付け焼き刃の覚え書き

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「魔女と傭兵5」 超法規的かえる

2024-12-25 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「石を踏むのです。石に踏まれることもあるでしょう」
 シアーシャの石盾は容赦なく敵対するものを押し潰していく。
 ジグは作戦に一緒に参加したメンバーに死者がどれだけ負傷者がどれだけ出たかしっかり記憶しているが、逆にシアーシャの記憶にはそんな数字は残らない。それは人の生き死にの数字がそのまま自分の報酬に繋がる傭兵と、もう何人殺したか数えられないから数えていない魔女との差なのだ。

 ジグは武器屋にとっては大のお得意様だ。高価な武器を使い、しかもその壊れにくいはずの武器を簡単に壊して帰ってくるからだ。そして同じくらい彼の身体は傷だらけだ。武器が壊れる以上に骨は砕けて腹は切り裂かれてと常に満身創痍。その様子に冒険者たちもドン引きだ。
 そんなジグに再び災厄が舞い込む。人間至上主義を唱え、それ以外をすべて亜人として十把一絡げに下に置く澄人教が彼を異端視し、その危険性から刺客を送り込み始めたのだ……。

 まず人間らしく話し合い。それが通じなければ、後は殺すか殺されるかという傭兵ジグの生き方が発露する5巻。魔女シアーシャなら面倒くさいから誰も彼もひとまとめに消してしまえというあたりの対比もよろしく、無骨な護衛に見えてジグの気配りは大変な偉業です。

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コメント
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