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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

四角い卵

2018-03-03 17:43:15 | 読んだ本
サキ/和爾桃子訳 2017年 白水社
年明けくらいに書店でみかけて買った、まだあったんだサキの短編、ってちょっと意外に感じて。
初期短編集の「ロシアのレジナルド」と、没後出版された短編集「四角い卵」と、その他見つかったもの全部って感じで集めて翻訳されたもの。
コンプリートできたらうれしいと感じるファンにはありがたい企画。
初期のものは、全体的に短いものが多いような印象がある。
よく知られた傑作短編とちがって、ちょっとどこがおもしろいのかわかんないのもあるけど。
ほかには戯曲みたいのとか政治風刺とか、ふつうの短編以外のものもいろいろ。
表題作の「四角い卵」は、らしい短編で、戦時下のカフェみたいなとこで、たまたま隣り合わせただけなのに「おなはし」を持ちかけてくる男の話。
卵も近ごろぢゃ値段が高いけど、よくないところはあの丸い形で、うっかりするとテーブルから転がり落ちてすぐ割れてしまう。
自分の叔母が養鶏場をやってるんだが、たくさんの雌鶏のなかには、丸っこくない卵を産むのがいて、自分はそういうのを集めては交配と生産をつづけてきた。
その結果、便利な四角い卵をつくることができて、今後の商売の見通しは明るいんだけど、困ったことに叔母が儲けはもとから養鶏場をやってる自分のものだと言いだした。
品種改良をしたのは俺だから、そこは訴訟をしてはっきりさせようと思うんだが、裁判の費用が手元にない、そんな高額ぢゃなくて小ガネが足りないだけだから、融通してくれないか、と。
まあ、よくある「おはなし」だから、乗るはずもないんだけど、チクっと厳しい断わりかたをするのが、サキらしくていい。
収録作は以下のとおり。
ロシアのレジナルド Reginald in Russia
レディ・アンの沈黙 The Reticence of Lady Anne
地名の岐路 The Lost Sanjak
女性は買い物しない The Sex That Doesn't Shop
トード・ウォーターの仁義なき戦い The Blood-Feud of Tord-Water
青年トルコ党の惨敗 A Young Turkish Catastrophe
宅配人ジャドキン Judkin of the Parcels
ゲイブリエル‐アーネスト Gabriel-Ernest
聖者と小鬼 The Saint and the Goblin
ラプロシュカの未練 The Soul of Laploshka
獲物袋 The Bag
いたちごっこ The Strategist
流されて Cross Currents
十三人いる The Baker's Dozen
小ネズミ The Mouse
四角い卵 The Square Eggs
西部戦線の鳥たち Birds on the Western Front
国家の祭典(ガラ・プログラム) The Gala Programme
地獄の議会 The Infernal Parliament
猫を讃えよ The Achievement of the Cat
古都プスコフ The Old Town of Pskoff
クローヴィス、実務のロマンなるものを語る Clovis on the Alleged Romance of Business
聖賢語録 The Comments of Moung Ka
犬と暮らせば Dogged
トム叔母さんの旅 Travelling with Aunt Tom
ジャングルの掟 A Jungle Story
政界ジャングルブック The Political Jungle-Book:III.Hugheera's Hunting
エデンの園 The Garden of Eden
池 The Pond
聖戦 The Holy War
暮らしの歳時記 The Almanack
捨て石のお値段 A Sacrifice to Necessity
部屋割り問題 A Housing Problem
闇の一撃 A Shot in the Dark
東棟 The East WING
伍長の当直記 On Being Company Orderly Corporal
ボドリー・ヘッド版サキ選集序文 J・W・ランバート
コメント
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