E・S・ガードナー/田中西二郎訳 1977年 ハヤカワ・ミステリ文庫版
原題は「THE CASE OF THE RUNAWAY CORPSE」っていうペリイ・メイスンシリーズ、1954年出版らしい、私の持ってる文庫は1989年の7刷、こりゃ古本ぢゃないな、たぶん。
弁護士のメイスンの事務所に、伯母と義理の姪という間柄の二人の女性が訪ねてくる。
親戚関係がすこしややこしいんだけど、とにかく亡くなった大鉱山事業家とつながりがあるふたりで、ってことは遺産を受け取る可能性がある立場。
若い方の女性の夫というのが問題で、本来は多額の遺産を相続するはずだったのに死んでしまった別の親戚の女性を、自分の妻が殺したと疑っているらしい。
おまけに、妻が自分を殺そうとたくらんでいるって告発状まで書き上げて、自分が死んだら官憲にわたる手はずをつけてるという。
で、現在その夫というのは、自ら運転する車で出かけてった旅行の途中の小さな町で、急に具合がわるくなって命が危ぶまれている状態。
直接的な依頼としては、その夫が亡くなったら、妻を告発する内容のその手紙を取ってきてほしいということ。
事情はわかるが、うかつにやると犯罪になるので、メイスンは法律ギリギリの契約内容を取り交わし、夫人の代理を引き受け、手紙があるというオフィスの鍵まで預かる。
彼女たちが帰ってしばらくすると、すぐに電話がかかってきて、姪の夫が亡くなったので、手紙を取ってきてほしいと伯母が言う。
夜中ではあるが、現地にかけつけて、家に入り机を開けて封筒を取り出したメイスンだが、なかみは白紙だった。
わけわからんが、元に戻して、開けたのがばれないように封をしたりしてると、家に入ってきた故人の秘書の女性に見つかって、警察まで呼ばれてしまう。
窮地に追い込まれたメイスンだけど、その手紙をよこせとか開けろとかいう秘書と警察官に対し、夫が亡くなったのなら遺産であるものは相続人である未亡人の同意なくしては渡せないとか頑張って、その場をしのぐ。
後日地方検事に呼び出されて、封筒に何をしたかと問いただされたときも、証人にあたる警官の前で、その封筒がなんだったかについてあなたの言ってることは伝聞に基づくものだ、とかなんとか法律的には正しいんだろうけど、はっきり言ってヘリクツみたいなのを並べたて、自分のしたことを認めずに守り抜く。
ところで、見ようによっては毒殺されたかにも最期をとげたはずの夫のほうだが、居合わせた医者たちが目を離したすきに、行方がわからなくなっていた。
死体が消えたんぢゃなくて、目撃者によれば、パジャマ姿の当人は部屋の窓から這い出して、クルマを運転してどこかへ去ったのだという。
奇々怪々な情報に関係者は戸惑うが、メイスンの依頼人である若い方の女性は、夫の殺人容疑で逮捕されてしまう。
これについても、メイスンは、殺人事件の証拠である死体が見つからないのなら、殺人罪は成立しないとか頑張る。
でも、結局それらしい死体が発見され、治安判事を前にした予備審問が開かれることになる。
裁判の場では当然メイスンらしいやりとりが多くなされて、それはいつものごとくおもしろい。
この事件がめずらしいのは、メイスンと、たぶんシリーズ初登場だとおもうタルバート・ヴァンドリングって地方検事が、互いにリスペクトしあってるような様子なとこ。
勝つ負けるぢゃなくて、真相解明を第一の目的に取り組んでった結果、事件解決して「犯罪のために乾盃」なんて最後には仲良くしてる。
ヴァンドリングのほうは「ロサンジェルスの地方検事は、あなたについて、非常に要領よく教えてくれましたよ。(略)依頼者の利益のためならば、自分のお祖母さんの寝首だって掻きかねない男だと言っていましたぜ」なんて、メイスンに面と向かって言ったりしたけど。
原題は「THE CASE OF THE RUNAWAY CORPSE」っていうペリイ・メイスンシリーズ、1954年出版らしい、私の持ってる文庫は1989年の7刷、こりゃ古本ぢゃないな、たぶん。
弁護士のメイスンの事務所に、伯母と義理の姪という間柄の二人の女性が訪ねてくる。
親戚関係がすこしややこしいんだけど、とにかく亡くなった大鉱山事業家とつながりがあるふたりで、ってことは遺産を受け取る可能性がある立場。
若い方の女性の夫というのが問題で、本来は多額の遺産を相続するはずだったのに死んでしまった別の親戚の女性を、自分の妻が殺したと疑っているらしい。
おまけに、妻が自分を殺そうとたくらんでいるって告発状まで書き上げて、自分が死んだら官憲にわたる手はずをつけてるという。
で、現在その夫というのは、自ら運転する車で出かけてった旅行の途中の小さな町で、急に具合がわるくなって命が危ぶまれている状態。
直接的な依頼としては、その夫が亡くなったら、妻を告発する内容のその手紙を取ってきてほしいということ。
事情はわかるが、うかつにやると犯罪になるので、メイスンは法律ギリギリの契約内容を取り交わし、夫人の代理を引き受け、手紙があるというオフィスの鍵まで預かる。
彼女たちが帰ってしばらくすると、すぐに電話がかかってきて、姪の夫が亡くなったので、手紙を取ってきてほしいと伯母が言う。
夜中ではあるが、現地にかけつけて、家に入り机を開けて封筒を取り出したメイスンだが、なかみは白紙だった。
わけわからんが、元に戻して、開けたのがばれないように封をしたりしてると、家に入ってきた故人の秘書の女性に見つかって、警察まで呼ばれてしまう。
窮地に追い込まれたメイスンだけど、その手紙をよこせとか開けろとかいう秘書と警察官に対し、夫が亡くなったのなら遺産であるものは相続人である未亡人の同意なくしては渡せないとか頑張って、その場をしのぐ。
後日地方検事に呼び出されて、封筒に何をしたかと問いただされたときも、証人にあたる警官の前で、その封筒がなんだったかについてあなたの言ってることは伝聞に基づくものだ、とかなんとか法律的には正しいんだろうけど、はっきり言ってヘリクツみたいなのを並べたて、自分のしたことを認めずに守り抜く。
ところで、見ようによっては毒殺されたかにも最期をとげたはずの夫のほうだが、居合わせた医者たちが目を離したすきに、行方がわからなくなっていた。
死体が消えたんぢゃなくて、目撃者によれば、パジャマ姿の当人は部屋の窓から這い出して、クルマを運転してどこかへ去ったのだという。
奇々怪々な情報に関係者は戸惑うが、メイスンの依頼人である若い方の女性は、夫の殺人容疑で逮捕されてしまう。
これについても、メイスンは、殺人事件の証拠である死体が見つからないのなら、殺人罪は成立しないとか頑張る。
でも、結局それらしい死体が発見され、治安判事を前にした予備審問が開かれることになる。
裁判の場では当然メイスンらしいやりとりが多くなされて、それはいつものごとくおもしろい。
この事件がめずらしいのは、メイスンと、たぶんシリーズ初登場だとおもうタルバート・ヴァンドリングって地方検事が、互いにリスペクトしあってるような様子なとこ。
勝つ負けるぢゃなくて、真相解明を第一の目的に取り組んでった結果、事件解決して「犯罪のために乾盃」なんて最後には仲良くしてる。
ヴァンドリングのほうは「ロサンジェルスの地方検事は、あなたについて、非常に要領よく教えてくれましたよ。(略)依頼者の利益のためならば、自分のお祖母さんの寝首だって掻きかねない男だと言っていましたぜ」なんて、メイスンに面と向かって言ったりしたけど。