小林康夫/船曳建夫[編] 1996年 東京大学出版会
前回からモラルつながり、というほどのもんでもないが。
『知の技法』『知の論理』につづく三部作の完結編。
前二作は、それぞれ大学の新入生と三年生を対象としていたけど、これは大学を出ていこうとしてる人、大学の外にいる人が読者として想定されている。
>(略)大学の外の現場と学問的な知とはどのように係わるのか? 知の責任とは何か?(略)
みたいなことを考えるためのもの。
初めて読んだ当時の記憶はもはや無いんだけど、今回読み返してみると、意外とおもしろかった。
(この場合のおもしろいは、刺激的って意味に近いかな。)
>(略)他人を批判していると、自分はそんな誤りはしない全能の人間のように思えてきてしまうことは、よくあります。戦前の学者たちも、江戸時代の学者などをさかんに批判し、自分たちはそれを乗りこえたと簡単に思っていたようです。(略)(p.80)
とか
>科学というものは、非常に裾野の広い積み重ねの上に成り立っているので、その最上段の部分を、下の段を抜きにして説明するというのは、不可能に近い至難の技です。(略)しかし、科学のその分野に通じていない人びとの中には、ピラミッドの全体は知りたくもなく、自分がおもしろいと思うことだけを知りたい人びとがたくさんいます。(略)(p.174)
とか
>学問は、そのどんな領域も、以下のようにして作られます。
>(1)その学問領域が扱う対象を限定します。それによって対象集合が定まりますが、これをコレクションと呼びます。
>(2)選んだ対象集合の要素間の関係から単純な基本原則を導出します。これを法則と言います。
>(3)法則と矛盾せずに生起し得る現象についての体系を記述、これが理論体系です。(p.214)
とかってあたりの言説が、なんだか妙に改めて成程なぁと思ったりするツボにはまるものがあった。
コンテンツは以下のとおり。
第I部 知のモラルを問うために
第II部 モラルの地平
「「知」の賢慮に向けて」
「国際法と公正」
「マジック・ミラーの盲点」
「神話をこわす知」
第III部 モラルの現場
「社会的公正への道」
「「学校的なもの」を問う」
「〈美〉について」
「エチカとエートス」
第IV部 人間の場所
「種と個のあいだ」
「「奇妙なサル」に見る互恵性」
「危機のモラル」
「コレクションとアブダクション」
第V部 モラルの希望
「真理からフィクションへ」
「大学と菩提心」
「「魂の自然な祈り」」
結び
前回からモラルつながり、というほどのもんでもないが。
『知の技法』『知の論理』につづく三部作の完結編。
前二作は、それぞれ大学の新入生と三年生を対象としていたけど、これは大学を出ていこうとしてる人、大学の外にいる人が読者として想定されている。
>(略)大学の外の現場と学問的な知とはどのように係わるのか? 知の責任とは何か?(略)
みたいなことを考えるためのもの。
初めて読んだ当時の記憶はもはや無いんだけど、今回読み返してみると、意外とおもしろかった。
(この場合のおもしろいは、刺激的って意味に近いかな。)
>(略)他人を批判していると、自分はそんな誤りはしない全能の人間のように思えてきてしまうことは、よくあります。戦前の学者たちも、江戸時代の学者などをさかんに批判し、自分たちはそれを乗りこえたと簡単に思っていたようです。(略)(p.80)
とか
>科学というものは、非常に裾野の広い積み重ねの上に成り立っているので、その最上段の部分を、下の段を抜きにして説明するというのは、不可能に近い至難の技です。(略)しかし、科学のその分野に通じていない人びとの中には、ピラミッドの全体は知りたくもなく、自分がおもしろいと思うことだけを知りたい人びとがたくさんいます。(略)(p.174)
とか
>学問は、そのどんな領域も、以下のようにして作られます。
>(1)その学問領域が扱う対象を限定します。それによって対象集合が定まりますが、これをコレクションと呼びます。
>(2)選んだ対象集合の要素間の関係から単純な基本原則を導出します。これを法則と言います。
>(3)法則と矛盾せずに生起し得る現象についての体系を記述、これが理論体系です。(p.214)
とかってあたりの言説が、なんだか妙に改めて成程なぁと思ったりするツボにはまるものがあった。
コンテンツは以下のとおり。
第I部 知のモラルを問うために
第II部 モラルの地平
「「知」の賢慮に向けて」
「国際法と公正」
「マジック・ミラーの盲点」
「神話をこわす知」
第III部 モラルの現場
「社会的公正への道」
「「学校的なもの」を問う」
「〈美〉について」
「エチカとエートス」
第IV部 人間の場所
「種と個のあいだ」
「「奇妙なサル」に見る互恵性」
「危機のモラル」
「コレクションとアブダクション」
第V部 モラルの希望
「真理からフィクションへ」
「大学と菩提心」
「「魂の自然な祈り」」
結び
