付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「超越の儀式」 クリフォード・D・シマック

2023-12-11 | 時間SF・次元・平行宇宙
「生きのびることは重要だが、かならずしも正しい判断ではない」
 Cはそう語った。

 大学教授のエドワード・ランシングは学生がレポート代筆をしてもらったというスロットマシンを調べていた。学生会館地階の片隅に設置されていたスロットマシンは、25セントで利用者の望むものを与えるというのだ。
 しかし、半信半疑でスロットマシンの指し示すままに行動してみたランシングは、気がつけば見知らぬ森林の小道に立っていた。そしてたどり着いた宿屋で彼を待っていたのは、将軍、牧師、詩人、技術者、そしてロボットの5人。それぞれ異なった次元の世界から送り込まれた者たちであり、ランシングもまたその一員だったのだ……。

 問題を知らされないままに、その問題の解答を導き出すことを求められた探索行の顛末。
 愚かな選択によって滅びてしまった銀河系の知的生物は数知れず、滅びようとしている知的生命体の世界から選ばれた者たちが、それぞれの種族や職業による個性を活かしながら協力して旅をし、その中でそれぞれが選択を繰り返しながら気がつけば新たな世界の創造を担わされている……みたいな話。
 原著の発表が1982年、日本版の刊行が1985年。テーブルトークRPG『ダンジョン&ドラゴンズ』発売から8年、コンピュータRPG『ウィザードリィ』発売の翌年というタイミングで擬似RPG小説の登場です。そのため、巻末の解説がそもそもRPGとはなんぞやという説明で占められています。もちろん解説は安田均です。まだRPGというものそのものに読者に馴染みがないために、ロールプレイングゲームとはなんぞやから始まり、物語の展開がRPGのキャラメイクから冒険までの流れをなぞっているあたりを解説したり、ゲームを取り込んだ小説の紹介とかしっかり解説で語られています。これもRPG黎明期ならでは。

【超越の儀式】【クリフォード・D・シマック】【Michael Whelan】【創元推理文庫】【大学惑星】【カードプレイヤー】【よりよい世界の選択】
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