいはお電話(03-3235-6741)でご連絡ください。 傍聴可能です。
<お目休めコーナー> 栗林公園(高松)にて⑥
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