付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「夏の悲歌」 早見裕司

2010-07-25 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「命があろうとなかろうと、寿命の来ないものなんて、ないんだよ。なんでもそうなんじゃないかい? 夏が終われば、秋が来て、冬が来る。いつかは終わりが来て、だから新しいものに生まれ変わるんじゃないのかねえ」
 自動車整備工場の社長の言葉。だから、そろそろ次の車を考えようよと。
 名前も出てこないような親父のセリフだけれど、この作品のテーマみたいなものですよね。

 最近、水無月中学で噂になっているのは、男子中学生の神隠しのこと。カッコイイ3年の先輩が、あるときふいに消えてしまってそれっきりになるというのだ。
 朝香紗英と石動一子は水無月中学2年で幼なじみ。大好きな里中先輩の助けになろうと、半ば無理矢理に事件の調査を始めるのだが……。

 霊感体質の少女が仲間と日常に潜む怪事件の謎に挑むという、早見裕司ならではの学園奇譚です。ホラーとかミステリーとかファンタジーではなく、あくまで奇譚という言葉がふさわしい作品です。
 ちょうど『メイド刑事』の1巻を出した直後に刊行したものですが、これと足して割ったくらいが自分の好みなのです。この作品はアクというかクセが物足りないし、『メイド刑事』の方はアクが強い気がしますし。

【夏の悲歌】【早見裕司】【森田悠新】【永遠の眠りの国】【旧家】【空襲】【ダンスパーティー】
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「古書店めぐりは夫婦で」 ローレンス&ナンシー・ゴールドストーン

2010-07-25 | 本屋・図書館・愛書家
 それまで古書店なんかに縁の無かった夫婦が、『戦争と平和』を友人に贈る誕生祝いにしようと考えたことから、古書・稀覯本の世界にのめりこんでいく物語。ボストン、シカゴ、ニューヨークへと果てなき古書収集の旅。マニア道おそるべし。

 何かに似ていると思ったら、『恐るべきさぬきうどん』でしたね。
 こんなところにこんな本屋が! こんな本屋でこんな本が売られているなんて!……という意外な出会いの連続する話で、そういう意味で『恐るべきさぬきうどん』と同じですが、残念ながらピーター・メイルの『南仏プロヴァンスの12か月』を意識したような装幀から想像できるように、おしゃれな体験記なので「笑い」はあっても「お笑い」はありません。惜しいなあ……。

【古書店めぐりは夫婦で】【ローレンス・ゴールドストーン】【ナンシー・ゴールドストーン】【古書店】【稀覯本】【バザー】
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