本宮ひろ志 昭和52年 集英社漫画文庫版・全11冊
こないだ『光る風』ってマンガと『人気マンガ・アニメのトラウマ最終回』って本を読んだときに、このマンガのことを思い出したんだが。
このブログにはとっくに並べといたつもりになってたんだけど、書いたのが見つからなくて、記事どっか削除しちゃったのかと自分を疑ったりして。
マンガ自体は本棚の奥にもうずっと仕舞われていて、書いてないわけないと思い込んでたが。
調べると、これ揃いの古本買ったのが、ブログ始めるより前の2008年4月のことで、そのとき別の場所に何かメモっといたままと思われる。
文庫版11巻セットで安く売ってたのを衝動買いしたらしい、ちなみにカバーにある昭和52年当時の1冊単価は240円、安かったね、少年マンガの単行本って370円くらいだったかなあ。
「少年ジャンプ」に連載してたのは、それより前ってことになるけど、私はリアルタイムで読んでた、はず。
はず、というのは、最初のほうのエピソード(海にある千の目の渦を越えてくとこ)と、衝撃のラストしか、記憶がなくて、正確なストーリーをほとんど覚えてないから。
記憶ないのは、読んでたけど、それほどフェイバリットでもなかったってことなのかもしれない。
だから、何のどんな話だったか気にかかって、揃いであったらまとめてイッキ読みしてみたくなったんだろうと。
あらためて読んでみれば、なんかハードな内容だったんだなーと思わされることになった、70年代の少年誌って、けっこう濃かったんだというか。
主人公は登場当初は小学六年生の山岡太郎字、でも実の父親は岡山の財閥の丹波家の当主で、本家のほかの子どもらからは女中腹とかさげすまれてたりして。
最初のうちは地元の中学生とか高校生とケンカにあけくれたりしてて、ガキ大将の番長ものマンガなんだが。
総資産二十兆円の丹波家の宿願ってのが総理大臣をだして、しかも政治形態変えて独裁で日本を治める、とかなんとか言い出し始めると、話はどんどんスケールアップして止まんなくなってくわけで。
ところが、主人公がサクセスストーリー歩むんぢゃなくて、ライバル人物・鳥取の島村万次郎のほうが日本のトップにのしあがり、警察権力で独裁の恐怖政治を敷くという展開になるのはちょっと意外、主人公はゲリラ勢力という立場。
国内は内戦状態みたいになるんだけど、もうなんか収拾つかないなと思っていると、刺し違えてでもやってやるみたいな感じで、突然に終末を迎えちゃう。
しかし、なんだね、大地震で首都が崩壊しちゃうとか、最終決戦のあと日が昇っておしまいとか、『光る風』とか『デビルマン』とかの世界と共通するものあるような気がしてくる。
あと、どうでもいいけど、なにかっていうとヒトラーを引き合いに出してくるとこあたりも、70年代っぽいかなって気がする。
島村万次郎がヒトラーのフィルムに魅入ってて、側近が「しかしヒトラーの最大の武器は天才的な演説です」とか言うシーンなんか、たぶん現代では出版社が「止しましょうよ、問題になります」って自主規制すると思う。
あのころはそういう認識緩かったからなあ、まあ、そういうムチャクチャさが作品の力になってた時代だったのかもしれないけど。