○山種美術館 特別展 上村松園生誕140年記念『松園と華麗なる女性画家たち』(2015年4月18日~6月21日)
終了直前に見に行った展覧会だが、行ってよかった。会場に入ると、描かれた様々な女性の姿が目にとびこんできて、いつもにまして、華やいだ気分になる。上村松園(1875-1949)の作品は、思ったほど多くない。ほとんどが昭和の作、つまり晩年の作だ。中年から老年を迎えた女性が、若い女性の美を愛おしむような絵。
松園は、女性としては異例の帝室技芸員に任ぜられたが、彼女の前にもうひとり帝室技芸員となった女性画家・野口小蘋がいる。けれんのない、ふつうの南画を描いていて、女性の作だと感じさせないのが面白い。古代中国の文人の集まり(オッサンばっかり)を描いた『西園雅集図』とか、わりと好きだ。大坂生まれなんだな。豪放磊落な南画で知られ、東京で活躍した奥原晴湖は、西の野口小蘋と双璧と言われた。長い黒羽織に男帯で生活し、男性文人と対等な立場で交流した。へええ、幕末から明治にかけて、日本にもこういう女性がいたんだ。
橋本青江、河邊青蘭も大坂の人。なんとなく江戸より上方のほうが、女性芸術家が生きやすかったのではないかと想像する。なお、多くの作品が実践女子学園の香雪記念資料館から出品されていることは注目に値する。さすが、下田歌子の遺産。
本店には、男性画家の作品も出ていて、そのひとつ、池田輝方(妻の池田蕉園も画家)の『夕立』は横長の画面を面白く使って、物語を感じさせる。それから、九条武子の描いた絵が見られるとは思わなかったなあ。
近現代は、やっぱり片岡球子と小倉遊亀の作品が圧巻。片岡球子『北斎の娘おゑい』の、気の強そうなこと。間違いなく江戸の美人顔だ。小倉遊亀の『舞う(舞妓)』も素敵。若い舞妓も年かさの舞妓も、同じように可愛くて、凛としている。北沢映月『想(樋口一葉)』は、美人すぎかな?と思ったが、文学少女にとっての一葉は、永遠に理想の女性作家だから、これでいいのだと思いなおした。
↓最後に1階のカフェで、上村松園『牡丹雪』にちなんだスイーツとお薄。

終了直前に見に行った展覧会だが、行ってよかった。会場に入ると、描かれた様々な女性の姿が目にとびこんできて、いつもにまして、華やいだ気分になる。上村松園(1875-1949)の作品は、思ったほど多くない。ほとんどが昭和の作、つまり晩年の作だ。中年から老年を迎えた女性が、若い女性の美を愛おしむような絵。
松園は、女性としては異例の帝室技芸員に任ぜられたが、彼女の前にもうひとり帝室技芸員となった女性画家・野口小蘋がいる。けれんのない、ふつうの南画を描いていて、女性の作だと感じさせないのが面白い。古代中国の文人の集まり(オッサンばっかり)を描いた『西園雅集図』とか、わりと好きだ。大坂生まれなんだな。豪放磊落な南画で知られ、東京で活躍した奥原晴湖は、西の野口小蘋と双璧と言われた。長い黒羽織に男帯で生活し、男性文人と対等な立場で交流した。へええ、幕末から明治にかけて、日本にもこういう女性がいたんだ。
橋本青江、河邊青蘭も大坂の人。なんとなく江戸より上方のほうが、女性芸術家が生きやすかったのではないかと想像する。なお、多くの作品が実践女子学園の香雪記念資料館から出品されていることは注目に値する。さすが、下田歌子の遺産。
本店には、男性画家の作品も出ていて、そのひとつ、池田輝方(妻の池田蕉園も画家)の『夕立』は横長の画面を面白く使って、物語を感じさせる。それから、九条武子の描いた絵が見られるとは思わなかったなあ。
近現代は、やっぱり片岡球子と小倉遊亀の作品が圧巻。片岡球子『北斎の娘おゑい』の、気の強そうなこと。間違いなく江戸の美人顔だ。小倉遊亀の『舞う(舞妓)』も素敵。若い舞妓も年かさの舞妓も、同じように可愛くて、凛としている。北沢映月『想(樋口一葉)』は、美人すぎかな?と思ったが、文学少女にとっての一葉は、永遠に理想の女性作家だから、これでいいのだと思いなおした。
↓最後に1階のカフェで、上村松園『牡丹雪』にちなんだスイーツとお薄。
