many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ラッフルズホテル

2015-01-16 20:57:49 | 読んだ本
村上龍 1989年 集英社
実にひさしぶりに読み返してみた。
1989年9月13日発行なんだけど、私の持ってるのは同年9月29日で、はや第三刷である、すごい。
あらためて「あとがき」みたら、「これは映画『ラッフルズホテル』の小説化である。」って書いてる、作者が。
映画が先なの?そうだったっけ?
まあ、いずれにせよ、私は映画は観てないけど。
なんでこの小説読もうと思ったのかすら、おぼえてないなあ。
お話のほうは、かつてベトナムで戦場カメラマンをやって、いまは別の事業に成功して金持ちになってる男が、「からだのどこかに空洞ができてしまった」という感覚にとりつかれて、自分のなかのその空虚さを埋めるためにいま一度カメラを手にとる。
主に有名人のポートレートを撮ることが、うまいこと軌道にのったころ、彼の前に「写真を撮って欲しいんです」と一人の女優が現れる。
ちなみに、電話一本かけてきたと思ったら、すぐ日本からニューヨークに飛んでくるという行動力である。
で、しばし親密になるんだけど、男は女優から逃げていく。
そして、男を追って女優がやってくるのが、シンガポールのラッフルズホテルというわけだ。
筋書きは、ちょいと幻想的なところがあって、そんなに理詰めでとらえるようなものぢゃないと思う。
それより、表現の方法として、ある同じ時間・場面の章を、最初に片方の人物の視点から書いたら、次にもう一方の人物の側から繰り返し書き直すという技巧を用いていて、ちょっとおもしろい。
そんな特殊なテクニック、印象に残りそうなものだけど、今回読み返すまで、まったく忘れてた。
ホントに一度これ読んだのかな、俺?(情けない。)

コメント
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