「暗黒神話」の1977年版と1988年版では、内容に違いがあります。
88年版のあとがきで著者が“今度やっとA5判のより完全な形で出せるのはうれしい限りです。”と言っているように、あとから出たほうが、正しい(?)ものになっています。
私は、書物一般について、古いものこそがオリジナルで価値がある、と思ってるんで、この逆転現象は、ちょっとショック。
しかも、一番の違いは、古いものが実は左右のページが逆になっているという欠陥があることだっていうんだから、困ったもんだ。
以下は、77年版と88年版の違い。
畜生の章(1988年版は「~の巻」)
77年 左右逆で扉がないので本編が左ページから始まる
88年 右ページから始まる(左右の断ち切りコマが外側に来るので正しい)
77年 34ページ菊池彦 「のってないって」
88年 35ページ 「いないって!?」
阿修羅の章
77年 46ページト書き 菊池家の家系は三世紀の狗奴国を支配した狗古智卑狗(菊池彦)にまでさかのぼることが「魏志倭人伝」よりしられる
88年 48ページ 菊池彦の呼称は古い「魏志倭人伝」には三世紀の日本――おそらく九州に狗奴国の狗古智卑狗として登場する
77年 47ページト書き 四世紀にはクマソとして九州に勢力をふるい
88年 48ページト書き 四世紀のこの地方には狗奴の後裔であろうクマソが勢力を振るい
77年 50ページ武 「……」
88年 52ページ武と菊池彦 「あなたは…母さんを知ってるんですか?」「お母さんからわたしのことは何もきいてないか…ま あとで話してやる」
77年 50~52ページ
1.「まずここだ弁慶が穴古墳…菊池家の豪族の墓だ」
2.「これら装飾古墳の絵や文様に暗黒神の謎をとく鍵があるとおれはにらんでいる」
3.チブサン古墳「どうだなにかおもいあたらんか」「べ…べつに…」
4.「武が“後継者”ならかならずなにか反応をみせる目をはなすな」
5.長岩横穴群
6.「なんで胸がえぐれてるんですかね?」「これもなにか呪術の意味があるのだろう」
7.竹原古墳「この馬の全身の赤いまだらをみろこれが「天の斑駒」かもしれんな」
8.竹原古墳…その奥室奥壁には角や爪をはやし火を吹く神馬の絵がかかれている…
9.武はその絵をみた瞬間なぜか胸さわぎを感じた
10.「わからん…先へいこう」
11.浦山古墳、珍敷塚古墳、比留子古墳、日ノ岡古墳
88年 52~56ページ
1.「出雲で消えたきみは自分でも知らぬ間にこの巨石の上にねていた…何もおぼえてないか?」
2.「まあいい もうひとつみせたいものがある すぐそこだ」
3.「この古墳だ あの三つの巨石もこの古墳と無関係ではないと おれは思っている」
4.竹原古墳「六世紀の装飾古墳だ この諏訪神社の境内にある」
5.「諏訪!?」「信濃の諏訪大社の分社さ きみが諏訪から出雲を通ってここへ現れたのも偶然じゃないというわけだ」
6.「残念ながら石室へは入れない ここからのぞいてみたまえ」
7.(武がなかをのぞく絵)
8.装飾古墳とは石室の石壁などに絵や文様の描かれた古墳で九州に多い その中でもこの竹原古墳はその特異な力強い絵で有名である
9.竹原古墳は福岡県鞍手郡若宮町竹原の諏訪神社境内にある何よりも目を引くのは中央上方に描かれた不思議な神馬である 角や爪を生やし尾は蛇のように長く全身と口から火吹き出している この怪獣は何を表わしているのだろうか?
10.「おれは最初この絵をみた時これこそ天の斑駒だと思ったものだ 全身の赤い斑をみてみろ」
11.「九州へ戻った時もなぜか無性にこの絵がみたくなって竹原へ寄ったのだ そこできみをみつけたのだからこれも菊池家の石馬の導きかもしれんな」
12.神馬の絵
13.来い!早く来い!しるしを受けに来い!
14.「どうした」
15.「竹原古墳の絵に反応を示した 明日からほかの古墳もみせてみよう
16.「近い所ではこれだ弁慶ヶ穴古墳…菊池の豪族の墓だろう」
17.「これら装飾古墳の絵や文様に暗黒神の謎をとく鍵があるとおれはにらんでいる」
18.チブサン古墳
19.長岩横穴群
20.「なんで胸がえぐれてるんですかね?」「これもなにか呪術の意味があるのだろう」
21.「むだじゃないですか?反応があったのは竹原古墳だけ…」「いやそうでもない きのうまでの武とは少し様子が違う」
22.武の絵
23.確かに装飾古墳を巡っているうちに武の中に“何か”が目覚めつつあった…
24.このまま進むと何かとてつもなく恐ろしいものが待っているのではないか…そう思いながらも武の心はすでに古墳の呪的文様に捕らえられ先へ先へ導かれていた…
25.珍敷塚古墳、浦山古墳、比留子古墳、
77年 53ページ菊池彦 「あわてるな おれにはちゃんと計画が…」
88年 57ページ菊池彦 「あわてるな おれには考えが」
餓鬼の章
77年 なし
88年 81ページ 大ゴマ1枚 邪馬台国に関する記述(以降左右逆 これで断ち切りコマが外側になり正しくなる)
77年 77ページ 中国の古文献「魏志倭人伝」よりしられる三世紀の日本の古代国家邪馬台国に関しては議論がわかれておりその場所も古来さまざまにいわれているが…
88年 82ページ 大きく分けて畿内の大和朝廷に結びつける説と北九州の女酋とみる説に分かれるが主流の九州説でもその比定地に関してはさまざまな説がある
77年 80ページ竹内 「そして宿禰の役というのは神のことばをつたえる者 神と人間の仲介者だということです…」
88年 85ページ竹内 「その男の役は審神者― 巫女を通じて神の言葉を伝える者… いわば神と人間の仲介者といえましょう」
77年 93ページ最後のコマ 岩屋の入り口にシーンの書き文字
88年 98ページ なし
地獄の章
77年 127ページ竹内 「これを古代人は八俣の大蛇とか八頭の竜といってひどく恐れたものじゃ」
88年 133ページ 「これを持った者を古代人はひどく恐れ それが八俣の大蛇とか八頭の竜といった伝説を生んだ…」
人間の章
77年 129ぺージ 一コマ目が小さい、二コマ目のひとつだけで日本武尊の焼津での説明
88年 135ページ 一コマ目が大きい 二コマ目で天の叢雲の剣とヤマトタケル 三コマ目ヤマトタケル
136ページ 一コマ目でヤマトタケルの焼津と魂が白鳥になったことまでの説明 以降左右逆(これで断ち切りコマが外側になり正しくなる)
77年 134ページ1コマ目 こういった卵生説話は多い 朝鮮の神話的な王はほとんどそうだし一説には応神天皇や武内宿禰も卵から生まれたのではないかといわれている
88年 141ページ1コマ目 新羅の脱解王や高句麗の始祖伝説にも卵生説話がある またヤマトタケルの子 武卵王の名も卵生説話の名残ではないかという
77年 134ページ2コマ目 「みな この石の卵から」
88年 141ページ2コマ目 「みな 卵から」
天の章
77年 166ページ真ん中のコマ “お三岩様”とよばれた磐座や宇佐神宮の奥の宮にあるといわれる三つの巨石…
88年 174ページ真ん中のコマ 竹原古墳のすぐ近くに三つの巨石があったのも偶然ではない 宇佐神宮の奥宮にも三つの巨石があるといわれる
77年 177ページ竹内 「ことごとく天地は一軸の経巻」
88年 185ページ竹内 「尽天地は一軸の経巻」
88年版のあとがきで著者が“今度やっとA5判のより完全な形で出せるのはうれしい限りです。”と言っているように、あとから出たほうが、正しい(?)ものになっています。
私は、書物一般について、古いものこそがオリジナルで価値がある、と思ってるんで、この逆転現象は、ちょっとショック。
しかも、一番の違いは、古いものが実は左右のページが逆になっているという欠陥があることだっていうんだから、困ったもんだ。
以下は、77年版と88年版の違い。
畜生の章(1988年版は「~の巻」)
77年 左右逆で扉がないので本編が左ページから始まる
88年 右ページから始まる(左右の断ち切りコマが外側に来るので正しい)
77年 34ページ菊池彦 「のってないって」
88年 35ページ 「いないって!?」
阿修羅の章
77年 46ページト書き 菊池家の家系は三世紀の狗奴国を支配した狗古智卑狗(菊池彦)にまでさかのぼることが「魏志倭人伝」よりしられる
88年 48ページ 菊池彦の呼称は古い「魏志倭人伝」には三世紀の日本――おそらく九州に狗奴国の狗古智卑狗として登場する
77年 47ページト書き 四世紀にはクマソとして九州に勢力をふるい
88年 48ページト書き 四世紀のこの地方には狗奴の後裔であろうクマソが勢力を振るい
77年 50ページ武 「……」
88年 52ページ武と菊池彦 「あなたは…母さんを知ってるんですか?」「お母さんからわたしのことは何もきいてないか…ま あとで話してやる」
77年 50~52ページ
1.「まずここだ弁慶が穴古墳…菊池家の豪族の墓だ」
2.「これら装飾古墳の絵や文様に暗黒神の謎をとく鍵があるとおれはにらんでいる」
3.チブサン古墳「どうだなにかおもいあたらんか」「べ…べつに…」
4.「武が“後継者”ならかならずなにか反応をみせる目をはなすな」
5.長岩横穴群
6.「なんで胸がえぐれてるんですかね?」「これもなにか呪術の意味があるのだろう」
7.竹原古墳「この馬の全身の赤いまだらをみろこれが「天の斑駒」かもしれんな」
8.竹原古墳…その奥室奥壁には角や爪をはやし火を吹く神馬の絵がかかれている…
9.武はその絵をみた瞬間なぜか胸さわぎを感じた
10.「わからん…先へいこう」
11.浦山古墳、珍敷塚古墳、比留子古墳、日ノ岡古墳
88年 52~56ページ
1.「出雲で消えたきみは自分でも知らぬ間にこの巨石の上にねていた…何もおぼえてないか?」
2.「まあいい もうひとつみせたいものがある すぐそこだ」
3.「この古墳だ あの三つの巨石もこの古墳と無関係ではないと おれは思っている」
4.竹原古墳「六世紀の装飾古墳だ この諏訪神社の境内にある」
5.「諏訪!?」「信濃の諏訪大社の分社さ きみが諏訪から出雲を通ってここへ現れたのも偶然じゃないというわけだ」
6.「残念ながら石室へは入れない ここからのぞいてみたまえ」
7.(武がなかをのぞく絵)
8.装飾古墳とは石室の石壁などに絵や文様の描かれた古墳で九州に多い その中でもこの竹原古墳はその特異な力強い絵で有名である
9.竹原古墳は福岡県鞍手郡若宮町竹原の諏訪神社境内にある何よりも目を引くのは中央上方に描かれた不思議な神馬である 角や爪を生やし尾は蛇のように長く全身と口から火吹き出している この怪獣は何を表わしているのだろうか?
10.「おれは最初この絵をみた時これこそ天の斑駒だと思ったものだ 全身の赤い斑をみてみろ」
11.「九州へ戻った時もなぜか無性にこの絵がみたくなって竹原へ寄ったのだ そこできみをみつけたのだからこれも菊池家の石馬の導きかもしれんな」
12.神馬の絵
13.来い!早く来い!しるしを受けに来い!
14.「どうした」
15.「竹原古墳の絵に反応を示した 明日からほかの古墳もみせてみよう
16.「近い所ではこれだ弁慶ヶ穴古墳…菊池の豪族の墓だろう」
17.「これら装飾古墳の絵や文様に暗黒神の謎をとく鍵があるとおれはにらんでいる」
18.チブサン古墳
19.長岩横穴群
20.「なんで胸がえぐれてるんですかね?」「これもなにか呪術の意味があるのだろう」
21.「むだじゃないですか?反応があったのは竹原古墳だけ…」「いやそうでもない きのうまでの武とは少し様子が違う」
22.武の絵
23.確かに装飾古墳を巡っているうちに武の中に“何か”が目覚めつつあった…
24.このまま進むと何かとてつもなく恐ろしいものが待っているのではないか…そう思いながらも武の心はすでに古墳の呪的文様に捕らえられ先へ先へ導かれていた…
25.珍敷塚古墳、浦山古墳、比留子古墳、
77年 53ページ菊池彦 「あわてるな おれにはちゃんと計画が…」
88年 57ページ菊池彦 「あわてるな おれには考えが」
餓鬼の章
77年 なし
88年 81ページ 大ゴマ1枚 邪馬台国に関する記述(以降左右逆 これで断ち切りコマが外側になり正しくなる)
77年 77ページ 中国の古文献「魏志倭人伝」よりしられる三世紀の日本の古代国家邪馬台国に関しては議論がわかれておりその場所も古来さまざまにいわれているが…
88年 82ページ 大きく分けて畿内の大和朝廷に結びつける説と北九州の女酋とみる説に分かれるが主流の九州説でもその比定地に関してはさまざまな説がある
77年 80ページ竹内 「そして宿禰の役というのは神のことばをつたえる者 神と人間の仲介者だということです…」
88年 85ページ竹内 「その男の役は審神者― 巫女を通じて神の言葉を伝える者… いわば神と人間の仲介者といえましょう」
77年 93ページ最後のコマ 岩屋の入り口にシーンの書き文字
88年 98ページ なし
地獄の章
77年 127ページ竹内 「これを古代人は八俣の大蛇とか八頭の竜といってひどく恐れたものじゃ」
88年 133ページ 「これを持った者を古代人はひどく恐れ それが八俣の大蛇とか八頭の竜といった伝説を生んだ…」
人間の章
77年 129ぺージ 一コマ目が小さい、二コマ目のひとつだけで日本武尊の焼津での説明
88年 135ページ 一コマ目が大きい 二コマ目で天の叢雲の剣とヤマトタケル 三コマ目ヤマトタケル
136ページ 一コマ目でヤマトタケルの焼津と魂が白鳥になったことまでの説明 以降左右逆(これで断ち切りコマが外側になり正しくなる)
77年 134ページ1コマ目 こういった卵生説話は多い 朝鮮の神話的な王はほとんどそうだし一説には応神天皇や武内宿禰も卵から生まれたのではないかといわれている
88年 141ページ1コマ目 新羅の脱解王や高句麗の始祖伝説にも卵生説話がある またヤマトタケルの子 武卵王の名も卵生説話の名残ではないかという
77年 134ページ2コマ目 「みな この石の卵から」
88年 141ページ2コマ目 「みな 卵から」
天の章
77年 166ページ真ん中のコマ “お三岩様”とよばれた磐座や宇佐神宮の奥の宮にあるといわれる三つの巨石…
88年 174ページ真ん中のコマ 竹原古墳のすぐ近くに三つの巨石があったのも偶然ではない 宇佐神宮の奥宮にも三つの巨石があるといわれる
77年 177ページ竹内 「ことごとく天地は一軸の経巻」
88年 185ページ竹内 「尽天地は一軸の経巻」