○油日神社~櫟野寺
http://www.rakuyaji.jp/
櫟野寺(らくやじ)は滋賀県の東南部、甲賀町にあり、近江西国第二十九番、湖国十一面霊場第八番などの霊場にもなっている。本尊の十一面観音は一木造りでは日本最大級の坐仏である。何度かガイドブックで写真を見たことがあったが、きらきらし過ぎて、古びた味わいがなく、あまり興味をそそられなかった。
元来は33年に1回しか開かない秘仏だったものを、最近は、年に数日公開するようになり、さらに今年から「秋の特別拝観」として、1ヶ月間公開することになったというニュースを、お気に入りサイト「観仏三昧」で読んだ。今回の関西旅行は、展覧会めぐりが主で、神社仏閣については何も考えていなかったので、1ヶ所くらい新しいところを開拓してみようと思い、予定に加えることにした。
甲賀町までは、京都から新快速→JR草津線を乗り継いで1時間あまり。三重県との県境のすぐそばである。櫟野寺までは甲賀駅からバスやタクシーがあるとも書いてあったが、あまり信用ならないので、次の油日駅で下りた。ここから徒歩で約40分である(油日の駅員さんがとても親切で、丁寧に路を教えてくれた)。
人も車もほとんど通らない、のどかな田園風景を20分くらい歩くと、小さな集落があって、油日神社に出る。油の神さまとして全国の油業者の信仰を集めている神社である。室町時代創建の本殿、拝殿、楼門、回廊はいずれも重要文化財。雨に濡れた黒い檜皮が美しかった。七五三参りの親子が何組か来ていた。
http://www.pref.shiga.jp/minwa/14/14-04.html
それから、さらに左右の山が近くなった道を20分ほど歩くと、山間に隠れ里のような集落が現れる。集落の中心になっているのが櫟野寺である。新しい本堂には、小さな十一面観音立像が飾られていた。その奥に黒い大きな金属製の扉があり、下方に人間の背丈ほどのくぐり戸がある。奥は収蔵庫になっていて、入ってすぐ、お厨子の中から来訪者を見下ろすように立ちはだかる(坐仏だけど)のが、全長3.3メートルのご本尊である。
実物は写真ほど金箔が目立たず、くすんだ色合いがいい感じである。それにしても大きい。目鼻立ちも大ぶりだし、体躯も肉厚である。手も大きく、指も太い。しかし、醜くはない。ゆったりと大らかな美しさがある。平安初期の制作だという。飛鳥の岡寺の観音坐像(塑像)を思い出した。
それから、あたりを見回す。私はここに着くまで、秘仏・十一面観音のことしか考えていなかったのだが、櫟野寺には、20体余体の古仏(主に平安仏)が伝わっている。廃寺になった末寺から次第に集まったものだという。これらはホームページにも写真が載っているし、いつでも拝観できるそうだから、せひ一見をおすすめしたい。装飾も少なく、ポーズにもけれんのない、すっきりした聖観音が多い。どれも少し東国の匂いがする。
かくして、つい予定以上の時間を過ごしてしまい、帰路は急ぎ足になってしまった。しかし、往復80分かける価値は十分にある。落ち着いた様子で堂内の説明をしてくれたお坊さんはまだ若かった。数年前に訪ねた善水寺(滋賀・甲西町)のお坊さんも若かったなあ。ぜひ今後ともがんばってほしい。
http://www.rakuyaji.jp/
櫟野寺(らくやじ)は滋賀県の東南部、甲賀町にあり、近江西国第二十九番、湖国十一面霊場第八番などの霊場にもなっている。本尊の十一面観音は一木造りでは日本最大級の坐仏である。何度かガイドブックで写真を見たことがあったが、きらきらし過ぎて、古びた味わいがなく、あまり興味をそそられなかった。
元来は33年に1回しか開かない秘仏だったものを、最近は、年に数日公開するようになり、さらに今年から「秋の特別拝観」として、1ヶ月間公開することになったというニュースを、お気に入りサイト「観仏三昧」で読んだ。今回の関西旅行は、展覧会めぐりが主で、神社仏閣については何も考えていなかったので、1ヶ所くらい新しいところを開拓してみようと思い、予定に加えることにした。
甲賀町までは、京都から新快速→JR草津線を乗り継いで1時間あまり。三重県との県境のすぐそばである。櫟野寺までは甲賀駅からバスやタクシーがあるとも書いてあったが、あまり信用ならないので、次の油日駅で下りた。ここから徒歩で約40分である(油日の駅員さんがとても親切で、丁寧に路を教えてくれた)。
人も車もほとんど通らない、のどかな田園風景を20分くらい歩くと、小さな集落があって、油日神社に出る。油の神さまとして全国の油業者の信仰を集めている神社である。室町時代創建の本殿、拝殿、楼門、回廊はいずれも重要文化財。雨に濡れた黒い檜皮が美しかった。七五三参りの親子が何組か来ていた。
http://www.pref.shiga.jp/minwa/14/14-04.html
それから、さらに左右の山が近くなった道を20分ほど歩くと、山間に隠れ里のような集落が現れる。集落の中心になっているのが櫟野寺である。新しい本堂には、小さな十一面観音立像が飾られていた。その奥に黒い大きな金属製の扉があり、下方に人間の背丈ほどのくぐり戸がある。奥は収蔵庫になっていて、入ってすぐ、お厨子の中から来訪者を見下ろすように立ちはだかる(坐仏だけど)のが、全長3.3メートルのご本尊である。
実物は写真ほど金箔が目立たず、くすんだ色合いがいい感じである。それにしても大きい。目鼻立ちも大ぶりだし、体躯も肉厚である。手も大きく、指も太い。しかし、醜くはない。ゆったりと大らかな美しさがある。平安初期の制作だという。飛鳥の岡寺の観音坐像(塑像)を思い出した。
それから、あたりを見回す。私はここに着くまで、秘仏・十一面観音のことしか考えていなかったのだが、櫟野寺には、20体余体の古仏(主に平安仏)が伝わっている。廃寺になった末寺から次第に集まったものだという。これらはホームページにも写真が載っているし、いつでも拝観できるそうだから、せひ一見をおすすめしたい。装飾も少なく、ポーズにもけれんのない、すっきりした聖観音が多い。どれも少し東国の匂いがする。
かくして、つい予定以上の時間を過ごしてしまい、帰路は急ぎ足になってしまった。しかし、往復80分かける価値は十分にある。落ち着いた様子で堂内の説明をしてくれたお坊さんはまだ若かった。数年前に訪ねた善水寺(滋賀・甲西町)のお坊さんも若かったなあ。ぜひ今後ともがんばってほしい。