神殿長に就任したローゼマインだったが、慣れない権力者としての立場に翻弄されている。彼女にとって、常識とは常に未知のものだった。
領主の娘になる前は神殿の巫女であり、貴族の常識と神殿の常識も違って混乱のもとではあったが、その前は商人の見習いとしてベントに商人の常識をたたき込まれていた。けれど、もともとは貧しい兵士の家に生まれ……ではあったが、庶民の常識が彼女の常識かといえば、病弱で引きこもりっぱなし故にその常識にすら欠けている。しかも、ローゼマインの根本の常識は、現代日本の女子大生のそれでしかなかったのだ。
さまざまなトラブルに見舞われるローゼマインに、神官長フェルディナンドは街１つを教材として与えた。本来なら領主への反逆罪として住民すべて処分されてもおかしくない街。これをうまく扱ってみせろというのだ……。
夫婦で新刊、ウェブの更新を待ち続けている「下克上」の新刊。本篇も面白いのだけれど、イラストも巧いし、使いどころがツボを押さえていて最高。このシーンはイラストで観たい！と思う箇所はちゃんとあるんだもの。今回でいえば、微笑むフロレンツィア様とか、胡散臭えユストクスとか、怖いフェルディナンド様とか。
ストーリーとしては、ひとことでいえば「ものは考えよう」がテーマの回。誰かを陥れるのではなく、たくさんの人を救うのだと考えるのだと。
【本好きの下克上９】【司書になるためには手段を選んでいられません】【第三部 領主の養女II】【香月美夜】【椎名優】【ＴＯブックス】【ビブリア・ファンタジー】【しいなゆう】【四コマ漫画】【イタリアンレストラン】【孤児院】【シュツェーリアの夜】
