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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

「最前線の映画」を読む

2020-01-05 17:44:20 | 読んだ本

町山智浩 二〇一八年 集英社インターナショナル新書
町山さんの映画解説はおもしろいこともあり、わりと新しめの映画について書かれてる本書を読んだ。
タイトルに「最前線の」とあるのに、ぐずぐずしてて年が明けたら、もう2年前の本ってことになってしまった、しょうがないなあ。
もっとも、町山さん解説の映画をテレビで観るなかで、最近いちばんおもしろかったのが『求婚専科』って1964年のものだったんだから、私は読書同様、時代とズレちゃってるのがはなはだしい人間なんだろう。
テレビ番組同様、本になってる解説を読んでも、いつも感心してしまうのは、過去の映画をたくさん引き合いに出してくることである。
>何よりも『ラ・ラ・ランド』と深く共鳴するのは、マーティン・スコセッシ監督の『ニューヨーク・ニューヨーク』(77年)だ。(p.119)
とか、『ベイビー・ドライバー』について、
>それに、主人公がカーチェイスの後、ちゃんと刑務所に入るのは、『ブルース・ブラザース』(80年)へのオマージュでもある。(p.129)
とか、そういった感じの。
もちろん、映画史については薄い知識しかない私には、そういうの知らない作品名であることばかりだけれど、それでも説明されるとそれなりにおもしろい。
(どうでもいいけど、本書を読んだあとに『エピソード9』を観たら、船がたくさん出てきたときに「お、『ダンケルク』したいの?」とか筋違いな想像を一瞬してしまった。)
本書には20の映画がとりあげられているが、私が観たことあるのは半分にも満たない8つというところか。
観たことないのを無理してまで観ようとは思わないが、『ワンダーウーマン』(2017年)は「映画史を変えた傑作」と評されてるんで、観てみたい気がしてきた。
(どうもねえ、アメコミ系っていうと、それだけで観ようとは思わなくなっちゃうんだよね、通常は。)
第1章 Kが追い求めた「噴水」――『ブレードランナー2049』
第2章 アンドロイドはオジマンディアスの夢を見る――『エイリアン:コヴェナント』
第3章 「それ」から逃れるたったひとつのやり方――『イット・フォローズ』
第4章 「8マイル」の現実――『ドント・ブリーズ』
第5章 神は果てしなく試す――『哭声/コクソン』
第6章 三百六十年後の「ゆるし」――『沈黙―サイレンス―』
第7章 イランのウィリー・ローマン――『セールスマン』
第8章 バンパーはぶつけるためにある――『エル ELLE』
第9章 アン・ハサウェイは何と戦ったのか?――『シンクロナイズドモンスター』
第10章 アウシュビッツで埋められたもの――『サウルの息子』
第11章 トビマメたちの沈黙――『ルック・オブ・サイレンス』
第12章 狂気が開ける扉――『ラ・ラ・ランド』
第13章 なぜ彼は「ベイビー」と名乗るのか――『ベイビー・ドライバー』
第14章 偽りのタイムリミット――『ダンケルク』
第15章 ドローンという「レッサー・イーヴル」――『アイ・イン・ザ・スカイ』
第16章 戦う『ローマの休日』――『ワンダーウーマン』
第17章 宇宙からのライプニッツ――『メッセージ』
第18章 変えられない過去、贖えない罪――『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
第19章 「男らしさ」からの解放――『ムーンライト』
第20章 世界の終わりの西部劇――『LOGAN/ローガン』

コメント
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