付け焼き刃の覚え書き

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「城ヶ崎奈央と電撃文庫作家になるための10のメソッド」 五十嵐雄策

2014-02-20 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 一ノ瀬渉は偶然から、美人で性格も良く運動にも秀でている胸の大きな女子高生・城ヶ崎奈央の秘密を知ってしまった。
「あたし……ライトノベル作家になりたいの……っ!」
 彼女は作家になりたかった。それも電撃文庫で。
 彼女が過去に引きこもりになっていた時期に、電撃文庫の作品で救われたのだ。しかし、彼女の作品の出来は今ひとつ。
 渉は彼女の力になることを決意し、同居している従姉の編集者から執筆上のメソッドを入手して、2人で1つずつ課題をクリアしていくのだが……。

 時雨沢恵一の『男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。』と対になって、電撃小説大賞に応募しようか迷っている少年少女の背中を押す1冊。あえていうなら、こちらが入門編で、時雨沢が初級編。中級・上級はひたすら書くことだけ、実戦のみ……なんじゃないかと思います。
 マンガの描き方は手塚治虫や石ノ森章太郎、藤子・F・不二雄などいろんな人がいろいろな本を出しているし、小説も古今東西さまざまな書き方の本があります。『すごいライトノベルが書ける本』なんてのもある。ただ、今ここで、電撃文庫が小説形式で、電撃大賞に的を絞って出してきたところに意義があるんだろうな。
 ただ、本当に電撃文庫作家入門になっているので、肝心のストーリーが引っかかります。クラスメイトの目の前で、みんなが注目する美少女が卑猥なことにも聞こえる台詞を大声で口にして、それまでつきあいがあるとも思えなかった男子と2人で姿を消し、その後もしばしば2人きりでどこかへ消えてしまって……誰も追求したり後をつけたりしなかったの? そりゃ、そういう展開になったら創作技法の話をしている暇は無いけれど、それならそんな回収する気のないネタふりしちゃダメだよ。それに「文章力とか構成力なんてものは後からでもどうにかなる」と振っておいて、いきなり書式から始めるというのも説得力がない。
 そこだけ気にしなければ、ライトノベルの書き方もわかるラブコメとして愉しめます。

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