星野之宣 1985年~86年 双葉社・アクションコミックス 全3巻
ガキのころに読んだ『巨人たちの伝説』と『ブルーシティー』を持ってることで、長年満足してしまっていた、私にとっての星野之宣なんだが。
こないだ『妖女伝説』なんか読んだことから、どーしてもこれ読んでみたくなって、つい先日そろいで古本屋で手に入れた。(全部初版だ、妙にうれしい。)
「SPACE FANTASIA」って書いてあるとおり、SFもの、「2001年宇宙の旅」へのオマージュっぽいとこある宇宙航海もの。
各巻の表紙カバー見返しんところにある宣伝文句を順にあげてけば、
>夢は天空へ飛び、心踊る壮大なドラマが幕を開ける! 無辺の宇宙に煌めく星々への遥かな旅が始まった。時を超えた人間と宇宙の物語を、流麗な筆致で描き切ったSF漫画の傑作
>遂に夢のエネルギーを得た人類の遥かな宇宙への旅が始まった! 流麗な筆致がいよいよ冴え亘る鬼才渾身のスペース・ロマン
>地球を遥かに離れた異星で人は生まれ愛をはぐくむ――未踏の星々に織りなす珠玉のドラマを華麗に描き切ったSF漫画の傑作
という調子になる、宣伝文句にいつわりはない。
最初は、宇宙を探検する系のオムニバス短編集なのかと思ってたんだけど、第1巻の最後「悪魔の星」ぐらいからグッと雰囲気が変わってくる。
悪魔の星ってのは、天王星、海王星、冥王星よりずっと外に見つかった、「魔王星ルシファー」と名付けられた第10惑星。
この星がとてつもない質量を持ってるってことは計算でもわかってたんだけど、近づいて観測してみると、反物質の星だということが発見される。
…反物質ってなんだっけ、宇宙戦艦ヤマトのテレサ? (どこまでもマンガでしか物理知識とかない私)
んで、科学の力のありがたいことに、反物質エネルギーを利用した爆縮炉なんてものをつくりだすことに成功して、ハイパースペースを通ってジャンプする宇宙船という新たな航法を人類は獲得する、宇宙ものSFバンザイ。
それから、大進出時代の始まりってことで、いろんな星系へいろんな人たち出かけていくんだが、なかなか知的生命体とは出会わない。
そのうち400年くらいが経過すると、大航海に飽きてきたのか、人間は宇宙探検から撤退しようかということになるんだが。
最後までいくと、ツーっと全巻貫いて流れていたものに思いをめぐらすことになる。傑作。
Vol.1
第1夜 大いなる祖先
第2夜 地球光
第3夜 豊饒の海
第4夜 大渦巻III
第5夜 宇宙の孤児
第6夜 宇宙への門
第7夜 遥かなる旅人
第8夜 悪魔の星
Vol.2
第9夜 天の光はすべて星
第10夜 明日を越える旅
第11夜 石化世界
第12夜 見知らぬ者たちの船
第13夜 共生惑星
第14夜 最終進化
第15夜 楕円軌道
Vol.3
第16夜 鳥の歌いまは絶え
第17夜 植民地(コロニー)
第18夜 愛に時間を
第19夜 緑の星のオデッセイ
最終夜 遥かなる地球の歌