付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「結物語」 西尾維新

2017-02-23 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「何でもは知らないわよ。知ってることだけ。知れば知るほど、知らないことが増えていく」
 たぶん羽川翼の言葉。

 その日、日本中の公的機関が浮き足立った。なんと、あの羽川翼が、三年振りに帰国することになったのだ……。

 あの阿良々木暦が23歳になっていて、大学に入学して4年で卒業しただけではなく、国家総合職試験に合格して警察官僚への道を歩み出したということより、羽川翼のレベルアップぶりのほうが恐ろしい物語。江戸川乱歩の「そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、まるでお天気のあいさつでもするように、怪人二十面相のうわさをしていました」以来のインパクトでした。
 それはともかく、今回は暦が研修として配属された直江津署風説課を舞台にした連作短編集。さまざな風説が怪異に変じないよう対策するのが仕事であり、これはどうやら臥煙さんが画策している壮大なプランの一角らしいのですが、お馴染みの登場人物たちがちゃんと月日を重ねて社会人となっている姿は頼もしくもあり恐ろしくもあり。
 そして老倉育が、このシリーズに登場している女性キャラクターたちの中で、唯一怪異の陰がないことを再確認。途中からしれっとシリーズの中に姿を現していながら、実は誰よりもヒロインっぽい気がします。

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コメント
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