○逢坂剛『重蔵始末』(講談社文庫) 講談社 2004.7
近藤重蔵の名前で自分のブログを検索したら、2005年の国立公文書館の特別展『将軍のアーカイブズ』がヒットした。そうそう、北方探検家としての重蔵は、もちろん以前から知っていたが、この公文書館の展示で、へえ~このひと、紅葉山文庫の書物奉行だったんだ!ということを初めて知って、急に親近感を抱くようになった(同業者のよしみ)。書物奉行にして探険家って、二重人格みたいなプロフィールだが、Wikiによれば「自信過剰で豪胆な性格が見咎められ」、のち書物奉行から弓矢奉行に左遷されたという。やれやれ、可笑しな人だなあ。
本書は、その近藤重蔵を主人公に据えた短編時代小説集である。火盗改(かとうあらため=火付盗賊改の略)の若き重蔵は、牛の一物の皮でできた赤い鞭を腰に挿し、傍若無人でケレン味たっぷりのタフガイヒーローとして登場する。性格設定が現代的なので、ハードボイルドミステリーを読むような感じで、若い読者もすぐに感情移入できるだろう。一面、時代小説ファンの「江戸情緒に欠ける」という不満もうなずけるところだ。
脇役に、もう少し個性的な人物が配置されると、もっと面白くなると思うのだけど。これからの展開に期待したい。あと、まだ今のところ私には、歴史上の重蔵のほうが、小説よりも魅力的に思える。
近藤重蔵の名前で自分のブログを検索したら、2005年の国立公文書館の特別展『将軍のアーカイブズ』がヒットした。そうそう、北方探検家としての重蔵は、もちろん以前から知っていたが、この公文書館の展示で、へえ~このひと、紅葉山文庫の書物奉行だったんだ!ということを初めて知って、急に親近感を抱くようになった(同業者のよしみ)。書物奉行にして探険家って、二重人格みたいなプロフィールだが、Wikiによれば「自信過剰で豪胆な性格が見咎められ」、のち書物奉行から弓矢奉行に左遷されたという。やれやれ、可笑しな人だなあ。
本書は、その近藤重蔵を主人公に据えた短編時代小説集である。火盗改(かとうあらため=火付盗賊改の略)の若き重蔵は、牛の一物の皮でできた赤い鞭を腰に挿し、傍若無人でケレン味たっぷりのタフガイヒーローとして登場する。性格設定が現代的なので、ハードボイルドミステリーを読むような感じで、若い読者もすぐに感情移入できるだろう。一面、時代小説ファンの「江戸情緒に欠ける」という不満もうなずけるところだ。
脇役に、もう少し個性的な人物が配置されると、もっと面白くなると思うのだけど。これからの展開に期待したい。あと、まだ今のところ私には、歴史上の重蔵のほうが、小説よりも魅力的に思える。