many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

牙の紋章

2014-02-19 20:53:42 | 読んだ本
夢枕獏 平成3年 祥伝社
埋もれてたのをひさしぶりに発見して読み返してみた小説。
なんでハードカバーの初版を持ってんのか自分でもよくわからないんだけど。
『上弦の月を喰べる獅子』かなんかで興味をもったんだろうな。
たしかサイコダイバー・シリーズも何冊か読んで、そのあとぐらいだろうとは思う。
厚い(370ページ余)んだけど、なんせセンテンス短いし、改行はしまくりだし、って感じの文章なんで、さっさか読む。
格闘シーンなんか、
>拳を。
>拳を。
>蹴る。
>拳。
>打。
>蹴。
って調子だから、これはスピードつけて読んでほしいんだろうと思って、サーッと流す。
3年の歳月をかけて描いたらしいんだが、わるいけど通勤の1往復半の時間で読んでしまったよ。
物語は、ある空手家(北辰館=出たな?餓狼伝!)が、タイでムエタイと戦って敗れた過去を背負ってるんだけど、ある日もうひとりの若き才能と出会うんだな、こちらはキックボクサー。
んで、まあ、己の存在をかけて、もう一度闘いたいとか、そういう思いをかかえて悶々とするんだが。
モデルがいるかどうかわかんないけど(たぶんいるんだろうとは思うが)、登場するキャラが極端にデフォルメされた性格してんで、そのへんの荒唐無稽さがおもしろいんだよね。
コーチに、キックの練習始めろって言われて、サンドバッグだかなんだか蹴り出して、コーチがべつのところ見に行って戻ってこなかったら、朝になってもまだ蹴り続けてた、とか。
あと、餓狼伝なんかでも、強くメッセージとして出されてんだけど、身に着けた力や技術が、老いとともに失われていく、ってことのせつなさみたいなのが、根底に静かに流れてんだけど。
そういうのって、最初に読んだ若いときにくらべて、体力が落ちてきていることを自覚してる30代、40代になって読むと、また違う感慨があるような気がする。
コメント
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