見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

若冲と琳派/細見美術館

2004-11-15 00:08:52 | 行ったもの(美術館・見仏)
○細見美術館 琳派展Ⅶ『若冲と琳派』 展

http://www.emuseum.or.jp/

 週末、京都・奈良の展示会と文化財の特別拝観を駆け足でめぐってきた。1日1件のペースで紹介していきたい。順にさかのぼることにして、まず、日曜日の夕方、旅の最後に立ち寄った細見美術館から。

 楽しい展示会だった。展示品のだいたい半数が琳派で半数が若冲。琳派は、宗達が1件。「双犬図」は、例の”たらしこみ”で描かれた黒白2匹の仔犬。とけてくっついた飴みたいにぐにょぐにょしていてかわいい。光琳の「宇治橋図」は着物姿のおばさまたちに「モダンねえ~」と声をあげさせていた。

 あとは酒井抱一と鈴木其一が大半を占める。宗達や光琳ほど、”美術品”の威厳は感じないのだが、その分、生活に密着した、ある意味、幸せな美術のありかたを感じさせる。展示会の第一室のキャッチコピー「おいしい花鳥-琳派の軌跡」は「おいしい生活」にひっかけて、そういうことを言いたかったんでしょ? ちょっと分かりにくいと思ったけど。

 若冲はほんとにメジャーになったねえ。天下の琳派とタメを張るんだから、大したものだ。私は1980年頃、伏見の石峰寺に彼のお墓を尋ねたこともある年来のファンなので、不祥の息子の思わぬ大出世を見るようで、しみじみしてしまう。

 細見美術館の若冲コレクションは、やはり、「おいしい若冲」である。三の丸尚蔵館の動植綵絵のようなゴージャスな作品も、なくはないけど(雪中雄鶏図)、大半は水墨画か小品の彩色画で、これなら私にも注文できそうだし、いそいそと持って帰って部屋に飾りたくなる。画題は人間のような表情のニワトリたち。あるいは糸瓜、里芋(これも目も鼻もないのに、どこか人間くさい”表情”がある)。盆踊りみたいな「踏歌図」は楽しそうでいいなあ。「鼠婚礼図」は初見のような気がする。昭和初期の平和なマンガのようだった。

 この日はちょうど、美術館のカフェで結婚式が行われていた。ホームページに案内があるけど、ほんとに利用されているんですね。いや~若冲に祝福されると思うと嬉しい(?)かも。
コメント (2)
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