many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

第四間氷期

2013-07-11 20:35:56 | 読んだ本
安部公房 昭和45年 新潮文庫版
最近読み返している安部公房、持ってるのは昭和58年の22刷。
書かれたのは昭和33年から34年にかけてということだが、SFですな。でも、語られてる未来は、80年代のことだったりして。
「予言機械」という電子計算機の研究をしている男が主人公。
上部組織というか、役所・政治の制約があって、思うように研究が進まないんだが、ある男の未来を予測しようと試みたところから、事件に巻き込まれていく。
機械万能主義に対する警句かなんかかと思って読んでくと、全然ちがって、水棲動物=哺乳類をエラをもつ形に改造する研究なんていう、とんでもない方向にストーリーは展開してく。
機械が未来を予測したら、その結果を知った人は、そうなんないように違う行動をとるから、予測は実現されないんぢゃないかってパラドックスがあるんだけど。
主人公は、ひどい未来の実現には反対、妨害して馬鹿げた未来を未然に防止すべきって、常識的な意見なんだけど、ほかの登場人物は違う。
>結局先生は、未来というものを、日常の連続としてしか想像できなかったんだ
とか
>予言機械は、未来をつくるためのものでなく、現実を温存するためのものだと仰言るんですか
とか厳しいこと言う。ここんとこが今回はいちばんおもしろかった。
コメント
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