
冒険者ギルドの職員アリアの言葉。
なまじ前世の記憶があったばかりに、少年は悪魔憑きと呼ばれて村八分にされて虐待の日々。老神官の助けでなんとか生き延び、村を出ると冒険者となるべく斧1本だけを手にして防衛都市ニールゲンへと旅立った。
ニールゲンの冒険者ギルドにたどり着いた少年は、キコリと名乗って登録した。木を切るキコリのようにモンスターを狩って生きる覚悟をしたのだ。しかし、そんなキコリに名乗るギルド職員はいない。みんな彼が直ぐに死ぬと思っているのだ……。
異世界転生しても前世記憶とチートスキルでやりたい放題……なんて美味い話はそうそうないよというところから始まる異世界冒険談。だいたいゴブリンやオークあたりと死に物狂いで斬り合っている話ですが、ときどきポーンっと難易度が高くなるんだよね。技量もなく、あり合わせの武器を振り回しているうちに、そのスタイルからバーサーカーっぽくなっていくあたりが最初の岐路。
ギルド職員のアリアさんとのコンビが、ビジネスライクではないけれど、家族とも師弟とも恋人ともパートナーとも違う不思議な関係性でなし崩しに絆が深まっていくあたりが好きです。
ウェブで読んでいて、すごく面白くてワクワクするけれど、チートでもハーレムでも無双でもなく、絵面がちょい地味だけど書籍化できるかしらと思っていたらサーガフォレストから刊行。いろいろ端折る一方で加筆して、単行本2巻相当を1冊にまとめたという濃縮還元果汁みたいな仕上がり。具体的にはアリアとオルフェの会話とか、他の冒険者に絡まれそうになるところとか、細かなエピソードがカットされてます。
【キコリの異世界譚1~転生した少年は、斧1本で成り上がる~】【天野ハザマ】【藤本キシノ】【サーガフォレスト】【小説家になろう】【カクヨム】