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チャラの主張。
この作品には著者がデビュー前にSF同人誌「宇宙塵」に掲載したものと、それをベースに書き直して「SFマガジン」で連載したものと2パターンあり、どちらも書籍化されてます。今でも「小説家になろう」などのウェブで発表したものを書籍化の際に大幅に改稿するのはよくあることですが、タイトルにはっきり違いを謳ってあって、両方刊行というのは珍しいかも知れません。
太陽系に数多な宇宙国家群が成立している時代、アルテアの辺境星域では過酷な戦争が続いていた。
しかし、長く続いた戦いもついに終戦を迎えることになった。ダリヤ0に帰還する4000の派遣軍を乗せた宇宙船団。だが、到着した宇宙船はもぬけの殻であり、そこに人間の姿はどこにもなかった。
直後に地下都市で発生した破壊工作に、報局長ケイ・リーミンと彼女のチームが動き出すのだが……。
宇宙塵版のイラストが山田ミネコで、SFマガジン版は萩尾望都というのが、この時代のSFを象徴してます。ちゃんと本文イラストも入ってます。
そして、20歳になったばかりの女子大生にして情報局長リーミンというチートなヒロインが縦横無尽に飛び回って、派遣軍消失から国家間の紛争まで、軍事外交からすべてを解決していくのです。後のSFマガジン版と比較すると、その破天荒ぶりに作者の若さが浮かび上がります。さらにいうと、やはり荒削りというか、そもそもの設定がわかりにくく、木星都市群、金星DD18基地、外周惑星連盟などという単語から太陽系の話かなあと思いつつ、太陽系内が無数の政治勢力に分裂している一方、太陽系外は遠いのか近いのか感覚的につかみかねます。
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