many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

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2014-02-13 21:49:19 | 読んだ本
レイモンド・チャンドラー/清水俊二訳 昭和52年 ハヤカワ・ミステリ文庫版
きのうからハードボイルドつながり。チャンドラー最後の長編。
持ってるのは昭和61年の20刷。チャンドラーに関しては、そのころまとめて読んだんだったか。
いま読み返すと、なんか日本語が古いというか、しっくりこない。
女性の語尾に、けっこういちいち「わ」とか「よ」とか付いてるのが、気にしだすと気になっちゃう。
そのへんはおいといても、チャンドラーの文章ってのは、とかく名文とされてるんで、いちどは英語の勉強がてら、原文読んでみたいなとは思う。
ストーリーのほうは、朝方に突然の電話で起こされて、今から駅に行って列車から降りたある乗客を尾行しろという依頼を受けちゃうところから始まる。
仕事をはじめたところで、フィリップ・マーロウいわく、「私はあまり好きになれない人間のために、けちくさい『のぞき』の仕事をやっていた。だが、そのためにやとわれたのではないか。彼らがカネを払い、お前が泥をほじくるのだ。」ということなんだけど、このへんの泥のかきまわしの割り切りぐあいが、チャンドラー=マーロウから、パーカー=スペンサーへと伝統として受け継がれてくのかなって感じ。
マーロウのことだから、どうせどっかで死体に出っくわしちゃうんだろうと思って読んでくけど、なかなか殺人事件は起きそうで起きない。誰がホントの悪者か判然としないまま進んでく。
人のあとをつけてくうちに、例によって、後ろから頭をガツンと殴られて気絶しちゃったりとか、意外とかっこわるいのは、これまでのマーロウと変わらないけど。
でも、最終盤で、あの「しっかしりていなかったら、生きていられない、やさしくなれなかったら、生きている資格がない」って有名なせりふが飛び出す。やっぱ、そこらへんがかっこいいんである。

コメント
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