付け焼き刃の覚え書き

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「猟犬の國」 芝村裕吏

2015-10-20 | ミステリー・推理小説
「仕事は生きることであり、生活そのものだ。でも生活保護は仕事をくれない」

 どんな国にも情報機関はある。
 もちろん日本にも内調とか自衛隊、外務に警察といろいろある。だが、その中の1つには名前すらない。その歴史はあるけれど名も無き組織は言う。「何事もないのが一番いい。そのためならどんなこともする」と。
 その組織を仮にイトウ家と呼ぼう……。

 『マージナル・オペレーション』や『遙か凍土のカナン』、『富士学校まめたん研究室分室』などでちらほら陰から国を護る姿が暗示されていたイトウさん家の物語。
 シニカルなスパイ小説かと思っていたら、日本人ではないけれど日本を護る南米出身のパトリシオ・山本・フランシスコ(仮名)さんと、新米スパイの須頭幸恵さんによるバディ小説になって、展開は謀略と裏切りと銃と血にまみれた非道い話のはずなのに、2人のかけあいのせいで……というか幸恵さんの罵詈雑言のせいでなんだかホンワカしちゃって、つまりいつもの芝村節の炸裂。著者が新境地を開いたのではなく、売り方を変えて読者層を広げようとしている本作りのような気がしました。

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コメント
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