ロバート・B・パーカー/菊池光訳 1994年 早川書房
ずっと順に読み返してきてるスペンサーシリーズの、なんだ、えーと、第20作か。
地元ボストンの上流階級の夫人が、鈍器で殴り殺された。動機とか分からないし、通り魔的な事件かと思われた。
で、警察の動きがよくないのに業を煮やして、被害者の夫がスペンサーのところに犯人捜しを依頼してきた。
で、いつものように、スペンサーが、ときにはタフに、ときにはへらずぐちをたたき、ときにはスーザンとディスカッションしながら、事件解決を目指すんだけど。
最初に依頼を受けるときのスペンサーの態度がいちばんおもしろい。
引き受けることを決めたときに、「一つだけ理解してもらいたいのは、いったん仕事にかかったら、どこでも必要な所へ行く。ということは、あんたにいろんな質問をするかもしれない。それに、あんたの友人や親戚にいろいろと訊く。(略)あんたがおれを雇ってやらせようとしているのは、あんたやあんたの知人のプライヴァシイを侵害することであるのを、何よりも先に理解してもらいたい」と、堂々と宣言する。
これまでにも、事件の真相解明に向けて邁進するたびに、おまえにカネを払って頼んだのは人探しだ、コソコソ嗅ぎまわって私の家庭をめちゃくちゃにしろとは言ってない、とかなんとか言われまくったスペンサーならではの事前の使用上の注意だ。
今回は、特に念が入っていて、それを聞いた依頼人が「判っている。きみがやりすぎたら、私がそう言う」と答えたのに対して、さらに「あんたがおれに言うのはかまわない。しかし、だからといって、何も変わらない。おれはおれなりに仕事をする。完了するまで続ける」と啖呵を切る。
これを見りゃあ、長年の読者としては、あー、これは、また、単純に犯人を見つけて終わりとかってんぢゃなく、そこにスペンサー流の価値観による判断とか入ってきて、たとえばひどい人生をおくってる子どもを、まっとうに立ち直らせるほうがスペンサーにとってのテーマになったりとかすんだろうな、って予感はビシバシしてくるわけで、期待させられる。
ところで、次章では、依頼人をスペンサーのところへ行ったらどうかと回してきた、警察のこれまたおなじみのクワーク警部補のところへ行くんだが、そこでもスペンサーは「解決するやり方は、中に入って泥をかき回し、みんなの生活の邪魔をして、みんなが言うことすべてを疑い、全般にわたって嫌われ者になることだ」と、やるけどいいんだな的開戦のことわりをいれている。らしくていいなあ。
ということで、持ってるスペンサーシリーズは、これで一応ぜんぶ読み返した。
このあとも続いてるらしいけど、翻訳の刊行をおってリアルタイムで読んでた当時と同じで、このへんではなはだ飽きてきた感がある。
このあとは(私にとっては)新たに、読むかもしれないし、読まないかもしれない。
でも、とりあえず今は、むかし買って読んだけど、これは絶対読み返さないなと当時判断して売っちゃった、おなじ著者の『愛と名誉のために』が読んでみたくなってきたりする。
ずっと順に読み返してきてるスペンサーシリーズの、なんだ、えーと、第20作か。
地元ボストンの上流階級の夫人が、鈍器で殴り殺された。動機とか分からないし、通り魔的な事件かと思われた。
で、警察の動きがよくないのに業を煮やして、被害者の夫がスペンサーのところに犯人捜しを依頼してきた。
で、いつものように、スペンサーが、ときにはタフに、ときにはへらずぐちをたたき、ときにはスーザンとディスカッションしながら、事件解決を目指すんだけど。
最初に依頼を受けるときのスペンサーの態度がいちばんおもしろい。
引き受けることを決めたときに、「一つだけ理解してもらいたいのは、いったん仕事にかかったら、どこでも必要な所へ行く。ということは、あんたにいろんな質問をするかもしれない。それに、あんたの友人や親戚にいろいろと訊く。(略)あんたがおれを雇ってやらせようとしているのは、あんたやあんたの知人のプライヴァシイを侵害することであるのを、何よりも先に理解してもらいたい」と、堂々と宣言する。
これまでにも、事件の真相解明に向けて邁進するたびに、おまえにカネを払って頼んだのは人探しだ、コソコソ嗅ぎまわって私の家庭をめちゃくちゃにしろとは言ってない、とかなんとか言われまくったスペンサーならではの事前の使用上の注意だ。
今回は、特に念が入っていて、それを聞いた依頼人が「判っている。きみがやりすぎたら、私がそう言う」と答えたのに対して、さらに「あんたがおれに言うのはかまわない。しかし、だからといって、何も変わらない。おれはおれなりに仕事をする。完了するまで続ける」と啖呵を切る。
これを見りゃあ、長年の読者としては、あー、これは、また、単純に犯人を見つけて終わりとかってんぢゃなく、そこにスペンサー流の価値観による判断とか入ってきて、たとえばひどい人生をおくってる子どもを、まっとうに立ち直らせるほうがスペンサーにとってのテーマになったりとかすんだろうな、って予感はビシバシしてくるわけで、期待させられる。
ところで、次章では、依頼人をスペンサーのところへ行ったらどうかと回してきた、警察のこれまたおなじみのクワーク警部補のところへ行くんだが、そこでもスペンサーは「解決するやり方は、中に入って泥をかき回し、みんなの生活の邪魔をして、みんなが言うことすべてを疑い、全般にわたって嫌われ者になることだ」と、やるけどいいんだな的開戦のことわりをいれている。らしくていいなあ。
ということで、持ってるスペンサーシリーズは、これで一応ぜんぶ読み返した。
このあとも続いてるらしいけど、翻訳の刊行をおってリアルタイムで読んでた当時と同じで、このへんではなはだ飽きてきた感がある。
このあとは(私にとっては)新たに、読むかもしれないし、読まないかもしれない。
でも、とりあえず今は、むかし買って読んだけど、これは絶対読み返さないなと当時判断して売っちゃった、おなじ著者の『愛と名誉のために』が読んでみたくなってきたりする。
